音楽チャートの上位に、さまざまなボーイズグループの名前が並ぶ時代になった。男性アイドルの代名詞であるジャニーズ事務所や着々とカルチャーを作ってきたLDHはもちろん、新旧問わぬボーイズグループが堂々と肩を並べる。2022年とは、そういう時代だ。
幾多の個性的な女性アイドルが生まれ、シーンを作っていた2010年代が「アイドル戦国時代」と呼ばれるならば、今は「ボーイズグループ戦国時代」と言えるのかもしれない(“戦国時代”という表現に、いささか疑問はあるが)。
「ボーイズグループ最前線2022」と銘打ったこの記事では、ジャニーズ&LDH以外で注目しておきたい日本のボーイズグループを全7回にわたってピックアップ! プロフィールを振り返ると共に、各アーティストの魅力を綴っていく。
第2回では、サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』出身のJO1(ジェイオーワン)&OWV(オウブ)&円神(エンジン)&OCTPATH(オクトパス)を紹介する。
『PRODUCE 101 JAPAN』が輩出した数々の注目グループ
社会現象を巻き起こしたサバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』。2019年にJO1が誕生した第1回が行われ、2021年にはINIを生んだ「SEASON2」が開催された。「ボーイズグループのメンバーとして世界で活躍したい」と願う男性にとって、同番組が憧れの的であったことはいうまでもないだろう。
活動が目立つのは“最後の11人に選ばれたメンバー”で結成されたJO1やINIだが、『PRODUCE 101 JAPAN』の練習生出身メンバーで結成されたグループは彼らだけではない。それぞれのグループで今を輝く姿にも注目してほしい。
JO1
2020年3月デビュー、『PRODUCE 101 JAPAN』で選ばれた11人によるダンス&ボーカルグループ。CDはリリースするたびに20万枚以上の売り上げを記録し、オリコンチャートではデビュー以来シングルが5作連続で1位を獲得。
活動は音楽領域だけに留まらず、イヴ・サンローラン・ボーテ初の男性アンバサダーに就任するなど各界から熱視線が注がれる。この春には、JO1の11人がそれぞれ主演を務めるドラマ『ショート・プログラム』がAmazon Prime Videoにて配信されると共に、ドキュメンタリー映画『JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-』が全国の劇場で公開された。
こう書き連ねると、経歴だけがすごいグループのような印象を与えてしまうかもしれない。しかし、これらの実績は彼らの実力があってこそ。ダンスリーダーの川尻蓮を筆頭に磨かれたシンクロダンスはより精度が増し、「こんなに踊れるアーティストが日本にいたのか!?」と圧倒されることだろう。
また、歌に関してはデビュー当時こそは河野純喜と與那城奨の二大巨頭のようなイメージがあったが、昨今ではそれぞれが自身の声色を活かしたボーカルやラップを展開している。それでいておごり高ぶることなく、「日本のトップは、まだ取れていない」と冷静な自己分析をしてしまうのだから、彼らの未来に期待しない理由がない。
OWV
2020年9月デビュー、『PRODUCE 101 JAPAN』の元練習生によって結成された4人組ボーイズグループ。「OWV」は「Our only Way to get Victory~勝利を掴む僕たちだけの道~」という意味であり、そのグループ名には「唯一無二の存在となり、この世界で勝利を掴む」というメンバーの強い想いが込められている。
4人という少数精鋭な構成でありながら、パフォーマンスは堂々としていてダイナミックなのが特徴だ。著名アーティストのバックダンサーを務めた経験もある佐野文哉や本田康祐がコレオグラフに関わることもあり、それぞれの個性を活かした振り付けも見どころのひとつ。トークスキルも高くてライブ中のMCで盛り上がることはもちろん、冠バラエティ番組やYouTubeでも絶妙なトークを展開している。
“バラエティ力抜群のおもしろいお兄ちゃんたち”であることは間違いないのだが、それぞれが不遇の時代を過ごし、オーディション落選という経験があるからこそ、彼らは常に泥臭くて本気なのだ。楽曲やコレオグラファー(振付師)の選出に積極的に関わり、ライブも自主性を持って作り出していく。心血が注がれた本気のエンタテインメントと温かい人柄に、ぜひ触れてほしい。
円神
2020年6月始動、『PRODUCE 101 JAPAN』の元練習生によって結成された9人組パフォーマンスユニット。“「歌×ダンス×芝居」が融合した新しいパフォーマンスショー”を活動の軸にしており、初ステージもライブではなく歌やダンスを織り交ぜた舞台公演となった。個々での活動も精力的に行い、草地稜之と中本大賀はテレビドラマにレギュラー出演を果たした。
現時点での円神の魅力は、未完成さに秘められた可能性だ。正直なところ「パフォーマンスで何かひとつ際立ったスキルがあるか」と問われると、そういうわけではない。しかし、未熟であることを前提としながら、何事にも食らいついていく強さがある。舞台では殺陣や影アナ、お笑いなどにも果敢に挑戦。少しでも可能性があるならなりふり構わずやってのける意地こそ、彼らの最大の魅力だといえるだろう。
OCTPATH
2022年2月デビュー、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』の元練習生によって結成された8人組ボーイズグループ。グループ名「OCTPATH」には、「8人(OCT)ならではの道(PATH)をファンの皆様と共に歩み、固定概念にとらわれない変幻自在な活動をし、常に上の音域・領域(OCTAVE)への道(PATH)を追求していく」という想いが込められている。
パフォーマンスにおいては、ボイスパーカッションや作詞・作曲、アクロバットを特技に挙げるメンバーもおり、多彩なアプローチに期待大。「日本一ミーティングするグループ」を自負し、デビュー前の段階からさまざまなクリエイティブにも関与して、自分たちでグループを作り上げていこうという意識が高いことも特徴だ。