目指すのは味噌、教皇様はあとまわし
それはイタリアがまだコロナでビビリ中の暑い夏の日のことだった。
カルロさんの工房はイタリアの首都ローマから50キロほど北上した、ヴィテルボという街の郊外にある。ヴィテルボは、1200年代に30年間だけローマ教皇庁があったという、キリスト教の歴史上、とても重要な場所なのだそうだ。教皇を選出する会議のことを「コンクラーベ」というのだが、選出にとても時間がかかって、時には数日とか数カ月もかかるから「根比べだ! コンクラーベ!」とダジャレか!と疑いたくなるラテン語由来の言葉(「cum clavis=鍵がかかった」が元となっているとか)。そのコンクラーベ会議が歴史上初めて行われたのがヴィテルボなのだ(現在コンクラーベはバチカンのシスティーナ礼拝堂で行われる)。だからヴィテルボには中世の時代の教皇館やら街をぐるりと囲む城壁やら、歴代の教皇たちもお浸かりになったという温泉などなどあって、時間があればぜひ散策してみたいところだ。でも、私が目指すのは味噌である。教皇様はあとまわしだ。


ヴィテルボの街をあとにして、田園地帯を車で走ること約20分。発酵のマエストロ、カルロ・ネスラーの工房「CibOfficina」(チボフィチーナ)はあった。イタリア語の「Cibo=食品」と「Officina=工場、製作所」というような意味の言葉をかけた名前だ。


「チャオ、チャオー!」。お釈迦様のような柔和な笑顔を浮かべ、出迎えてくれた白衣の男性がカルロさんその人。ネットで見ていた学者っぽいイメージとはちょっと違う、素朴でかわいいニコニコおじさん、そんな印象。
挨拶もそこそこに通されたのは、もともとレストランだったものを譲り受けたという建物で、使っていないテーブルや椅子の上やまわりに、発酵途中らしき液体が入ったガラス瓶やら壺やらステンレスタンクやら、研究書やら商品段ボールやらが乱雑に積み上げられた部屋だった。


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