峯岸みなみ“一番嫌われていたころ”を経て描く未来「世間で言われるほど、私は悪いやつじゃないかも」

2022.10.20

文=於ありさ 撮影=洞澤佐智子 編集=菅原史稀 


“会いに行けるアイドル”というキャッチーなコピーが話題となり、シングル曲のメンバーを選抜する総選挙が地上波で放送されるなど、一時代を築いてきたアイドルグループ・AKB48。峯岸みなみは、その1期生として約15年間、第一線で活躍しつづけてきたメンバーのひとりだ。卒業後の彼女といえば、バラエティや舞台などで活躍する一方、最近ではクリエイティブな仕事も増えている。2022年8月には、東海オンエア・てつやとの結婚を発表したことでも話題になった。

そんな峯岸にアイドル時代の話を聞くと「嫌われ過ぎているな」と悩んだこともあると、当時の心境を赤裸々に語ってくれた。AKB48での15年間を振り返り、彼女は今、未来をどのように描いているのだろうか。

峯岸みなみ
(みねぎし・みなみ)1992年、東京都生まれ。2005年「AKB48 オープニングメンバーオーディション」に合格、13歳で1期生としてデビュー。その後、AKBメンバーとして15年半活動、2021年5月にAKB48を卒業した。現在は多くのバラエティ番組で活躍するほか、近年では、ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』、映画『終わりが始まり』、2022年秋公開予定『大事なことほど小声でささやく』に出演。また、指原莉乃プロデュースのアイドルグループ・=LOVEのMVの監督、『S Cawaii!』AKB48特集の編集長を務めるなどクリエイティブな活動も。9月に発売したスタイルブック『短所ネガティブ 長所ネガティブ』では自ら執筆した赤裸々な半生を綴った自叙伝が話題に。

※取材は2022年7月に行いました。


「アイドルになりたかったわけじゃない」AKB48入りするも葛藤

──2005年『AKB48 オープニングメンバーオーディション』に合格し、芸能界入りを果たした峯岸さん。芸能界を志したきっかけを教えてください。

物心がついたころからテレビに出る仕事をしたいなと思っていました。(オーディション応募当時は)小学生だったので、あまり深く考えていなかったというのもありますが、アイドルになることが目標ではありませんでした。

──どうしてAKB48を選んだのでしょう?

選んだというよりはオーディション雑誌に載っていたオーディションのひとつで、唯一最終審査まで進んで、合格できたのがAKB48でした(笑)。

当時って、今よりも秋葉原=オタク文化のイメージが強く、メディアでは誇張されて描かれていたのでちょっと怖い、未知の世界というイメージだったんですね。でも、両親は「秋元康さんのグループだから大丈夫だよ」って絶大な信頼を置いていて、背中を押してくれました。

──いざアイドルになったことで、葛藤はなかったのでしょうか?

もともとHIPHOPダンスをやっていたり、初めて行ったコンサートがブリトニー・スピアーズだったりと、“かわいい”よりも“かっこいい”への憧れが強かったので、私服もB系ファッションが多かったんです。でも、ファンの方から「かわいい洋服を着てほしい」というリクエストをいただいたりして、最初は戸惑いました。

人気が可視化される総選挙。「当時は本当に嫌だった」

──AKB48として芸能活動を開始した当初は、どのような気持ちだったのでしょうか?

本当に初期のころのAKB48は全然売れていなかったので、毎日少ないお客さんの前で劇場公演をしながら「これどうなるんだ?」って思ってました(笑)。

あとはセンターに立つ子もいれば、端っこになる子もいるわけで……。学校で運動会やテストのような結果が出る機会はあったとしても、誰かと比べて優劣をつけられることや、序列をつけられることがなかったので、それにショックを受けていました。

──AKB48というグループが人気になればなるほど、メンバー間の格差を感じることはさらに増えていったのではないかと想像します。

最初は「どうやったらAKB48を知ってもらえるか」をみんなで考えて同じ方向を向いていたのですが、お客さんが増えてからはメンバーそれぞれに人気の格差が出てきました。握手会の列の長さとか、声援や手紙の量、歌割が多いかどうか……そういう一つひとつを汲み取って、自分の人気がどのくらいかを感じることはありましたね。

──そんななか、総選挙が始まったんですね。

総選挙が始まるまでは、自分の中で人気の有無を感じるだけだったので、ちょっと苦しいだけ。なんとかメンタルを保てていました。でも、総選挙はAKB48のファンじゃない方も含めて、注目されるイベントでしたし、世間に順位を晒される怖さがありました。

あえてみんなが触れてこなかったところに切り込んでいくのが新しくて注目されるコンテンツだということは、大人になった今、理解できるんですけど、当時は本当に嫌でした。

──人気格差を感じるなかで、AKB48メンバーでありつづけるためにしたことはありますか?

歌やダンス、アイドルとしての純粋な人気で前に出ることは難しいと感じていたのですが、バラエティ番組に出たときに、自分の発言で笑ってもらえることに気づいたんです。そのポジションを自覚するようになってからは、求められる役割で、期待に応えられているような感覚になって「ここだ!」と振り切れるようになりました。


やっと見つけた“バラエティ担当”としてのポジション

──では、AKB48時代からバラエティで活躍することは苦難なく乗り越えられていたのでしょうか。

いや、苦しんでましたね。当時は2ちゃんねるが盛んだった上に、ツイッターが登場したころだったので「目立ちたがり屋」とか「出しゃばり!」って言われることも多くて。心の中では「グループの中での自分の立ち位置を見つけて、がんばっているだけなのに……」と思っていましたが……まあ伝わらないじゃないですか。

今はYouTubeやSNSもあって、より自分の内面を見せられるコンテンツが増えたように感じますが、当時は「テレビで見たものがすべて」という風潮が強かった気がします。だから、やっと見つけた自分のポジションを否定されることは、けっこうしんどかったです。

──アンチの声が多いと萎縮してしまう気もしますが、どう乗り越えたのでしょう?

