「三密」を因数分解し、テクノロジーで解決する方法を探る(川田十夢)

2020.5.4

密接」の因数分解

接するという言葉が入っている以上、触覚要素が大きいと思われる密接。ソーシャルディスタンスは2メートル、「袖触れ合うも他生の縁」という仏教に端を発した慣用句も、「袖触れ合うと感染経路の疑い」と言い換えられてしまうかも知れない。

テレイグジスタンス(※)の技術と5Gが有機的に結びつくならば、スタジアム級のコンサート会場に配備された10,000体以上の客席ロボットにジョグインして、会場の臨場感と一体感を離れた場所から同時に感じられるようになるかも知れない。

※テレイグジスタンス(英: Telexistence、遠隔臨場感、遠隔存在感)
遠隔にある物(あるいは人)があたかも近くにあるかのように感じながら、操作などをリアルタイムに行う環境を構築する技術およびその体系のこと。

隣の客もロボットだから触れてもいいし、話しかけてもいい。存在が担保されているから、「演者と目があった」と思える瞬間もある。コンサートの醍醐味は音響でもある。耳と肌で感じる密接は、技術が進めば必ず安全に再現できる。ただ、時間はかかる。テレイグジスタンスのサービスが一般化するまでのグラデーションを、あらかじめ考えておく必要がある。

グラデーションを支えるテクノロジーに非接触技術がある。赤外線による検温機や、アルコール除菌のポンプを自動的にワンプッシュしてくれる機器が最も身近なところだろう。かねてからETCの仕組みが好きで、時間があると見物に行ったものだが、あれほど大掛かりな仕組みもやがて一般化したのだから、この有事から段階的にひとつでも多くの非接触化を進めておくべきだろう。

密集」の因数分解

密集の掛け算は単純、人×人×人である。虎×虎×虎はMAXとも言えるが、どう考えてもよけいな補足なのでこれ以上の言及は控えておく。人間の集中を未然に防ぐというのは、行列をなくそうとすることだし、待ち時間を省略すること。足りない人員を確保することでもある。しっかり対策しておけば、人類の営みを大きくひとつ進めることになる。あらゆる産業の旗手たちが、もれなく考えておくべきテーマである。

生活者たちは、3日に一度は外出しなくてはいけない。生活必需品の買い物があるし、心と身体の健康を保つための散歩だって必要。天気予報があるのに、密集指数表示がないのはおかしい。携帯キャリアなどが持つ、スマホの通信を根拠にしたビッグデータの存在をうまく水平利用すれば、リアルタイムで今どこが混んでいるか。事細かく可視化できるはずだ。法律家に聞いてみると、キャリアのような業態はこのような情報を売り物にしてはいけないという定めがあるらしい。当事者として情報を開示するのではなく、優秀な若き第三者企業を巻き込んでサービス化することを、法を緩和することで認めてほしい。

スーパーなどでのレジ待ち行列も、いち早く改善するべきだ。入場制限も人力でやるというよりは非接触技術を使って無人でやるべき。この有事に現場で働かざるを得ない店員さんには、安全な距離をもって働ける職場を、国が支援してまで提供するべき。人員を確保した上で、ネットスーパーなどの利用を促すべき。特にお年寄りに、まだまだ知られていない。

医療崩壊寸前と言われている日本の病院施設、いち国民としてはなるべく病院のお世話になる機会を減らしたい。リモートでの診療が合法化されたのはひとつよい方向だが、医療従事者が圧倒的に少ないという現状は変わらない。AIドクターによる診療を合法化するとか、AIアシスタントつきであれば一般の人でも医療従事者を手伝うことができるとか、予防医学的に機能するAI薬剤師をアプリ化してよいことにするとか。

法とテクノロジーをアップデートすることで変えられることが膨大にある。お金を無作為にばら撒けばいいという問題ではない。ベーシックインカムの確保と同時に、国民のプライドを支える次なるベーシックワークを考えておくべきだ。

感情的になり過ぎたときこそ、数学的思考を

三密に関して、因数分解を用いつつ、今考えられるアイデアの一部を解放した。誰が真似してくれてもいい。考えが至らない部分が多々あるだろう。読者各自で補完して、自らのアイデアとしてほしい。政策に一喜一憂するだけではなく、国に逆提案できる具体案を持っておいてほしい。僕はそうする。


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