コロナ以降のエンタテインメント――固有の技術こそ最新テクノロジーで拡張するべきだ(川田十夢)

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文=川田十夢 編集=鈴木 梢


開発ユニット「AR三兄弟」の公私ともに長男で、開発者の川田十夢。AR(拡張現実)技術を駆使し、多くの人々を魅了する世界を作り出している。

4月2日に『拡張現実的』(東京ニュース通信社)を上梓した川田。長期化が余儀なくされる新型コロナウイルスとの戦いの中で、窮地に追い込まれた国内外のエンタテインメント。負の連鎖を止める方法とその可能性を、拡張現実的視点で考える。

有事のプレイリスト 拡張現実編

1984年カナダはケベック州で設立された人気サーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」。1992年の初来日公演以降、日本だけでも13作品を上演し、1400万人以上の動員を記録。輝かしい記録と記憶を残したものの、2020年新型コロナウイルスの世界的な感染の広がりによりダンサーを含めたスタッフ約4700人を一時解雇すると発表。破産申請を検討しているとロイター通信が報じ、驚きの声が広がっている。

国内外のエンタテインメントは瀕死の状態。これからどのくらいの期間、劇場が機能しないのかさえ定かではない。現実的に考えると、この負の連鎖を止めることは難しい。しかし拡張現実的に考えるならば、まだまだ可能性がある。「現実的ではない」と言われながら、「拡張現実的」であることを理由に夢みたいなアイデアを実装してきた筆者が、有事のプレイリストの特別編として、長期化が余儀なくされる新型コロナウイルス対策を具体的に記してゆく。

音楽家、著作家以外の経験が、まだまだ売り物になっていない

先日、ダチョウ倶楽部の肥後克広さんとラジオで対談した。「ヤァー」「聞いてないよー」「俺がやる」「俺がやる」「じゃあ俺がやる」「どうぞどうぞ」など、数多くのギャグを発明してきたダチョウ倶楽部だけど、そのギャグには著作権がなく、誰がどこで流用しても当然のことながらギャランティが発生しない。お笑いの業界だけではなく、まだまだ売り物になっていないものが、世界には膨大に点在する。それをひとつひとつ売り物にしてゆくことが、まずはコロナ以降の経済圏を再生する上でとても重要になってくる。

前例としてわかりやすいところで、LINEスタンプがある。ダチョウ倶楽部も、先に紹介したギャグはもれなくボイススタンプ化されている。売値は100コイン、為替は1コインあたり2.4円相当。要するに240円程度で購入することができるわけだが、その偉業への対価としては少し寂しい。披露できる場所も、LINEというコミュニケーションに限られる。

日本でこそ市民権を得ているLINEだが、世界シェアで考えると決して広い市場ではない。売り上げの8割が日本市場に集中している。シルク・ドゥ・ソレイユをLINEスタンプ化したところで、売れる気配はない。探してみると「キュリオス」のキャラクターがスタンプ化されているが、さほど売れている気配もない。


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