身近にいる人が「みぃちゃんって、なんできつい人って思われちゃうんだろうね」って言ってくれて、「世間から言われているほど、(私は)悪いやつじゃないのかも」って思えるようになりました。それで自分を保ちつつ、どうしたらそう見られないように自分が表現できるのかを考えるようになりました。

──世間からの見られ方というのは、それまでも意識していたのでしょうか。

正直、あまり考えてられていませんでした。アイドルであるという自覚がないまま、アイドルになってしまったからというのもあるとは思うのですが、起きて、今日はこの仕事の日だから、そこに行って、用意されたことをするだけ。今思うと着せ替え人形のように自分の意志がないまま活動している時期もあったので、もっと自分でどうしたらいいかを考えればよかったかなと思います。やっぱり振り返ってみると、セルフプロデュースが上手な子は人気でしたからね。

──見られ方を意識し始めたのは、どのタイミングからでしたか?

同期が続々と卒業していくなか研究生と接するようになったり、チームのキャプテンになったりしてからですかね。そのころ、スキャンダルがあったこともあり、世間からあまりにも嫌われ過ぎているなと思ったんです。

もちろん批判の声があるのは当たり前だと思っていたのですが、何も知らずに純粋に自分のことを頼りにしてくれる後輩や、その子のファンの方から感謝されたときに「諦めちゃダメだ」と思って、少しずつ感謝とか信頼を集めたいと考えるようになりました。それで「ちゃんとしよう!」と気持ちを切り替えられたんです。

肩書に頼らず「ラッキーに転がされて生きていきたい」

──卒業後の今、『S Cawaii! 特別編集 AKB48スペシャル』の編集長を務めたり、指原莉乃さんがプロデュースするアイドルグループ・=LOVEの「ウィークエンドシトロン」でMV監督を務めたり、プロデューサー的な役割をしていることも多い印象です。

アイドルというよりも、かわいい女の子のことは昔からすごく好きなのでディレクションをすることに興味を持ち始めました。AKB48への恩返しにもなるし、自分の好きなことを活かせるのならいいなと思って楽しんでます。

ただ、そう思えたのはさっしー(指原莉乃)から機会をもらったからなんですけどね。

──なぜ指原さんは峯岸さんにMV監督を任せたのでしょうか?

私が聴いている音楽や、好きなMVを知っているさっしーが「こういうのが好きなみぃちゃんなら、いい感じに世界観を表現してくれそう」と思ってくれたみたいです。

もともとさっしーのことはすごく尊敬しているし、そのすごさは身近にいながらも感じているので、そういう人が「任せたい」と思ってくれたのなら、できるのかもしれないなと思って受けることにしました。

──プロデューサーとしての顔のほか、バラエティ番組にも出演し、マハラージャンさんの「その気にさせないで」のMVではダンスを披露するなど、受けている仕事の幅が広い印象です。仕事を受ける・受けないの基準があれば教えてください。

30歳までは「好き嫌いせず、なんでもやります」とマネージャーさんに言っているんです。もちろん「自分にできるのかな」と不安になることもたくさんあるのですが、これまでにも体当たりでやってみたら、それがきっかけでまた違うお仕事につながることがありました。だから、必ずしも自分がやりたいことが絶対じゃない、やりたくないことをやらないのがいいこととも限らないなって思っているんです。

──今の峯岸さんがなりたいと思っている目標、理想の将来像があれば教えてください。

今はとにかく目の前のことをがんばっていきたいです。AKB48にいれば、AKB48としての仕事もたくさんあったのですが、ひとりになったことで自分に対して責任を持たければいけないなと思うようになりました。

それに本当に小さなことの積み重ねで、一番嫌われていたころとは見られ方も変わって、味方になってくれる人もすごく増えたなと感じているので、とにかく目の前のことを地道にがんばろうって思うんです。

でも、30歳になったら無理せず、自分が楽しいと思いながら過ごせる日が1日でも多くあったらいいなと思っています。そのために、今はがんばっているんですよね。そうは言っても思ってもないところでバズったら「またがんばるか!」って思っちゃうかもしれませんけど(笑)。

──テレビやメディアに出つづける、アイドルプロデューサーのような肩書を手にするなどのこだわりはありますか?

 「この路線で!」というのはあえて決めないことにしているんです。もしも何か道を決めちゃったあとで、失敗しちゃったら落ち込むじゃないですか。

それに、どんな仕事にも良いときと悪いときってある。だから、いろいろやってみて、なるべくいい瞬間を作っていくことでバランスを保ちたいんです。ラッキーに転がされて生きていきたいなと思っています。どう転ぶのかは、わかりませんが、それを楽しんでいきたいです。

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於 ありさ

(おき・ありさ)ライター・インタビュアー。金融機関、編プロでの勤務を経て2018年よりフリーランスに。サンリオ・男性アイドル・テレビ・ラジオ・お笑い・サッカーが好き。マイメロディや推しに囲まれて暮らしている。

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