【映画『RYUJI 竜二』特集#04】水田伸生監督が語る、柳楽優弥×JUNONの“化学反応”「将来は日本の宝」「最高の訓練を受けている」
1983年公開の映画『竜二』を、43年の時を経て再創造した『RYUJI 竜二』が公開中だ。主演の柳楽優弥と、竜二を慕う舎弟・ひろし役を演じるBE:FIRSTのJUNONが、本作で初共演を果たした。
2026年10月21日に発売となった『Quick Japan』vol.186では、映画『RYUJI 竜二』を全14ページにわたって特集する「43年目の継承」を掲載している。柳楽とJUNONが2ショットで表紙を飾るSPECIAL EDITION特別カバー版も、QJストア限定で発売中。
本記事では水田伸生監督に、1983年版『竜二』へのリスペクトと本作で目指した“再創造”、柳楽優弥とJUNONを起用した理由、そして今の時代に描くべきヒーロー像について聞いた。
水田伸生
(みずた・のぶお)1958年生まれ、広島県出身。映画監督・演出家。主な監督作に『舞妓Haaaan!!!』(2007年)、『謝罪の王様』(2013年)など。ドラマ『Woman』(日本テレビ/2013年)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ/2016年)などの演出を手がける
柳楽優弥×JUNON「間違いなくいい関係性を築き上げる」
──1983年版の『竜二』と本作が強く共鳴し合うところ、あるいはまったく異なるところについて、監督の立場からお聞きしたいです。
水田 いきなり核心だね。これからいくつも取材が続くはずなんだけど、大丈夫かな(笑)。
──1983年当時、劇場で『竜二』を鑑賞されたとうかがっています。
水田 そうなんですよ。あれは衝撃的な体験でしたね。僕は萩原健一さんの大ファンでね、主題歌が「ララバイ」だと知って、この曲を聴くために劇場に行ったんですよ。でも鑑賞後は、主演の金子正次さんが体現した竜二という人間の生き様ばかりが強く印象に残った。
まだ30代の前半で、彼が書いた脚本にも凄まじいものがある。その才能に舌を巻くばかりでね、ただただ圧倒されました。そんな作品と僕が監督した『RYUJI 竜二』が共鳴し合うところ、そして違うところは、正直に言ってこれは観客のみなさん任せです。だって、かなり変えているつもりなので。

──細部もそうですが、作品全体としても印象が大きく異なりますね。
水田 それはなぜかというと、一番大きいのは映画が公開される時代が違うからです。つまり、観客の生きている時代がまったく違う。もちろん、僕は『竜二』という作品に大変なリスペクトを持っていますから、そのエッセンスを逃がさないように、懸命に向き合ったつもりです。でも、オリジナルの要素にばかり縛られていては、現代の観客のみなさんには届かないと思うし、すべてに対して失礼だと思ったんですよね。
──主演の柳楽さんもインタビューで、「オリジナルをなぞることがないように」と言っていました。
水田 たとえばラストシーンに注目すると、両作は似ているようで、まったく違うものになっていると気づいてもらえると思います。具体的にどこがどう違うのかまで言及するのは避けますけど……主人公である竜二と妻のまり子の関係において、弱い男のわがままを鼻にもかけない先進的な女性像を描いていたのがオリジナル版で、かつての『竜二』が描いていたのは、言ってしまえば責任放棄して逃げ出す男の物語です。
そしてそれに対して、まり子は強い主体性を持ち、毅然と振る舞っていた。一方、僕らが手がけた『RYUJI 竜二』が描いているのは、一種のヒーロー像なんです。
──“ヒーロー像”ですか。
水田 そう。竜二は人と人とをつなぎ止める役割を担っているでしょ。舎弟の直やひろしを家族のようにつなぐハブであり、妻のまり子とその子供をつなぐハブになっている。あるいは、所属する組織のハブでもある。これは身のまわりの人たちと疎遠になってしまった、コロナ禍の経験が大きく影響しています。
柳楽さんが演じる竜二のクライマックスの姿に、ぜひ注目してみてください。彼は責任放棄するのではなく、彼なりのやり方でけじめをつけようとしている。そこに、今の時代に必要とされる竜二像やメッセージを見出すことになるんじゃないかな。


──竜二と誰かの関係性の中で、特にひろしとの関係が印象に残りました。これを演じる柳楽さんとJUNONさんの姿は、水田監督の目にどう映っていたのでしょうか。
水田 柳楽さんはハブになる力を持っている人で、将来は日本の宝になるはずの人です。彼のいろんな作品を観てきたら、もうわかるでしょう。
それに対してJUNONは、これが2度目の映画なわけだけど、まだまっさらな状態なのがよかった。それでいて歌と踊りで世界に挑んでいる人だから素晴らしいよね。ふたりは俳優としての出自も立ち位置もまったく違うけど、間違いなくいい関係性を築き上げて、特別な化学反応を起こす確信があったんです。

──その確信が生まれたのは、なぜなのでしょうか。
水田 音楽をやっている人は、芝居もできる。リズム感やテンポというものを、身体で理解しているから。それもね、グループでやっている人は特に強いですよ。自分以外の人間と同調することが芝居の基礎なんです。
でも、キャリアの浅い俳優は、どうしてもみんなと違うことをやろうとしてしまう。この出発点がまず間違いで、若い俳優は他人と同調することを目指すべきなのです。彼らがもっとも大切にするべきなのは、物語やキャラクターの内面以上に、他者とのコミュニケーション。人間同士の関係性なんです。
この“関係”を表現することにおいてJUNONは、最高の訓練を受けているわけ。オーディション番組(『THE FIRST』)を観ればわかるだろうけど、彼が努力を怠らないのは、今では誰もが知っているでしょ。
──みんなが知っていると思います。
水田 実際、彼はBE:FIRSTの忙しい活動の合間を縫って、アクティングトレーナー(俳優教育者)のもとで個人レッスンを受けていました。そんな人間が、器の大きな柳楽さんと組んだらどうなるか。映画を観ればわかってもらえるはずです。
──彼らのかけ合いからはまさに、今の時代に必要なメッセージを感じました。
水田 僕が監督する際にいつも大切にしているのは、映画作りに関わるみんなで一緒になって、人間の美しいところをそっと届けること。大袈裟な言葉にするんじゃなくてね。竜二のようなハブとなる存在を、誰もがきっと求めている。
そんな存在を中心に据えて、人と人のつながりを描く。それがこのリメイクの意義かな。プロデューサーは「漢のロマンだ」と言うかもしれないけどね(笑)。

『Quick Japan』vol.186 SPECIAL EDITION 柳楽優弥×JUNON(BE:FIRST)特別カバー版

発売中
サイズ:A5/並製/144ページ
価格:1,650円(税込)
映画『RYUJI 竜二』

公開:2026年10月30日(金)全国公開
監督:水田伸生
原作:金子正次「竜二」
脚本:冨岡淳広
出演:柳楽優弥、川栄李奈、萩原利久、JUNON(BE:FIRST)、田中美里、RYUKI(MAZZEL)、千原ジュニア、三宅健、伊藤英明
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
主題歌:BE:FIRST「It’s not a bad life」
公式HP:https://www.culture-pub.jp/ryuji_movie/
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