工藤遥が生き急ぐ理由「20歳がゴールじゃない」“若くてかわいいアイドル”からの変化を恐れないために

工藤遥

文=於ありさ 撮影=佐々木康太 編集=高橋千里


2010年に芸能界入りをし、2011年にモーニング娘。の史上最年少メンバーとして加入した工藤遥(当時11歳11カ月)。

2017年にモーニング娘。を卒業し、その後女優として躍進しつづけている彼女は、2021年10月から、約22年ぶりに帯番組として復活したラジオ『MBSヤングタウン(以下:ヤンタン)』の月曜パーソナリティを、元乃木坂46の若月佑美と共に担当している。

まだ22歳という年齢にして、新たな挑戦を止めないバイタリティはどこから来ているのか。ラジオパーソナリティとしての近況や、女優業に興味を持ったきっかけ、モーニング娘。時代の話から、彼女の本質を紐解く。


明石家さんまのアシスタント時代と比べて「同じラジオでも、ここまで違うんだ」

──『ヤンタン』の月曜パーソナリティの話をもらったときの気持ちを教えてください。

工藤遥(以下:工藤) 純粋にうれしかったです! 4年前『MBSヤングタウン土曜日』で明石家さんまさんのアシスタントを務めさせていただいていたのですが、まさかパーソナリティという立場で参加させてもらえるとは、想像していなかったです。

──ペアの相手が元乃木坂46の若月さんと聞いたときは、どう思いましたか?

工藤 所属していたグループは違えども、アイドルから女優にという経歴が同じなので、素直にうれしかったです。ただ、ほぼ面識がなかったので「なんの話をすればいいんだろう」とは思いました。

工藤遥

──さんまさんのアシスタントを務めていたときと、若月さんとふたりでパーソナリティを務めている現在。どちらも『ヤンタン』という枠ですが、違いはありますか?

工藤 全然違いますね(笑)。さんまさんのアシスタントをしていたころは、なかなか話を振ってもらえないので、「今日はどこでしゃべり出そう」とハラハラしていました。ほぼ毎週「会話に入っていくぞ!」と意気込んで、構えながら現場に入っていたなと。

若(月)とのラジオは、お互いの声のトーンやテンション感が比較的近いので、落ち着いて自分の話ができているなと。同じ『ヤンタン』でも、ここまで違うんだ……って思いますね。

私の中でラジオって、何気なく流れている会話が心地よくて、なぜかずっと聴いていられるというイメージがあったのですが、まさにそんな番組になっているんじゃないかなと。

工藤遥

──最初は若月さんと「何を話そう」と思っていたとのお話でしたが、2カ月ほど経った今はどうでしょう?

工藤 回を重ねるごとに、お互いの共通点が見つかって、徐々に距離が近くなっているのを感じています。くだらないことを言ったときにすかさずツッコんでくれたり、お姉さんでいてくれたりするのも居心地がいいんです。

リスナーの方から「月曜の22時帯にすごく合っていていいね」と言ってもらえて、本当にそうだなと思いました。

──おふたりの『ヤンタン』の楽しさって、どこにあると思いますか?

工藤 すごく大勢に向けてしゃべっているというよりも、若と私と、その先にいる人、3〜4人ぐらいでしゃべってる感覚になってもらえるところですかね。不特定多数にしゃべっているというよりも、抽象的になり過ぎず、具体的な話をしているので、ちゃんとひとりずつに聞いてもらえるんじゃないかなと。

たまに脱線もするけど、久々に会った同級生たちの会話みたいな空気感は、『ヤンタン』の中では独特かもしれませんが、楽しく聴いてほしいです。

工藤遥

モーニング娘。加入時は「末っ子ポジションに戸惑いも……」

──工藤さんはモーニング娘。に10期メンバーとして加入した当初、11歳11カ月だったことから、史上最年少メンバーとして注目を集めました。当時のことを教えてください。

工藤 末っ子という立ち位置に戸惑っていました。私、弟がふたりいる長女なのもあって、誰かに助けを求めたり、頼ったりすることがあまりなかったんです。

だから、グループに加入した当初は、強がってしまっていたなと思います。自分ひとりで、“前へ前へ精神”で、とにかく全部がむしゃらに「なんでもがんばります!」みたいな。

──それはなぜでしょう?

工藤 先の細かいことはまだわからないし、できないし、見えないし……だったので、とにかく足掻くしかないなって、小さいながら感じていたんだと思います。

工藤遥

──年上だらけの環境に、戸惑いはなかったのでしょうか?

工藤 それもありましたね。先輩たちは気さくに話しかけてくれるんですが、10歳以上年齢が上だと、大人過ぎて何を話していいのかわかりませんでした……。

──なるほど。

工藤 当時は必死でしたけどね(笑)。最初「遠慮せずにガツガツ行け」と言われたものの、加減がわからなくて、怒られて、自己主張が怖くなったり、落ち込んでしまったりすることもありました。

でも、黙って引っ込んでいる時間をくれないグループだったこともあって、歩みを止めることがなく、強くなれたなと思います。

──そんな状況のなかでがんばれた理由を教えてください。

工藤 のちのちキャラづけされていった、“ボーイッシュキャラ”を見つけられたことは大きかったなと思います。それに私「かわいい」とか「きれいだね」と言われるよりも、おもしろがってもらうことに憧れがあったので。

工藤遥

──おもしろがってもらいたかったのは、なぜなんでしょう?

