ORβIT&FlowBack&IVVY【ボーイズグループ最前線2022#6~音で魅了する楽曲派~】

2022.5.4
ORβIT&FlowBack&IVVY【ボーイズグループ最前線2022#6~音で魅了する楽曲派~】

文=坂井彩花 編集=森田真規


音楽チャートの上位に、さまざまなボーイズグループの名前が並ぶ時代になった。男性アイドルの代名詞であるジャニーズ事務所や着々とカルチャーを作ってきたLDHはもちろん、新旧問わぬボーイズグループが堂々と肩を並べる。2022年とは、そういう時代だ。
 
幾多の個性的な女性アイドルが生まれ、シーンを作っていた2010年代が「アイドル戦国時代」と呼ばれるならば、今は「ボーイズグループ戦国時代」と言えるのかもしれない(“戦国時代”という表現に、いささか疑問はあるが)。
 
「ボーイズグループ最前線2022」と銘打ったこの記事では、ジャニーズ&LDH以外で注目しておきたい日本のボーイズグループを全7回にわたってピックアップ! プロフィールを振り返ると共に、各アーティストの魅力を綴っていく。

第6回では、楽曲制作でメンバーがクリエイティブに関わるなど“音”に対するこだわりが強く感じられるORβIT(オルビット)&FlowBack(フロウバック)&IVVY(アイビー)を紹介する。

【関連】「おすすめボーイズグループランキング」第1位は?


完成度の高い楽曲を届けるボーイズグループ

「ボーイズグループの曲って、キラキラしたアイドルソングばかりでしょ?」などと、侮るなかれ。世界で評価されているバックストリート・ボーイズやBTSだって、形態としてはボーイズグループ。彼らのようにクオリティの高い作品を生み出すボーイズグループは、もちろん日本にも存在しているのだ。しかも、提供された曲を表現するだけに飽き足らず、自ら制作にも関わっていくグループも少なくない。完成度の高い楽曲に、偏見なく耳を傾けてほしい。

ORβIT

ORβIT 「Eclipse」 M/V (Full ver.)

2020年2月結成、日韓合同7人組ボーイズグループ。コロナ禍の影響を受け、活動当初は韓国組と日本組に分かれての活動を余儀なくされていたが、2021年9月には韓国で合流。リーダーのヒチョを中心に、作品のコンセプト決めや選曲、作詞、アートワークまでメンバー主導で行っている。

ほぼ全員がDTMを使いこなすのも驚くべき事実なのだが、ORβITの特徴は楽曲のクオリティが恐ろしいほど高いところにある。テーマやコンセプトにあった曲を自分たちで選び、音楽におけるアート面とメッセージ性を柔軟に使い分けて作品として昇華。歌詞においても、外注とメンバーによる作詞を適宜使い分けることで一番届く言葉を模索している。

そこまでするのは“聴ける音楽”を追求しながら、なおかつ“7人で考えて作る音楽”を大切にしているから。自分たちは音楽を通して表現するアーティストであり、パフォーマーである以前に歌手。そういった考えが7人に根づいているから、隅々までこだわり尽くされた楽曲が生み出されるのだ。もちろん楽曲だけでなく、ダンスパフォーマンスも圧巻のクオリティである。


FlowBack

FlowBack / IDEA - Music Video

2013年結成、セルフプロデュースを主軸に活動する4人組ダンス&ボーカルグループ。事務所やレーベルに所属することなく活動を始めた、ボーイズグループの草分け的存在だ。結成時はダンスや歌が未経験のメンバーもいたが、現在では安定感のあるパフォーマンスを保持。2021年いっぱいでメンバーがひとり脱退し、現体制となった。

最近でこそ、メンバーの意志を楽曲やグッズに反映するグループが増えてきたが、彼らは結成以来ずっと“Made in FlowBack”を貫いてきた。「やってくれる人がいないから、自分たちでやっていた」で始まったセルフプロデュースは、キャリアを重ねるごとに確固たる個性へと変化。音楽シーンへの嗅覚も鋭く、2017年の時点で2ステップのナンバーを出していたことには脱帽だ。

「自分たちがカッコ悪いと思うことはやりたくない」というまっすぐな意志が、彼らを高いクリエイティビティを持ったアーティストに押し上げたのだろう。5月15日には新体制初となるワンマンライブも予定されている。積極的に音楽と関わり、それを“FlowBackの進化”へと昇華していく。そんな彼らの次なる一手が楽しみだ。

IVVY

IVVY - Wanna be (Music Video)

2015年9月結成、7人組ダンス&ボーカルグループ。リーダーのHIROTOを中心に結成し、何度かの加入・脱退を経て現体制へ。整ったビジュアルかつ華々しい経歴を持っていることから、“ハイスペック集団“を謳っていた時期もある彼ら。下から上へ這い上がっていく“ツタ”になぞらえて、IVVY(ツタ植物を意味する「ivy」に由来)と名づけられた。

事務所に所属せずセルフプロデュースで活動を始めたため、現在もクリエイティブの随所にメンバーの意見が反映されているのが大きな特徴のひとつ。中でも、ライブへのこだわりが強く、セットリストや演出の細部に至るまで彼らの意志が宿っている。

デビュー当初こそアイドル色の強いポップでキャッチーな楽曲が多かったが、近年では海外を意識したローの効いたサウンドも増加。7人になった彼らが、今後どのような曲を発表していくのか注目だ。

【ボーイズグループ最前線2022】
7:結成10年超(5月5日公開予定)
関連:ボーイズグループ記事


この記事の画像(全1枚)


この記事が掲載されているカテゴリ

ライター_坂井彩花

Written by

坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

CONTRIBUTOR

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森田美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太

QJWebはほぼ毎日更新
新着・人気記事をお知らせします。