VTuberの配信時間帯選びは奪い合いではない、表現の手法だ(たまごまご)

2021.11.23
VTuber5

VTuberのご意見番・たまごまごの連載第5回のテーマは「配信時間」。今でこそ四六時中誰かしらが配信している状況だが、ほんの3、4年前を振り返ると、VTuberの存在は珍しく、配信時間もそのスタイルもだいたい似たようなものだった。現在のように多種多様なVTuber表現が創成されるまでには、どんな進化の過程があったのだろう。「配信時間」を切り口にVTuber文化の歴史を考察。


動画投稿が多かった黎明期

「VTuberの配信見てみたいんだけど、何時くらいにやってるの?」と聞かれた場合の模範解答は「主に18時から0時」だと思う。数だけでいえば、テレビのゴールデンタイムとほぼ大差ない。
しかし、正確に答えるとしたらこうなる。「1日中すべての時間」。どの時間にもVTuberはいる。そして時間帯が分かれていることには、ちゃんと意味がある。

2017~2018年初頭のVTuber黎明期、まだそんなにVTuberが存在していなかったころ、投稿はほぼみんな19時前後に行われていた。この時期そもそも配信メインだったのはときのそらくらいで、キズナアイ、ミライアカリ、電脳少女シロなどみんな動画投稿をする活動形態だった。個人のVTuberも生まれつつあったが、やはり動画での投稿が多かった時期だ。

YouTuberの文化では動画は基本的に短めなため、一定の時間に定期的にアップされないと見つけてもらいづらい。このころは「プレミア投稿(投稿された動画をリアルタイムでみんなで見て、コメントしたりスーパーチャットを投げられる仕組み)」もなかったため、なおさら定時投稿は必須、ずれたら死活問題、という状況だった。

当時のVTuberファンは飢えていた。おもしろい文化が始まったからもっと観たい、でも供給が圧倒的に少ない。19時くらいに投稿される動画を楽しみに、1日を過ごしていた。

にじさんじと配信文化の勃興

2018年2月、にじさんじ1期生がデビューし、「バーチャルライバー」という考え方が生まれてから、VTuberの活動スタイルは一変した。配信をメインに行う、という名目で誕生したので、1回の活動が主に1時間以上になった。

2Dで1時間以上、身体を動かさずしゃべっている状態は見慣れないものだったが、受け入れられるのも非常に早かった。動画文化は「バーチャルなYouTuber」の文脈に沿っていたとしたら、配信文化は「ニコニコ生放送」「ツイキャス」に近く、ノリを覚えたらすぐに楽しめただろう。特にニコ生との親和性は高く、あっという間にニコニコ動画側がVTuberを大型イベントに呼び、成功を収めるほどになる。ファン層の幅もこのあたりで一気に広がった。

こうなると、にじさんじ以外の個人配信もあいまって、ゴールデンタイムの18時から0時は誰かしらやってはいるものの、どこかでぶつかって譲り合うことも出てくる。トークやゲーム実況メインで活動する人たちの技術力が一気に上がり、時間の重なり合いがどんどん起き始めた時期だ。

気にしなければいいといえばそこまでだが、むしろ「時間帯をずらす」ことは新しい個性とウリにもつながる。時間帯の分散が始まった。

深夜三傑RKS、悪いコNight、おはガク!

この記事を気に入った方はサポートをお願いします。次回の記事作成に活用いたします。

この記事の画像(全3枚)


関連記事

この記事が掲載されているカテゴリ

たまごまご

Written by

たまごまご

道民ライター。『ねとらぼ』『Mogura VR』などのWEBメディアや、雑誌『コンプティーク』『Vティーク』『PASH!』などで執筆中。マンガ、アニメ、VTuber、サブカルチャー中心に活動中。『仕事のマナー「気がきかない」なんて言われるのは大問題ですっ!』などなど発売中。バーチャルプラットフォーム..

QJWeb今月の執筆陣

酔いどれ燻し銀コラムが話題

お笑い芸人

薄幸(納言)

「金借り」哲学を説くピン芸人

お笑い芸人

岡野陽一

“ラジオ変態”の女子高生

タレント・女優

奥森皐月

ドイツ公共テレビプロデューサー

翻訳・通訳・よろず物書き業

マライ・メントライン

毎日更新「きのうのテレビ」

テレビっ子ライター

てれびのスキマ

7ORDER/FLATLAND

アーティスト・モデル

森⽥美勇⼈

ケモノバカ一代

ライター・書評家

豊崎由美

VTuber記事を連載中

道民ライター

たまごまご

ホフディランのボーカルであり、カレーマニア

ミュージシャン

小宮山雄飛

俳優の魅力に迫る「告白的男優論」

ライター、ノベライザー、映画批評家

相田冬二

お笑い・音楽・ドラマの「感想」連載

ブロガー

かんそう

若手コント職人

お笑い芸人

加賀 翔(かが屋)

『キングオブコント2021』ファイナリスト

お笑い芸人

林田洋平(ザ・マミィ)

2023年に解散予定

"楽器を持たないパンクバンド"

セントチヒロ・チッチ(BiSH)

ドラマやバラエティでも活躍する“げんじぶ”メンバー

ボーカルダンスグループ

長野凌大(原因は自分にある。)

「お笑いクイズランド」連載中

お笑い芸人

仲嶺 巧(三日月マンハッタン)

“永遠に中学生”エビ中メンバー

アイドル

中山莉子(私立恵比寿中学)
ふっとう茶☆そそぐ子ちゃん(ランジャタイ国崎和也)
竹中夏海
でか美ちゃん
藤津亮太