工藤 当時のメンバーの中に、おもしろい人が多かったんですよね。努力の人でありながらも、ナチュラルなおもしろさがある道重(さゆみ)さんとか、最近卒業した同期の佐藤優樹とか。お笑い的な意味でなく、見ていて飽きない存在なんです。

一方で、私はまじめに振る舞ったら、全然おもしろくないタイプ。そのことを自覚していたので、自然に振る舞っているのがおもしろい人がうらやましかったんですよね。だからこそ、キャラがついたことが、すごくうれしかったんです。

モーニング娘。も乃木坂46も「裏側の努力は一緒」


モーニング娘。も乃木坂46も「裏側の努力は一緒」

──若月さんと共演されていて、モーニング娘。と乃木坂46の違いを感じる瞬間はありますか?

工藤 正直、ないですね、全然。だけど、アイドルを現役でやっていたときは、乃木坂46さんはとにかく美しくて、私たちはガツガツしている。たとえば乃木坂46さんが脚をきれいにそろえているときに、私たちモーニング娘。は仁王立ちしているみたいなイメージはありました。

──なるほど。

工藤 でも、表面的な特色は違うといえども、裏側ではモーニング娘。も乃木坂46さんも、同じくらい努力していると思うんです。グループを卒業したあとでも、その経験が活きているんじゃないかなと感じます。

工藤遥

──モーニング娘。での経験が、今の女優業に活きていると感じることはありますか?

工藤 タフさと、「なんでもどんと来い!」な精神は、グループで培ったものだなと思います。

「長く活躍することを恐れなくていい」女優のキャリアを選んだ理由

──グループ卒業後、女優としてのキャリアを選んだのはなぜだったんでしょう?

工藤 グループで舞台をやったときに、すごく楽しかったんです。きっとファンの方にとっては、タイミングが思ったより早かっただけで、女優の道に進むことは予想できていたんじゃないかなと思います。

工藤遥

──芸能界に入る前から、女優という職業には興味があったんでしょうか?

工藤 ありました。小学3年生のころに、クラスで『ラスト・フレンズ』(フジテレビ)がめちゃくちゃ流行っていたんですが、長澤まさみさんが演じる役柄を観て「こんなに悲しい人がいるのか」と思ったんですよね。

でも、違う番組で長澤さんや上野樹里さんを観たときに、ドラマとは全然印象が違って、子供ながらに「同じ人でも、こんなに違うのか」と衝撃を受けたんです。

──そうだったんですね。

工藤 女性アイドルって「アイドルたるもの、こういなきゃいけない」「若くて、かわいい」みたいな概念が決まっていて、ゴールがわりと早いということも感じていました。だから、この先も長くつづけられること、年齢や時代の変化を恐れることなくやっていける職業が何かを考えたときに浮かんだのが女優だったんです。

工藤遥

──今後、やってみたい役はありますか?

工藤 ラジオでの私とは、また違う印象の役をやりたいですね。影がある役に挑戦してみたいです。心よりお待ちしています!(笑)

「生き急いでいるくらいが、私らしい」

──お話を聞いていて、モーニング娘。時代の経験が、女優のお仕事につながっていらっしゃるんだなと感じました。ご自身としては当時と今、どちらが自分らしいなと感じますか?

工藤 私、たぶん、ずっと自分らしいと思います。芸能界に入った当初から環境に恵まれているおかげで、自分らしくいられていますね。

工藤遥

──工藤さんが考える”自分らしい”ってなんですか?

工藤 難しいですけど、常に生き急いでいるくらいが自分らしいなって感じています。昔、母親から「あんた20歳がゴールだと思ってるでしょう」って言われたことがあったんです。

でも、いざ20歳を超えたら、もちろんそんなことはなかった。そうだとはわかっていても、ちょっと見えているゴールテープに向かって前のめりに走っているくらいが、性に合っているなと思います。

常に小さなゴールを目指しながら、到着したら、また次のゴールへ……と繰り返して走って行きたいですね。

連載「&Life」

今気になる芸能人たちの生き方を辿る連載「&Life(and Life)」。インタビューを通して見えた、彼・彼女たちの“これまで”と“これから”とは。

第1回:重川茉弥
第2回:後藤真希
第3回:若月佑美
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第5回:工藤遥
第6回:本田仁美
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  • 若月佑美・工藤遥

    『若月佑美と工藤遥のMBSヤングタウン』

    若月佑美と工藤遥が、伝統の『MBSヤングタウン』月曜日を女優ふたりきりで担当。MBSラジオで毎週月曜22:00〜23:30に放送。

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於 ありさ

(おき・ありさ)ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・男性アイドル・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディや推しに囲まれて暮らしている。

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