西野未姫「自分が嫌いだった」AKB48卒業直後の“メンタル不調”から解放された、夫・山本圭壱との出会い

文=於ありさ 撮影=洞澤佐智子 編集=高橋千里


元AKB48の西野未姫は、グループ加入当初は“第2のまゆゆ”と呼ばれ、卒業後はバラエティでの才能を開花。2022年、31歳年上の極楽とんぼ・山本圭壱と結婚したことでも話題となった。

そんな西野は、これまで各種メディアで「AKB48卒業直後の自分が嫌いだった」「山本さんと出会ったことでメンタルが変わった」と発言。いったい、どのような心境の変化があったのか。

AKB48加入当初から現在に至るまでの、メンタルや心持ちの変化について話を聞いた。

西野未姫(にしの・みき)
1999年生まれ、静岡県出身。AKB48の14期⽣としてデビュー。“三銃士”として活躍し、顔芸や大きなリアクション、誰よりも全力でダンスを披露するなど、AKB48の中でバラエティ担当として重宝されてきた。現在は多数のバラエティ番組で活躍中。YouTube「西野未姫チャンネル」ではダイエットやお片づけ方法が好評。2022年11月22日に極楽とんぼ・山本圭壱と結婚

楽観的なAKB48加入直後から一転「夢を語るのが恥ずかしくなった」

西野未姫

──西野さんがAKB48に加入したのは2012年のこと。加入直後は“第2のまゆゆ”と呼ばれて話題になりましたが、当時そのことをプレッシャーに感じたことはありましたか?

正直、プレッシャーを感じたことは全然なかったです。というのも、まだ13歳だったので、プレッシャーとか、おこがましいみたいな思考を知らなくて「あ、ラッキー!」みたいに楽観的に捉えていました。

──当時のAKB48といえば、選抜メンバーに入るか否か、総選挙など、誰かと競う場面も多かったように思えます。そういったことでメンタルを病んでしまうことも特になく?

今思えば、AKB48に在籍していたときは、そこまでメンタルのダメージがなかった気がします。目の前のことをがむしゃらにこなしていって、同世代の子と一緒にいられて楽しい、部活みたいな感覚。ただ、ポジションが上がらないことについては悩んでましたけどね。

西野未姫

──ポジションのことになると、楽観的に捉えることはできなかったのでしょうか?

でも、深刻に悩んでいたわけではないんですよね。小学生が運動会で負けて「悔しい!」って思う突発的な感覚に近くて、「まあ、いっか!」ってすぐ立ち直っていたような。それに早い段階で、自分の立ち位置を受け入れていた気もします。

──自分の立ち位置を受け入れていたというのは、どういうことでしょう?

加入当初は「選抜メンバーに入りたい」「センターになりたい」って思っていました。でも入ってみてから、前田敦子さんをはじめとする神7など、ほかのメンバーのレベルの高さに気づいて、自信を失ってしまったんです。

その結果、私がセンターになりたいって言ったところで「お前がなれるわけないだろう」って思われるんじゃないかって、夢を語るのが恥ずかしくなっちゃいました。

「自分のことが嫌いだった」バラエティしんどい時期

西野未姫

──2017年にAKB48を卒業した西野さん。卒業後はどのような方向性に進みたいと考えていましたか?

バラエティで体を張ったり、ロケで活躍したりしたいなと思っていました。

──ということは、理想どおりの道を歩んでいるんですね!

はい。でも正直、卒業直後は、AKB48にいたころよりもしんどいと思うことが多かったです。

バラエティに出始めたころ、当時のマネージャーさんに「ただ出演するだけじゃなくて、爪あとを残さないとダメだ」と言われて。とにかく笑いのためにがんばるんですけど、それが空回りして、撮影が終わったあとでめちゃくちゃ泣いて反省したこともありましたから。

AKB48の中では「おもしろい子」っていうポジションでしたけど、現実に飛び込んだら、全然太刀打ちできない。その難しさを考えさせられました。

西野未姫

──そうだったんですね。

ただ「それくらいで弱っちゃダメだ」とも言われていたので突き進むしかなくて、思ってもないことを言って笑いを取ろうと必死になっちゃったんです。先輩に突っかかったり、下品な言葉で相手を罵倒したりしている自分がすごく嫌いでした。

もともとそういうのが得意な性格ではないのに、一度それで話題になってしまうと、「またこうやってください」とか言われるのもしんどかったですね。

──当時の西野さんに声をかけるとしたら、なんて声をかけたいでしょう?

“ウケればいい”わけではないって伝えたいです。当時の私は身近な大切な人たちに心配をかけちゃっていましたし、特に家族は世間からの言われようにすごく傷ついていたので。ウケを狙うあまり、まわりのことが見えていなかったなと思います。

ただ、あのときの自分の勢いがあったからこそ今があるわけで、「ありがとう」っていう気持ちもあるんです。だから「偉いけど、そこまでしなくていいんだよ」って言いたいですね。

山本さんに出会って、“ひとりで必死に生きる感覚”がなくなった

西野未姫

──夫の山本さんは、バラエティで活躍する大先輩ですが、バラエティでの心構えみたいなのを相談したことはありますか?

