「N産」雪辱を果たせるか。『魔改造の夜』企業の意地をかけた“赤ちゃん人形綱登り”(てれびのスキマ)


テレビっ子のライター“てれびのスキマ”が、昨日観た番組を記録する連載「きのうのテレビ」。2020年から毎日欠かさず更新中。

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『魔改造の夜』

先週の「扇風機50m走」につづき、今回魔改造するのは赤ちゃん人形。

8mの綱を速く登ったチームが勝ちという「赤ちゃん人形綱登り」。ルールには「芽生える優しさと、思いやりをこめること」という項目も。人形のメーカーの人がいちいちコメントを求められたときに切なそうに答えるのがおもしろい。

前種目優勝の「Sライズ」(=SOLIZE)が作ったのは「足が長いよソラちゃん」。その形状を見て「ジュディ・オング方式?」とほかのチームが予想。長い足をマジックハンドのように伸縮させ登るというもので、「夢に出てきそう」な異様な動きでありながらスムーズに登っていき、いきなり7秒99の好タイムを叩き出す。

前種目ではエンジン搭載の機体でインパクトを残した「Nット-」(=NITTO)は、またも芋虫のような風貌の「りとるグリーンもんすたー」で会場をどよめかせる。手を上下に素早く動かし登る仕組み。

グロテスクな見た目ながら、いったん登り始めると、なんだか健気でかわいい。タイムはSライズを超えることはできなかったが、登り切ったときにはみんなが笑顔になる不思議な魅力。ここまで奇しくも前回とまったく同じ展開に。

そして前種目、2回とも「失格」という屈辱を味わった大本命「N産」(=NISSAN)は、人体の形状を維持した「メカレディZ」を披露。解説の伊集院が「このまま商品として欲しい人がいそう」と評する見た目の完成度。頭にはリボン風の安全停止ボタンまで取りつけてある。手足を扇状に開閉し登る仕組み。

このときに限らないが、機体を見てほかのチームが「綱が揺れそう」「手足ふたつ動かすのは機構が複雑」などとその特徴や課題について即座に分析することで、いかに試行錯誤を繰り返してきたかがわかる。

スタートボタンを押す担当の社員は、緊張でマウスシールドが真っ白に曇っている。「ボタンの押し間違いが心配」とリーダーは語る。順調にスタートし、Sライズを上回るペースで登っていく。が、ゴール直前でまさかのストップ。ほかのチームが「悪魔が取り憑いてる……」と呟くほど、なぜ止まったのかよくわからない。

スローVTRを観ると、揺れた綱がわずかに安全停止ボタンに当たっていた。愛情を込めた装置が仇になる、あまりにも皮肉な結果。

2本目は着ぐるみを脱ぎかわいさを捨て「スピーディー・ワンダー」となったNット-、そして安全停止ボタンをズラして挑んだN産。けっしてボタンを取らなかったN産に「ドラマを感じる」と伊集院。

しかし、N産、今度はスタート直後に止まってしまう。膝から崩れ落ちてうなだれる社員。なんとリーダーの心配が的中し、スタートボタンを押す際、指が引っかかり配線が外れてしまったという悲劇。「何がダメなんですか……」と落ち込むN産。リベンジの機会を与えてほしい。

同じ競技でありながら、三者三様、それぞれの社風を反映した機体になるのはやはりおもしろい。「うちの子」と呼んだり、髪の毛をとかしたり、精密機械だからというだけではない優しい持ち方をしていたりと、機体に対する愛情深さもとてもいい。

そして完全優勝を果たしたSライズ。彼らは「業務」として取り組んでいた。日本ではこうしたものはあくまで「遊び」であり、やる気ややりがいを持って業務外で準備するのが常識や美徳のようになっているけど、おそらく欧米の企業が参戦したらSライズのように「業務」として挑んでくるはず。なぜなら、こういうところに企業の強さが生まれるから。

そんな文化と理念のSライズが勝ったことで日本の企業に一石を投じてほしいし、とても頼もしさを感じた。

『さんまのお笑い向上委員会』

ゲストはもう中学生。それにクレームをぶつけるのは、もう中が「唯一かわいがっている後輩」で「高ちゃん」あるいは「チャンタカ定食」と呼ぶジョイマン高木。

毎回結果を出してないのにライブに呼んでくれるのだが、楽屋で残ったケータリングを、子供がお菓子を食べられないだろうからと全部カバンに入れてくるそうで、「俺はそこまで貧乏じゃねえ」とクレーム。

「そう思ってたんだ、高ちゃん。飴玉1個がお子さんの栄養になったり、お菓子のせんべい1枚が奥さんのエナジぃ、エナZYにつながるかなと思って」ともう中。

「今日もプレゼントを持ってきたのに……」と取り出したのは、なぜか「立山黒部」の暖簾(のれん)。困惑しながら受け取る高木に「もらい方が違うよ~」と口を尖らせるもう中。すると高木がジョイマンラップ調で「いただきます ニジマス」。もう中「うれしい、川魚だぁ」。

この番組らしからぬ平和な空中戦がひたすら楽しい。


明日観たい番組:『激レアさん』『ソウドリ』『さまぁ~ず論』など

『激レアさん』(テレ朝)「ずっと人と関わることを拒み国民的ロールプレイングゲームばかりをやっていたら体のある一部が異常に発達し、人生が180度変わった人」。

『ソウドリ』(TBS)男性ブランコvsポンループvsロングコートダディ。

『さまぁ~ず論』(テレ朝)にナイツ。

『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレ朝)「やったことないことに挑戦してみる夜」。

『ファミリーヒストリー』(NHK)に舘ひろし。

『紙とさまぁ~ず』(テレ東)に小松菜奈。

『徹子の部屋』(テレ朝)に風間杜夫。


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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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てれびのスキマ

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。