昭和のインチキおじさんたち(ランジャタイ国崎)

2021.8.19
ランジャタイ国崎

小学3年生のときに

「たまごっち」が大ブームになった。

発売当初

あまりの人気っぷりに

どのおもちゃ屋も売り切れ続出になり、

田舎では、

持ってる子が、時代の最先端

スーパースターだった。

そんなたまごっちが欲しくて欲しくて、毎日たまごっちのことを考えていた。

町にあるおもちゃ屋のチラシをチェックしては

たまごっちが発売してないか確認して、

「ないかあ〜」

と残念がっていた。

そんな中、ついにその日がやってきた。

『明日、〇〇の店、たまごっち発売されるらしいよ、、!』

自宅の電話。

学校の「連絡網」ついでに、友達にそれを聞いた僕は、腰を抜かしそうになった。

「たっ、たまごっちが!?」

受話器に顔をめりこませる。

確かな情報なのか?!

なんでわかったんだ?!

本当に本当なのか?!

鼻息を荒くして夢中で話した。

『本当だよ国ちゃん!!チラシにのってる!!!たまごっちが!!』

「ええっ!!」

ついにきた、、!

ついに我が町に、たまごっちがやってくるのだ!

「ついに、、!」

『うん、、でもさ、、明日、、』

ここで、問題が発生した。

『明日、、学校やよね、、』

明日は、学校なのだ。

『、、どうしよう、、』

友達の声が、みるみる情けなく、小さくなる。

『学校終わってダッシュかなあ、、』

学校が終わってからのおもちゃ屋に、

大人気の「たまごっち」があるわけない。

絶対に売り切れている。絶対に。

「、、、、、」

そのときに僕はもう、決心をしていた。

「、、、、、」

明日、学校を休むのだ。

休んで、朝イチでおもちゃ屋に並ぶのだ。

学校なんか行ってる場合じゃない。

「たまごっち」が明日、我が町に来るのだ。

そのあと、どうしてそうなったかは覚えてないが

なぜか親戚のおじさんと、朝イチでおもちゃ屋に並んだ。

親になんて言ったんだろう?

学校はどうやって休んだんだろうか?

その過程がどうしても思い出せないが、学校を休んで、親戚のおじさんと朝イチでおもちゃ屋に並んだことは鮮明に覚えている。

そしておもちゃ屋が開店して、

ついにご対面の瞬間はやってきた。

たまごっちと思われるブツは、レジ横にあった。

「、、あれ?」

しかしその商品をよく見ると、

『ぎゃおッPi』 と書いてある。

、、『ぎゃおっPi』、、、?

、、、たまごっち は、、?

