『THE W』オダウエダの快進撃「日テレごとぶっ壊す」。勝因は、Aマッソと天才ピアニストの間を突き抜けたバカバカしさ(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

【関連】ゆりやんが選ぶ「組みたい女芸人」3位はヒコロヒー、2位は吉住。1位は?


『THE W』

5回目となる『THE W』。本当に回を追うごとに充実度が増している。

トップバッターのヨネダ2000からインパクト抜群。バカバカしくて最高。そんなAブロックは最後に登場したオダウエダがそれを凌駕するバカバカしさで勝ち抜け。

植田の大学サークルの先輩であるミルクボーイ駒場が「アホだけじゃなくてディテール細かい」と評価。「すべてをぶっ壊してください」という視聴者からの応援メッセージに、植田「はい、日テレごとぶっ壊しまーす!」。

Bブロックは最初に登場した天才ピアニストが、代名詞である「上沼恵美子モノマネ」を封印しながらも、本格コントで強さを見せる。6-1で女ガールズを下すと、ネタ中、緊張が隠し切れなかったヒコロヒーには7-0と完封、流行りそうな「マンガの怒り方」を見せたスパイクにも6-1で勝利。

しかし、最後に立ちはだかったのが本命のAマッソ。「それでは、また」「なんで最後になすなかにしやねん」でダメ押ししたAマッソが3-4の接戦を勝ち取る。前年は同じく3-4でゆりやんに惜敗したAマッソ。事務所の先輩である田中がゆりやんに入れたからだとネタになっていたが、今回、田中はAマッソに。

友近は茶々、女ガールズなど結果的に負けたほうに票を入れることが少なくなく、友近の1票に感激している様子が印象的だった。やはり女性芸人にとって友近は大きな存在なのだろうなと思った。あと、ヒコロヒーの紹介VTRに使われたT字路sの「泪橋」がめちゃくちゃ彼女にハマっていた。

これでAブロックの勝者がオダウエダ、Bブロックの勝者がAマッソと『笑けずり』出身者対決に。『笑けずり』のころも個人的にそれぞれのシーズンで一番好きなコンビだったから、よけいに感慨深い。それに国民投票枠1組が加わる。選ばれたのは天才ピアニスト。変に人気・知名度投票にならず、順当にネタが強かった彼女たちが選ばれて本当によかった。

Aマッソは、1本目は(Aマッソとしては)ベタなコントを選び、最終決戦の2本目は前回衝撃を与えたプロジェクションマッピングを使った映像漫才を進化させたネタを見せるという、なんとしても優勝を勝ち取るという思いを感じさせる構成。1本目のネタ終わりからその審査結果が出るまで、加納の表情がやや固い感じだったのもその表れだと思った。

2本とも司会のフット後藤が、ネタ終わりに「おおー!」と声を上げていたのも印象的。最終決戦の審査発表前、加納は「もう信じてます。去年のリベンジを果たせたかなと思います」と自信あふれるコメント。

だが、優勝したのはオダウエダ。完成度の高いネタで甲乙つけ難かったAマッソと天才ピアニストの間を、オダウエダのバカバカしさが突き抜けていった感じ。審査員の票は2-3-3。オダウエダに入れたのは友近、哲夫、田中。またも田中がAマッソに入れていれば……という結果に。

これでミルクボーイ、空気階段(もぐら)につづき、大阪芸大の「落語研究寄席の会」出身者(植田)が3冠達成。小田、膝から崩れ落ちて泣く。

1本目のネタ終わり、植田「小田が泣いてますね」、小田「泣いてます!」と笑顔を見せていたが、優勝が決まり、植田「小田、今、めっちゃ笑ってますわ!」、小田「笑ってます!」と泣きながら言う見事な伏線回収。

これからバカバカしさで「日テレごとぶっ壊す」オダウエダが快進撃してくれそう。

『有吉クイズ』

「有吉のプライベートクイズ」は、またも「会いたい人がいる」と渋谷の奥渋に。

会いたい人とは誰なのかがクイズ。「ふかわりょう」という回答に「ふかわは違うよ。自由が丘だろ」と有吉。さらに「巨人師匠」という答えにも「巨人師匠は千里だろ」と住んでいるところをいちいち言うのがおもしろい。

正解はコウメ太夫。「マイケル・ジャクソンのムーン・ウォークを教わる」のだそう。

実は有吉は「ホントにダンスが苦手」。「歌を歌ってる時期もダンスをしましょうという話が何回も出たんですけど。本当に有名な振り付けの先生に来ていただいて何回もダンスの練習させてもらったんですけど、30分もやったら首かしげて先生が帰っていく状況がずっとつづいて、結局、猿岩石時代はダンスをやめようということになったんです」「ミュージカルの主演やったときも、踊りは最初に用意してたものから9割カットされました。ダンスの先生、ご高齢の方でしたけど泣いてましたね、悔しくて。それくらいダンスはダメ」と意外な短所。

「やってみていいですか? 家で奥さんの前でやってみたりするやつ」という有吉なりのムーン・ウォークが、コウメも「逆にわかんねえや、俺は。これやれって言われたら逆にできない」と困惑し、「おばあちゃんの健康(運動)のやつ」と野田がツッコむほどヒドい。というか、それを夏目の前でやって見せているのを想像すると微笑ましい。

右足をまっすぐにして左膝を曲げる。まっすぐなほうをそのまま後方に動かし(下げる)、今度は曲げてた足をまっすぐにし、まっすぐの足を曲げる(入れ替える)。下げる、入れ替えるの繰り返しだと教えるコウメ。意外にも教え方がうまい。しかし、なかなかうまくいかない有吉「チクショーー!」。


明日観たい番組:『水曜日のダウンタウン』『あちこちオードリー』ほか

『水曜日のダウンタウン』(TBS)「第7回替え歌最強トーナメント」「ザ・たっちにもピンの仕事あるにはある説」。

『あちこちオードリー』(テレ東)インパルス板倉、「若手の絶望の兆しチェック」にザ・マミィ、松丸亮吾。

『お笑い実力刃』(テレ朝)にアンガールズ。

『キョコロヒー』(テレ朝)「差し入れを思う存分食べよう」「美しい冬のダンスを見よう」「番組インスタグラムを作ろう」。

『まんが未知』(テレ朝)古賀葵×根田啓史。

『空気階段の空気観察』(テレ朝)「もぐらの故郷・千葉県旭市を巡る」。

『ぺこぱポジティブNEWS』(テレ朝)松陰寺×ロンブー淳「遺書SP」。

『恋です!』(日テレ)最終回。


この記事の画像(全1枚)



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

    #【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ) の記事一覧


この記事が掲載されているカテゴリ

てれびのスキマ

Written by

てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。