「三密」を因数分解し、テクノロジーで解決する方法を探る(川田十夢)

2020.5.4

文=川田十夢 編集=鈴木 梢


開発ユニット「AR三兄弟」の公私ともに長男で、開発者の川田十夢。AR(拡張現実)技術を駆使し、多くの人々を魅了する世界を作り出している。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく「三密」を避ける必要性が叫ばれるが、三密状態の中で効果的に演出されてきたエンタテインメントは映画、演劇、音楽ライブなどいくつもある。今回は「三密」を因数分解し、テクノロジーで解決する方法を探る。

有事のプレイリスト 「三密」の因数分解編

あらゆる業態が失った三密を、テクノロジーでどうやって取り戻すのか。常態化しつつあるリモートワークの合間に考えている。実体験に宿るリアリティをどう移植するのか。本稿はその一点に絞って、そもそも三密が何を担ってきたのか。因数分解し、アイデアを解放する。

共通理解のために、少し復習。中学校に戻って数学の参考書を開くと「因数分解とは式を巻き戻して掛け算の形にすること」とある。高等数学ではお目にかかれない、ややもすると誤解を招くような表現だが、時に一面的な攻略のほうが複雑な問題の解決に役立つことがある。数学では数字しか扱わないが、ミスター拡張現実は現象を扱う。

密閉」の因数分解

三密を避けるべきだと当局が発表する前の芸能は、動員数を競うところがあった。会場の規模の大きさは即ちキャパシティを示し、興行を計画する上でのバロメーターとなった。まずは最も古い歴史のある演劇から構成要素を洗ってみよう。古代から中世、そして近代に於ける劇公演はこの際スキップする。

現代の劇公演に絞って考えると、暗幕(あるいはこれに順当する現実と虚構の境目を示すアナウンス)、照明非常灯客席、動線を絞ったエントランスあるいは数を限った。これらの構成要素を掛け算することで、劇空間はまさに劇的な演出効果を手に入れることができた。密度も担保できた。映画館にせよ、ライブハウスにせよ、主要な構成要素は同じである。

実際に客席で観たことのある舞台公演を配信で観たときの、ある種の物足りなさ。自らの身体に備わった五感センサーのうち、狭まれた視覚と聴覚しか使わないのだから当然といえば当然。有事で抜け落ちた構成要素をそのまま舞台装置にするような試み、たとえば劇団ノーミーツや劇団テレワークのような開き直ったオンライン劇公演は大いに参考になる。

優れた観客あるいは同業者であれば、上演台本を読めば脳内で鮮やかに再演することもできるだろう。拡張現実的には、このような観客の想像力と経験を信頼して、いち早く物語に没入して帰って来られるエントランスを用意したいところ。舞台やコンサートでは興行を支える資金源としてグッズが販売されているが、物語のエントランスになる可能性がある。何を意味するのかは、自らの活動をもって後日発表する。

「密接」と「密集」の因数分解


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