“3カ月自粛がつづけば閉館”。苦境のミニシアターを救う多様な支援をリストアップ

2020.4.14

文=原 航平 編集=田島太陽


全国のミニシアターが窮地に立たされている。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)を対象に緊急事態宣言が発令されたのが4月7日(その後、他県も相次いでいる)。東京都がまとめた休業要請の中には映画館も含まれており、多くの映画館が当面の間の臨時休館を余儀なくされた。

そこで、ミニシアター支援のために各所でスタートしているプロジェクトをまとめた。政府への経済的補償を求める署名活動から、クラウドファンディング、オンラインショッピングまで、その支援の方法はさまざま。危機的状況にある映画・劇場の一助となるために、私たちの生活から映画文化を失わないためにも、自分に合った方法での支援につなげるきっかけとなることを願う。

#SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクト

俳優の井浦新や柄本明、監督の是枝裕和や上田慎一郎など多くの映画人が呼びかけ人となったSave The Cinemaは、「ミニシアターを救え!」プロジェクトの第1弾として、オンライン署名サイト『Change.org』での署名運動を4月6日にスタートさせた。これは、日本政府に対し、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けている小規模映画館(ミニシアター)等への緊急支援を求めるものだ。

このまま緊急事態宣言が出されたら、閉館せざるを得ない映画館も出てくると思われます。映画は人に観てもらって、初めて完成すると言います。そういう意味で、映画館は、映画と観客を結ぶ架け橋、映画という表現の最前線なのです。それをどうしても守りたい。

(中略)

つきましては、一人でも多くの方に署名に加わっていただきたいと思っています。映画の制作、配給、上映のみならず、映画文化に関わり『ミニシアターを救いたい』という思いを共有できる方であればどなたでも参加いただけます。

『SaveTheCinema「ミニシアターを救え!」プロジェクト』より

そうした想いの下で、有志の呼びかけ人、賛同者によって緊急支援を求める要望書が作成された。

内閣府、議員連盟、文科省・文化庁といった各所への署名提出を4月15日予定としており、本日14日まで署名を募集。10万筆を目標としている。

13日には公式サイトもオープンし、次に記載するクラウドファンディング『ミニシアター・エイド基金』とも連携するなど、全国へのミニシアター支援を断続的に行っていくとのことだ。

savethecinema公式サイト
『SAVE the CINEMA ミニシアターを救え!』公式サイトより

クラウドファンディング『ミニシアター・エイド基金』

ミニシアター支援のために立ち上げられた任意団体『ミニシアター・エイド基金』は、深田晃司監督(『よこがお』など)と濱口竜介監督(『寝ても覚めても』など)の発起人ふたりが支援を訴え、4月5日にステートメントを公開した。

日本においてミニシアターはその多彩なプログラムによって、世界の多様性に貢献し続けてきました。外国の映画人からミニシアター文化を賞賛されると、我が事のように誇らしくなる反面、素直には喜べない複雑な思いもまた抱かされます。なぜなら、ミニシアターの多くが経済的にギリギリの状況で、そこに携わる人々の人生を犠牲にするような覚悟によって成り立っていることを知っているからです。

今回のコロナウィルスのような有事に、まっさきに存続の危機に立たされるのは、大手の資本のバックアップもなく、ときに家内工業のような規模で営まれるミニシアターです。平時においても、日本は諸外国と比べ映画館にはほとんど文化予算が下りることはありません。本来なら、こういったときこそ国が支援に乗り出すべきだと思いますし、私たちは文化芸術の公的価値に見合った支援を今後も要求し続けなくてはなりませんが、今はそれを待っている時間もありません。ぜひ、映画の多様な文化を絶やさないためにも、ミニシアターの支援にご協力ください。

深田晃司のステートメントより

これから始まるクラウドファンディングにおいては、あくまで自分の生活を最優先に、物・心両面で支障がない範囲での支援をお願いしたいと思っています。相対的に「余裕のある人」が少しだけ、現時点でそれの「ない人」にシェアするだけでよいのです。「余裕」そのものを社会全体が保持するよう、個々に分配する、その方策の一つとして、この基金があるとご理解ください。

公に向けたアクションを並行して進めることも、非常に重要です。あくまでこの基金は、劇場や関係者がまとまった公的補助を得るまでの「つなぎ」です。ただ公的機関が動くまでには一定の時間を要するでしょう。まずは緊急支援策として、1映画ファンコミュニティでの「互助」を可能にするために、このプロジェクトを立ち上げました。

濱口竜介のステートメントより

13日には、『MOTION GALLERY』にてクラウドファンディングがスタートするのに伴い、ライブストリーミングスタジオ『DOMMUNE』でキックオフ記者会見が実施された。これには深田と濱口のほか、アップリンク代表の浅井隆、斎藤工(俳優・映画監督)、渡辺真起子(俳優)が全員モニター越しのリモートで参加。斎藤と渡辺は学生時代から救われつづけてきたミニシアターへの想いを語り、ミニシアターがある未来を守るための支援を訴えかけた。また、監督の是枝裕和や河瀬直美、片渕須直のメッセージも斎藤と渡辺によって代読された。

「3カ月休館がつづくと必ず閉館となってしまう」

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原 航平

(はら・こうへい)ライター/編集者。1995年生まれ、兵庫県出身。映画好き。『リアルサウンド』『クイック・ジャパン』『キネマ旬報』『芸人雑誌』『メンズノンノ』などで、映画やドラマ、お笑いの記事を執筆。 縞馬は青い

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