「苦しさが半端じゃなかった」女優を志したのは、ひとつの舞台から

──女優を志したのは、なぜなのでしょうか？

若月　私、暗記物がすごい苦手なんですよ。だから「女優さんって膨大な量のセリフを覚えて、動きも覚えてすごいな！　私には絶対にできないだろう」と思っていました。でも、気づいたら、その道が素敵に見えるようになったんですよね。

──素敵に見えるようになったきっかけは何かあったんですか？

若月　お芝居って、人のためになるだけでなく、自分を救うこともできるんだなと感じたんです。以前に、1幕でオーディションを行い、2幕はお客様の投票の結果で出演の可否や配役が決まるという形式の舞台に参加したことがあります。そのときに100％で挑んだのに選ばれないと、苦しさが半端じゃありませんでした。

だから、途中から「私は落ちる役で来ている」と考えるようにしたんです。それで、出られない人の苦しさをどう表現するのか、どうしたら悔しく見えるのかを考えるようになったら、お芝居の楽しさにも気づけて、自分の心も救えるようになって、本格的にやりたいなと思えるようになりました。

──なるほど。舞台にも映像作品にも出演されていますが、役作りの際に意識しているポイントがあれば教えてください。

若月　役について一回考えて、監督に聞きたいところに付箋を貼り、「この役はこういう感じだと思ったのですが、どうですか？」と質問するようにしています。前まではキチッと考えてから臨んでいたのですが、あまりに決め過ぎてしまうとイメージと違ったときにテンパってしまうので。最近は、少しのゆるさを残して、いろんな人の意見も参考にしながら撮影に臨んでいます。まわりに相談することで、いろんな視点も吸収できますので、すごく勉強になっています。

まじめキャラでもなんでも、それぞれの思い描く“若月佑美”を見てほしい

──今、ご自身でもお話があったように、ラジオのリスナーやファンの方からも“まじめ”キャラで見られることが多いように思えます。若月さん自身は、ファンの方からどう見られたいと思っているのでしょうか？

若月　えー！　どういうふうに見ていただいてもうれしいですね。業界に入った当初に、キャラクターづけをしたほうが周知してもらいやすいだろうなと考えたこともあったのですが、結局、いつかはボロが出ちゃいますからね。自分をいいように見せるのは、早々に諦めてしまったんです（笑）。

だから、私のことを役の印象で見ていただいてもいいですし、みなさんが描くイメージで見てもらえたら、それがいいかなって思っています。もちろん、プラスな印象だったり、頼りになったりするような存在であったら、うれしいですけどね（笑）。

──お話を聞いていて、まわりの目を気にし過ぎることなく、自然体でお仕事を楽しんでいらっしゃるんだなと感じました。ご自身としては当時と今、どちらが自分らしいなと感じますか？

若月　どっちもですかね。説明が難しいのですが、自分が球体だとしたら、昔見えていたのが左側で、今は右側が見えていて……というだけであって、常に自分だけど今見せている面がどこなのか、という違いだと思うんです。

自分を出せなくて苦しかった記憶はないですし、頭で考えるよりも先に行動する自分も、行動する前に考える自分も、全部自分なのかなと思います。

『若月佑美と工藤遥のMBSヤングタウン』

若月佑美と工藤遥が、伝統の『MBSヤングタウン』月曜日を女優ふたりきりで担当。MBSラジオで毎週月曜22:00〜23:30に放送。

連載「＆Life」

今気になる芸能人たちの生き方を辿る連載「＆Life（and Life）」。インタビューを通して見えた、彼・彼女たちの“これまで”と“これから”とは。

第1回：重川茉弥
第2回：後藤真希
第3回：若月佑美
第4回：宇垣美里
第5回：工藤遥
第6回：本田仁美
第7回：横澤夏子

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