『ぎゃおッPi』の横には

ポップが貼ってあり、

『大人気!!』と書いてある。

「カズ、やったなあ〜!」

親戚のおじさんはよくわかってないので、これが「たまごっち」だと思っている。

「おっちゃんこれ、たまごっちじゃない、、」

「え?!」

「ニセモノだ、、! ぎゃおッPi、、て、、」

「え!?」

パッケージを見ると、確かにたまごっちと似てるのだが、ペット感覚の恐竜育成ゲームとあり、さらにはっきりと

『ぎゃおッPi』

と書いてある。

おじさんとビックリして、2人であたふたしていると

『どうかしました?!』

大声で、「桃屋のごはんですよ」みたいな顔の、店員のオヤジがやってきた。

『どうしました!?』

「あのぅ、、これ、、」

親戚のおじさんが『ぎゃおッPi』を指差すと

『ああ、もう〜これね!!』

「桃屋のごはんですよ」は嬉しそうに、

『大人気でね!これね、よかったねえボク!!』

僕を見ながら、桃屋はハリキリ声で言った。

『もう〜っ今売れててね!!なかなか入荷できないの!!』

「あの、、これは、、たまごっち、、ではないですよね、、?」

おそるおそる僕が聞くと、

『………………….。』

「、、、あの、、」

『まあ〜あ、うんうん、そうねえ〜、、』

「桃屋」は何か気難しそうに考えだして、

『まあ〜、そうねえ〜、うーーん。うん〜うん、まあ、たまごっち、、うーん、うん』

そして、

『でもね、「たまごっち」だよ!!』

ハッキリと、豪語した。

『もう、「たまごっち」みたいなもん! だいたい、たまごっちと同じ!!』

「は、はあ、、」

『朝から並んだ甲斐があったねえ!!』

「え、ええ、、」

胡散臭いが、その熱量がすさまじく

『もう〜ね!これすぐ売り切れちゃうから!朝から来て正解!ほんと、もう!!』

僕も親戚のおじさんも、次第に圧倒されていった。

『なかなか買えなくなるよ〜!もうね!!』

『たまごっちみたいなもんよ!!』

『これ入荷するの大変だったんだから、、!!』

『たまごっちだよこれは!!」

『これでクラスの人気者だよ!!』

『たまごっち!!』

『並んだ甲斐があったねえ!』

「そ、そうなんだ、、!」

『さあ〜買った買った!』

気がつけば僕とおじさんは、

『ありがとうございました〜!』

『ぎゃおッPi』を買っていた。

朝イチで並んで、

「たまごっち」ではなく

「ぎゃおッPi」を買った。

そしてこの『ぎゃおッPi』は、

当たり前だけど「たまごっち」ではなく

まったく大人気になることはなく、

見向きもされず

学校ではついに、

「たまごっちのニセモノがあるから気をつけろ」

と噂も流れ始めた。

「俺らも気をつけないとなあ、国ちゃん!」

友達からそう言われたとき、

『それを、学校を休んでまで、朝イチで買った男が目の前にいるよ』

とは、言えなかった。

完全にあの「桃屋」に騙されたのだ。

このように、あたくしは過去

さんざん町の「胡散臭いオヤジ」に

騙されてきました。

1990年代、子供を騙すインチキおやじみたいな連中は、町のいたるところにいやした。

今回は、「そんな奴ら」にいかに騙されたかを、発表しようと思います!

