2020年1月から始まった連載も、任期満了につき今回で最終回。ここでプログラミング教育について触れたことがキッカケで来年へ向けた教育番組の企画を進めていたり、もうしばらく渡航できないであろうヨーロッパ諸国(イギリス・フランス・ドイツ)での日々を書き留めてあったり、コロナ禍のガイド(ゲーム / 映画 / 国家 / エンタテインメント / 三密の因数分解)を書いたり、思い出したようにほぐし水という名の時評について書いたり。短いながらも思い出深い連載だった。まだラジオについて書いていなかったので、最後はこの話題に耳を傾けてもらおう。
目次
ライク・ア・職員室から呼び出されたあとの感じ、芸人ラジオ。
特に小学校から高校にかけて。職員室に呼ばれることは、ある種のステータスだった。「○○くん、職員室まで至急来なさい」の校内放送と共に、全校生徒がざわざわする。矢印が集まる。教室に帰って来たときの第一声で、人気が出たり下がったり。この構図は、芸人が文春砲を食らって、世間がざわついている状況と変わらない。
大きく変わったことは、男子がおじさんというだけで批判の対象になりつつあること、女子におばさんと言うだけで過剰に引かれてしまうこと。状況をいち早く察知した有吉弘行などを筆頭にした賢い芸人たちは、自らがおばさん化していることを掲げ、自分が敵ではないことをアッピール。昭和の香りを残した芸人たちは、令和になってその語彙とニュアンスのアップデートを迫られている。

ここ最近で印象的だったのは、『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)での失言。からの相方である矢部浩之からの公開説教。からの『ナインティナインのオールナイトニッポン』復活。そして霜降り明星せいやのリモートセクハラ報道。からの相方である粗品によるNO説教。それどころか、『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)で2時間ぶっ通しのボケ倒しを共謀。
どちらもお笑いコンビの成り立ちを印象づける事柄、僕は霜降りのやり方が好きだし感動を覚えた。ナイナイはナイナイで、ただの人気者だけでは終わらない。広い視点を備え持つ第2の黄金期を予感させてくれた。
アンジャッシュ渡部建について感じたこと
毎週金曜日、アンジャッシュ渡部さんによる『GOLD RUSH』からの番組送りをきっかけに、20時から生放送のラジオ番組『INNOVATION WORLD』をつづけて2年以上が経つ。
J-WAVEで見かける渡部さんの印象は、芸人というよりもタレントだった。滑らかな語り口、豊かな情報源、ラジオ以外にも多く抱えるレギュラー番組。奥さんは佐々木希。華やかで、スーパースターの風格さえあった。あんな事件があっても、ラジオ局内で渡部さんを悪く言う人はいない。僕も負の感情は持ち合わせていなかったが、番組が前後している関係で、番組冒頭で以下のように触れた。
「児嶋さんの涙の謝罪のあとなので、僕からは少しだけ触れて終わりにします。まず僕は、常識の担当者ではないです。不道徳であるとか多目的であるとか、そういうのは専門外で語る立場にありません。いち開発者、拡張現実的に渡部さんという人物を捉えると、やっぱりどこか魅力的な人で。なんにでもポン酢をかけることに否定的で、それでいて明太マヨはなんにでも合うと主張。J-WAVEのリスナーの中でも意見が分かれるところだと思いますが、論理が破綻することで語り口の軽妙さが担保されていました。ある意味、最初から破綻している。それが僕にはおもしろかった。破綻をユーモアで包む絶妙のバランス感覚。それがどこかのタイミングで軸が崩れてしまった。J-WAVEには渡部さん専用のバランスボールが常備してあって、本番中もよくポヨポヨしていたのですが、最近それを見かけなかった。あれが原因かもしれない。非常識担当の僕は思っています」
J-WAVEというラジオ局、ナビゲーター、リスナーの不文律。
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