NHK『今ここにある危機とぼくの好感度について』と菅首相の危機と好感度について

2021.5.22
『今ここにある危機とぼくの好感度について』(4話より)写真提供/NHK

文=米光一成 編集=アライユキコ


ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』(NHK総合)の評判がすごい。初回放送から、名門国立大学の保身、権力者への忖度のありようが、まるで現実の政治じゃないかとSNSは興奮した。ドラマが現実になったような「逃げ恥婚」には度肝を抜かれたけれど、『ここぼく』のそのまんまっぷりも負けていない。ゲーム作家で大学教授の米光一成が3話までの見どころを解説する。→最終回レビュー

菅首相「国民の命守る」と同じだ!

日本国の首相が、どんな質問をされても、壊れたICレコーダーのように「国民の命と健康を守っていく」だけを繰り返し読み上げるという珍事が起こった(蓮舫氏「東京五輪、本当にやるのか」菅首相「国民の命守る」と同じ言葉を繰り返し読み上げ 東京新聞2021年5月10日)。

これは、まさに、この2日前5月8日に放送された『今ここにある危機とぼくの好感度について』第3話が描いていた事態ではないか。予言か。予言なのか。

いや予言ではない。権力者が対話を放棄したときにやる姑息な手段を戯画化して描いたドラマの場面が、現実にも起きてしまった。
『今ここにある危機とぼくの好感度について』は、NHK総合で毎週土曜夜9時から放送中のドラマだ。

神崎真(松坂桃李)は、イケメンアナウンサーだった。「意味のあること」を言わないことで責任を回避し失敗せず好感度を維持するという処世術で生きてきた男。その「意味のあること」を言わないスキルを買われて、母校である国立大学の広報課に抜擢された。
ところが、母校・帝都大の理事たちは、神崎以上に保身に走るうすっぺらい人物で、隠蔽と忖度強要に神崎は振り回されることになる。

「意味のあることを言わない」ことが正解であってたまるか


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米光一成

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