インチキNo.1『ケツアゴのタキシード仮面』

これは、当時流行っていたアニメ、

「美少女戦士セーラームーン」

その、セーラー戦士たちが実写でライブしてくれる催し物『セーラームーンショー』を、親戚のお姉ちゃん「りえちゃん」と観に行ったときのことです。

ショーの終わりに、

なんと美少女戦士セーラームーンたちが、サイン会を開いてくれることになった。

セーラームーンは当時絶大な人気があり、

子供だった僕たちは大興奮した。

「セーラームーンたちが?!レ、レイちゃんが?!」

当時、「火野レイ」というキャラが好きすぎて、

毎月のすべてのお小遣いを、レイちゃんグッズにぶち込んでいた僕は、もう最高潮だった。

「かっちゃんこっち!」

「レレレイレレレレイイレレレレレ!!」

親戚のお姉ちゃんに手を引かれながら人だかりをかき分けて、サイン会場についた。

しかしそこでわかったのが、

午前の部・午後の部とショーは分かれており、今観てきた「午前の部」のサイン会は、セーラームーンとタキシード仮面の2名がサインしてくれるというのだ。

レイちゃんのサインは午後の部だった。

「、、、」

少しガッカリしたけど、サインは欲しい。

「かっちゃん、行こう!」

親戚のお姉ちゃん「りえちゃん」の誘導のまま、セーラームーンの「月野うさぎ」ちゃんのサインに並ぼうとしたとき、ギョッとした。

セーラームーンの列が、大行列になっているのだ。

「うわあ、、!」

さすが、主役、セーラームーン。

これは時間がかかると思ったりえちゃんが、

「かっちゃん、タキシード仮面でもいい?」と聞いてきた。

タキシード仮面も、ぜんぜんカッコ良い。

いつもセーラー戦士たちのピンチに駆けつけて、薔薇を投げて登場する、仮面マントの色男。

そんな彼がサインをしてくれるのだ。

もちろん「うん!」と答えた。

「かっちゃん行こう!」

りえちゃんと2人で、タキシード仮面のサインをもらいに列に並び、待っているあいだ、セーラームーンはああだったとか、こうだったとか、ショーの余韻に浸っていた。

ああ、、

楽しかった。

ショーはあっという間だった、、。

セーラームーンたちは、やっぱり最高に輝いていた。

「あ!!!!!」

いきなり、りえちゃんがでかい声を出した。

「ど、どうしたの、りえちゃん?」

りえちゃんが、目をまんまるにして、

「あ、あれ!!」

サインをしているタキシード仮面を指差し、

「あれ、荒木のおじさんだ、、!!」

そんなことを言った。

「荒木の、おじさん??」

「荒木!荒木のおじさんだ!」

りえちゃんが言うには、同じ集合住宅のニ階に住んでいる荒木さんというおじさんに、タキシード仮面がそっくりだというのだ。

「かっちゃん、あれ!タキシード仮面じゃない!!」

僕は混乱した。

タキシード、仮面、じゃない、、?

あら、アラ、キ??

荒木のおじさん?、、?

「かっちゃん!荒木!ぜったい荒木だ!」

「で、でもりえちゃん、なんでこんなとこに、」

「荒木のおじさんだ!ケツアゴ!ケツアゴ!!」

りえちゃんが言うには、荒木のおじさんはケツアゴらしく、タキシード仮面を見たら、たしかに仮面下から出ている「ケツアゴ」が見える。

「ちょ、ちょっとまってよ、、りえちゃん」

「荒木だ!荒木のおじさんだ!!!」

「りえちゃん、」

「荒木のおじさんだ!!荒木の!」

「、」

「絶対!そうだ!!荒木のおじさんだよ!」

「、」

「かっちゃん!

あれ、荒木のおじさんだよ!!!!」

りえちゃんが熱弁する。

絶対に荒木のおじさんだ!

間違いない!

「荒木のおじさんだ!!」

「、、、」

僕の中で、

列の先にいるタキシード仮面は、

完全に「荒木のおじさん」に変わった。

『次の人どうぞ〜』

列が進んでいく。

「かっちゃん、絶対、荒木のおじさんだ!!」

僕はこれから、

「かっちゃん、あれ荒木だ!ケツアゴ!!」

タキシード仮面のふりをした、

「荒木!荒木のおじさんだ!荒木!荒木!」

荒木のおじさんに、サインをもらうのだ、、。

タキシード仮面を被った、、

「荒木、荒木!!ケツアゴ!!かっちゃん!」

荒木のおじさんに、、

「荒木!!荒木だよ!」

サインを、、、、

「あれ!?!!?」

そんな中、もうすぐ僕の番だというときに、

後ろでりえちゃんが、

「かっちゃん!大変!!あれ…

荒木じゃない!!!」

そう言った。

!?!?

「よく見たら荒木じゃない!!!あれ?!誰だろ!?」

もう、メチャクチャだった。

「でもタキシード仮面でもない!ケツアゴだもん!」

荒木?じゃなくて、?タキシード仮面?でもない、、?

え。

え?

あ、え?

誰、、??

『次の人〜!』

自分の番になった。

誰か「やあ、名前は??」

「か、かずやです」

誰か「かずやくんだね!」

サラサラと色紙にサインをしている。

タキシード仮面でもなければ、荒木のおじさんでもない、ケツアゴの誰か。

「さあ、どうぞ!!」

渡された色紙には、

「かずやくんへ、タキシード仮面より!」

と書いてある。

タキシード仮面でもない、

荒木のおじさんでもない、

知らないケツアゴのサイン。

続けてりえちゃんもサインをしてもらっていた。

顔が引きつっていた。

「りえちゃんへ、タキシード仮面より!」

こうして僕たちは、知らないケツアゴのサインをもらって、帰った。

しばらく、タキシード仮面が嫌いになった。

インチキNo.2『おもちゃのバンビマン』


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