ないですね。私が「こういうときってどうしたらよかったのかな?」って質問したら教えてくれることもありますけど、私もあまり聞かないので、基本的には仕事の話をしないんです。仕事から帰っても「楽しかった?」って聞かれるくらい。

──そうなんですね。素敵です。

付き合う前からそうなのですが、山本さんって後輩と仕事の話を熱く語るタイプじゃないんですよ。「そんなことよりもっと楽しい話しようよ」みたいな感じ。「お前、もっとこうしろよ」って誰かに言っているのを見たこともないですね。

──以前、テレビ番組で西野さんが「山本さんと出会ったことでメンタルが変わった」と言っていたのが、印象に残っています。具体的にどのように変わったのでしょう?

ひとりで生きていくのに必死だった感覚がなくなりました。以前は、バラエティに出て「戦って勝ってやる」「負けたくない」っていう気持ちがなによりも優先だったのですが、自分を嫌いになったり、家族を悲しませたりしてまで、がんばらなくてもいいかって。

それは、落ち込んでいるときに山本さんが「いいんだよ、これで」「大丈夫だから」「今はとりあえずそういう時期だから」ってなだめてくれるおかげかなと思います。

──先輩としてアドバイスするのではなく、今の西野さんを肯定してくださるんですね。

「もっとこうしたほうがいいよ」みたいなことは一度も言われたことがないですね。

それから、私は嫌なことがあると「もう終わった……」って思っちゃうタイプだったんですけど、山本さんは「自分の人生が悪かったとか良かったとかって、死ぬ直前にしかわからない」ってよく言っていて。

そう考えるようになってから気持ちが軽くなったんです。うまくいかないことがあっても「まあ、いいか」と考えられるようになりました。

西野未姫

──今の西野さん、とてもキラキラしていると感じます。まわりの方からの反応も変わりましたか?

そうですね。家族はもちろん、お世話になっているテレビ局のスタッフさん、仲のいいみぃちゃん(峯岸みなみ)も「変わったね!」「顔つきが優しくなったね!」などと言って褒めてくれました。身近な方々にそう言ってもらえると、やっぱりうれしいですね。

バラエティ以外にも、自信を持てる軸が欲しい

──では、以前のようにストレスを感じることはなくなりましたか?

そうですね。バラエティで「爪あとを残さなきゃ」とプレッシャーを感じることはなくなりました。もちろん今後もバラエティ番組に出演して活躍したいという気持ちはありますが、昔ほど「バラエティだけを一生やっていきたい!」って思わなくなってきたから、そう思えるのかもしれないですけどね。道はこれだけじゃないなって。

──どうしてそう思うようになったのでしょう?

バラエティって、番組側に呼ばれて仕事になるものなので、すごく不安定じゃないですか。でも、将来子供ができたときや、30年後、山本さんが85歳になったときにも安定した暮らしを送っていたい。そのためには、私がちゃんと稼げるように、自信を持ってできる“軸”を持ちたいなと考えたんです。

それで、自分の興味あることを知ろうとしているなかで、ずっと悩んでいたダイエットやフェムテック関連の仕事をして、同じように悩む女性の助けになりたいなと考えるようになりました。

西野未姫

──たとえば、SNSを使って発信するのか、商品開発をするのかのように、女性の悩みにまつわる何かをどのように広めていきたいというのは考えていますか?

SNSで発信することももちろんいいなとは思うのですが、将来自分の会社を持ったり、商品開発をすることもありなのかなと思っています。正直、まだまだ勉強中です。

──西野さんの野望について、山本さんは知っているのでしょうか?

はい。新幹線での移動中に話したことがあります。

話す前は、どうせ言っても「そんなことできるわけない」って思われるかなと、誰にも言わずにいたんです。でも、これに関してはかなり強い思いがあったので、山本さんに、まず話してみました。

そしたら「いいじゃん!」って。「起業してみたいなら、こういうことをすれば……」とか具体的なことは言わず、「やりたいなら、やっちゃいなさい」って応援してくれました。

西野未姫

──これからの西野さんが楽しみです。最後に、この連載の共通の質問でもありますが、今と昔を比べて、自分らしいと感じるのはどちらでしょう?

山本さんと付き合うようになって以降、断然“今”です。以前の私は、私自身も視聴者として観たときに苦手でしたもん。

だからといって、今の自分を好きとは言い切れないんですけど。自分を好きになれるよう、自信を持ってできることを見つけてがんばりたいなと考えています。

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第1回:重川茉弥
第2回:後藤真希
第3回:若月佑美
第4回:宇垣美里
第5回:工藤遥
第6回:本田仁美
第7回:横澤夏子
第8回:大久保桜子
第9回:milet
第10回:前田敦子
第11回:峯岸みなみ
第12回:辻希美
第13回:中川翔子
第14回:西野未姫

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