結成1年で『紅白』出演を掴み取ったBE:FIRST。今改めて、快進撃の軌跡を振り返る

2022.11.24
BE:FIRST

文=坂井彩花 編集=森田真規


2022年大晦日に放送される『NHK紅白歌合戦』に初出場することが決まった、7人組ボーイズグループ「BE:FIRST(ビーファースト)」。2021年11月3日に『Gifted.』でデビューして以来、記録にも記憶にも残る活動をつづけ、破竹の勢いで日本の音楽シーンを駆け抜けてきた。

この記事ではそんな彼らの活動の軌跡を、ビギナー向けに改めて振り返る。そう遠くない日に世界の第一線で活躍するであろうBE:FIRSTのことを、ぜひこの機会にチェックしてほしい。

BE:FIRST / Gifted. -Music Video-

社会現象になったオーディション『THE FIRST』

今年も12月31日に放送される『紅白歌合戦』にBE:FIRSTの出演が決定した。ゲームセンター限定の景品が出れば長蛇の列ができ、CMタイアップした商品を品切れにさせるなど、爆発的な人気を誇る彼ら。

デビューから1年余りしか経っておらず、テレビ出演も音楽番組を中心としているため、あまり接点がなかった人もいるかもしれない。そこで今回は『紅白歌合戦』に初出場することを記念して、BE:FIRSTの軌跡を振り返っていきたい。

BE:FIRSTは、SKY-HIが手がけたオーディション『THE FIRST』によって誕生したグループだ。2020年9月から募集開始となったオーディションには、全国から才能の原石が集結。書類選考を通過した231名は、そのあと数回の審査を経て7人に絞られた。こうして誕生したのが、SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEI、JUNON、RYOKI、LEOの7人からなるダンス&ボーカルグループ、BE:FIRSTである。

[THE FIRST 本編] #20 / 最終審査 (Shining One & 結果発表)

なお、審査は「歌やダンス、ラップなどがうまく、基礎力が高いこと」を評価する“クオリティファースト”、「歌詞やメロディー、トラックなどを自発的に考える能力」を評価する“クリエイティブファースト”、「ステージ上で自分はこういう人間であると表現する力」を評価する“アーティシズムファースト”の3つに重きを置いて実施。昨今のオーディションだと、番組視聴者が投票などで審査に関与することも珍しくないが、『THE FIRST』においては一貫してSKY-HIの意向を尊重するかたちを取っていた。

さらに『THE FIRST』の様子は、日本テレビ『スッキリ』でも放送され、社会現象にまで発展。合宿審査が行われた4次審査以降は特に大きな盛り上がりを見せており、「ザスト民」(『THE FIRST』のファン)という呼称まで生まれた。

また、『THE FIRST』はBE:FIRST以外にも個性豊かな才能を輩出している。ファイナル審査まで残っていたAile The ShotaはBMSGからデビューを果たし、RANとREIKOはトレーニーとして所属。3次審査であえなく落選となってしまったedhiii boiは、オーディション後もSKY-HIにアプローチをつづけ、自力でソロデビューを掴み取っている。さらには、4次審査まで駒を進めたRUIとTAIKIもトレーニーとして所属するなど、たった1回のオーディションからバリエーションに富んだ才能を見出したのだ。

音楽業界の表も裏も知る稀有なプロデューサーSKY-HI

BE:FIRSTをプロデュースするだけに飽き足らず、数々の才能にスポットライトを当てたSKY-HIという人物についても、ここで触れておこう。

昨今では、“自身もアーティストとして活動するプロデューサー”としてバラエティ番組への出演も増えたSKY-HI。頭の回転が速く華やかなオーラをまとっているため、順風満帆なキャリアを送ってきたように見えるかもしれないが、その道のりはけっして生易しいものではなかった。

2005年から男女混合パフォーマンスグループ「AAA」のメンバー、日高光啓として活動を開始(現在、同グループは活動休止中)。ストリートでのパフォーマンスからキャリアをスタートさせ、アニメやドラマのタイアップを経験、男女混合パフォーマンスグループで日本史上初となる6大ドームツアーも成功させている。やりたいことと任せてもらえることの狭間で揺れ動きながらも、“アイドル”としてメインストリームを突き進んできた。

一方で、avex非公認(事実上、黙認)で自主的に始めたラッパー活動はいばらの道だった。自分でデモを作っては配り歩き、オープンマイクやバトルにも積極的に参加。「アイドルのくせに」となじられることがあっても着々と技術を磨き、ファンを増やし、アンダーグラウンドから一歩一歩這い上がってきたのである。

いうならばSKY-HIは、メインストリームの歩き方もアンダーグラウンドからの這い上がり方も知っている稀有な人物なのだ。

そんな彼がCEOを務めているマネジメント/レーベルが「BMSG」である。社名には“Be My Self Group(アーティストやアイドルが「自分のまま」いられる空間)”という願いが込められ、“Brave, Massive, Survive, Groove”の意味も併せ持つ。

現在、日本の音楽業界に存在しているシステムや事務所に敬意を払いつつ、今まで光の当たりづらかった才能たちに新たな選択肢を作るため、SKY-HIはBMSGを設立したのだ。

「クオリティファースト・クリエイティブファースト・アーティシズムファースト」を胸に、世界へ


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