最終回直前『アンという名の少女』シーズン3<9話>アンとギルバートは結ばれるのか、先住民の少女は学校から脱出できるのか

Netflixシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中

文=米光一成 編集=アライユキコ


L.M.モンゴメリ不朽の名作『赤毛のアン』に、大胆な現代的アレンジを加えたNetflixドラマ『アンという名の少女』シーズン3第9話、いよいよ次が最終回である。すれ違いつづけるギルバートとアンの想いはどうなるのか? ゲーム作家(『ぷよぷよ』『はぁって言うゲーム』『変顔マッチ』など)でライターの米光一成による全話レビュー。

残念なことにシーズン3で打ち切り

『アンという名の少女』シーズン3最終回直前の第9話「深淵なる闇」。
アンとギルバートの恋の行方、そしてミクマク族への「文化的虐殺」に焦点が絞られてきた。
『アンという名の少女』第10話でシーズン3は終わる。そして残念なことにシーズン3で打ち切りなのである。
シーズン1の第8話レビューでも書いたが、打ち切りの理由は、はっきりしない。

シーズン継続の嘆願運動なども起こったが、再開するというニュースはない。
シーズン3が配信開始されたのは2019年。すでに3年が経ってしまっている。カクウェットやミニー・メイなど幼い子供も多く登場する本作の再開は難しいだろう。
ちなみに当時13歳でカクウェットを演じたギャワンディーヨ・ターベルも、もうすぐ16歳。
「Light at the End」のミュージックビデオで、堂々たる歌声を聞かせてくれる

Kiawentiio - Light at the End (Official Music Video)

アンの手紙は、ギルバートには届かない

第9話。
ようやくギルバートへの愛を確信したアン。
「私と同じ間違いを犯してはダメ」とマリラに助言され、ギルバートの家に告白しに行く。だがギルバートはいない。
アンは、手紙を書いてテーブルに置く。だが、手紙は、風で床に落ち、ステイシー先生のバケツの裏に貼りつき落ち、戻ってきたギルバートの足の裏に貼りつき、外でぐちゃぐちゃになってしまう。
アンの手紙は、ギルバートには届かない。

父親を亡くしたギルバート。Netflixオリジナルシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中
ギルバート、手紙に気づいて! Netflixシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中

カナダ政府は、1867年に「インディアン法(Indian Act)」を施行。先住民族を服従させるための法律だ。この法律を通じて、寄宿学校の制度を作り上げる。
先住民族の信仰や文化や生活を「野蛮」だと切り捨て、「野蛮人に囲まれている子供たちを救う」という発想で、親から引き離した。「不登校者対応官」を任命し、子供を逮捕し、学校に連れ戻す権限が与えられた。
役人が「君の母さんにそんな権利はない」と言っているのは、こんな「文化的虐殺」の制度があるからだ。

カクウェットの父と母は、アンたちに助けを求め、アンとマシューは寄宿学校へ向かう。こんなひどいことは「何かの手違い」に違いないと考えるが、「手違い」ではない。
寄宿学校側は、断固としてカクウェットを返そうとしない。それどころか会わせようともしないのだ。

Netflixシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中
寄宿学校に行くカクウェット。Netflixシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中

戻ってきたアンは、マリラから「ギルバートがウィニフレッドにプロポーズする」と聞く。
アンは事を確かめるために、ギルバートの家に行くが、ギルバートはすでにシャーロットタウンに出かけたあとだった。

なかなかギルバートへの愛に確信が持てず、さらにずれ違いを繰り返し、最終話までやきもきさせるアンだが、モンゴメリーの『赤毛のアン』シリーズのアンも、やきもきさせる。
何しろ、デイヴィ(マリラが引き取った少年)から「ギルバートが死にかけてるよ」と聞かされて初めて、自分の気持ちに気づくのだ。

そして今、ギルバートは死の淵をさまよっているのだ!
聖書に天啓の書があるように、誰の人生にも、天啓の書がある。アンは、大嵐と漆黒の闇のなか、苦悩に一睡もしなかったこの痛恨の夜、天の啓示を受けたのだった。私はギルバートを愛している──今までずっと彼を愛してきた! それが今、わかったのだ。

『アンの愛情』L.M.モンゴメリ 著/松本侑子 訳/文藝春秋
『アンの愛情』L.M.モンゴメリ 著、松本侑子 訳/文藝春秋
『アンの愛情』L.M.モンゴメリ 著/松本侑子 訳/文藝春秋

いかなる結末を迎えるのか

さて、愛に確信を持てたアンは、その気持ちをギルバートに伝えることはできるのか。ふたりの恋の行方はどうなるのか。そして、寄宿学校に連れ去られたカクウェットは家族のもとに戻れるのか。

打ち切りになった『アンという名の少女』は、いかなる結末を迎えるのか。
アンとギルバートの恋の行方にはドラマとして決着を見せるが、カクウェットの問題は、存在しない次のシーズンへ持ち越されてしまう。
覚悟して最終話を観るしかない。
最終話のレビューは、3月7日(月)朝8時更新予定。

『アンという名の少女』全話レビュー・あらすじまとめ/記事一覧

Anne With An E | Season 3 Official Trailer | Netflix

『アンという名の少女』概要

原題:Anne with an “E”
制作:2017年 カナダ
原作:L・M・モンゴメリ
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット

キャスト
アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)(上田真紗子)
マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)(一柳みる)
マシュー・カスバート(R・H・トムソン)(浦山迅)
ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)(米倉希代子)
ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)(金本涼輔)
レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)(堀越真己)
ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)(霧生晃司)

Netflixシーズン1から3まで配信中

「11歳」「小さな顔は青白くて、肉が薄く、そばかすが散っている」「口は大きいが、目も大きく」「額が広く豊か」まさにアン!Netflixオリジナルシリーズ『アンという名の少女』シーズン1~3独占配信中
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