【『Roots of 電気グルーヴ 〜俺っちの音故郷〜(仮)』#1:New Order】「Blue Monday」には忘れられない思い出がある
電気グルーヴの石野卓球とピエール瀧のふたりが、彼らの音楽的なルーツとなったアーティストについて語るトーク番組『Roots of 電気グルーヴ ~俺っちの音故郷~(仮)』をスタートさせた。
株式会社ビーアットによるプロジェクト「BE AT TOKYO」がサポートをし、同社が運営するコミュニティスペース「BE AT STUDIO HARAJUKU」(2021年4月23日にラフォーレミュージアム原宿にオープン)で収録されている同番組。石野が書き下ろした番組のジングルなども含めて、4月19日にYouTubeで公開されるやいなや、電気グルーヴの新たな試みにファンはすでに大盛り上がりだ。
そんな『Roots of 電気グルーヴ ~俺っちの音故郷~(仮)』のテキスト版を、QJWebでは毎回お届けする。50分弱のトークのおいしいところだけをぎゅっと絞って抽出した濃厚濃縮版『Roots of 電気グルーヴ』。注釈も付しているので、オフィシャルプレイリストを聴きながらぜひ読んでいただければと思う。
目次
ニュー・オーダー
石野卓球 うちらが初めて会ったのは16歳のときだよね。この番組では、そのころからの今につながるルーツについて語っていくということで。だから、80’sが多くなるよね。
ピエール瀧 まあね。俺は君からだいたい教わってるんだけど。そのへんのバンドって未だに聴くもんね。
石野 人間、大人になっても聴くのは中学2年生ぐらいのころに聴いた音楽なんだって。だから、瀧は寺尾聰(笑)。ずーっと「ルビーの指環」。あと「出航 SASURAI」。
瀧 「♪ひ~とつ~」でしょ(笑)。
石野 (『Roots of 電気グルーヴ ~俺っちの音故郷~(仮)』では)こういう話がつづきますからね、ほんと! 年寄りの昔話って思ってもらったほうがいい。でも、意外とおもしろいと思いますよ。
石野 今日のテーマであるニュー・オーダー(※1)は、もともとジョイ・ディヴィジョン(※2)っていうバンドで、メンバーが死んじゃいまして、残ったメンバーで始めたバンドなんです。プロフィールはウィキペディアを調べるとか、詳しい人に聞いてください。で、この番組のテーマは「電気グルーヴのルーツ」っていうことで、毎回アーティストを選んで、それについての個人的な思い出とかを話していこうっていう。
瀧 初っ端、これですよ。
石野 「Blue Monday(※3)」。このシングルに関しては、忘れられない思い出があるそうなんですよ。
瀧 そう。高校に上がって、野球部に入ったわけです。そしたら、同期の連中で話をするようになるわけですよ。そのなかで「音楽、何が好き?」と。
石野 「俺、寺尾聰」って?
瀧 違う(笑)。こっから脱線してたら終わんないぜ!
石野 脱線させるのが俺の役割っていうか、俺の生き甲斐だから(笑)。お前を困らせたいんだよね(笑)。致命傷にならないぐらいに足を引っ張るとか、お前が大事なことをやってるときに「こっちこっち!」って気を引いて、一生懸命立て直そうとしてるのを見るのが、俺はすごい好き。
瀧 致命傷にならないケガをさせるやつが、一番残酷。だから、そのときに野球部の連中と音楽の話をしたんですよね。
石野 「ト音記号とヘ音記号、どっちが好き?」みたいな音楽の話ね。「五線譜っていいよね~」「この絵、どっちがバッハでどっちがヴィヴァルディ?」とか。
瀧 もう、終わんないから(笑)。卓球くんの家に初めて行ったときに、俺に聴かせてくれたのが、これ(「Blue Monday」)だったんですよ。部屋にレコードプレーヤーがあって、夏で暑いから、こいつ(石野)はランニングと赤のチェックのトランクスを穿いてて。それで、こうやって(立て膝をついて)「(べらんめえ調で)いよ~う、おめえが瀧ってやつかい!」って。
石野 そんなに江戸っ子だった(笑)? それ、どんどん大げさになってくじゃん。かなり(市川)海老蔵が入ってるやつもあったじゃん。
瀧 「(歌舞伎調で)いよ~~~~~!」ってね。で、卓球くんが「じゃあ、これ聴けよ」って言って(ターンテーブルにレコードを置いて針を落とす)。
石野 「ドッドッドドドドドド」。
瀧 立って聴いてる俺は「うわ~、すげえかっこいい~……」って、1曲そのまま聴いたの。それまではYMOだのクラフトワークだのが好きだったんですけど、キックが16分で鳴ってて、「何これ!?」ってなって。それで君んちに足繁く通うようになるわけ。
※1 ニュー・オーダー(New Order):1980年、元ジョイ・ディヴィジョンのバーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリスによって結成。1982年にモリスの恋人(のちの妻)であるジリアン・ギルバートが加入。ニューウェーブ/ポストパンクのサウンドからダンスミュージックへとアプローチし、「セカンド・サマー・オブ・ラブ」へ向かって行く英国のシーンで重要なバンドになっていく。2007年、フッキーことピーター・フックの脱退から解散騒動に発展したが、2011年に新たなメンバーで復活。最新スタジオアルバムは『Music Complete』(2015年)。
※2 ジョイ・ディヴィジョン(Joy Division):1976年にマンチェスターで結成されたバンド。『Unknown Pleasures』(1979年)、『Closer』(1980年)の2作を遺し、ボーカリストであるイアン・カーティスが1980年に自殺したことで解散。「Love Will Tear Us Apart」(1980年)などはニュー・オーダーのレパートリーに受け継がれた。
※3 Blue Monday:ニュー・オーダーの代表曲のひとつ。ミリオンセールスを記録した、史上最も売れた12インチシングル。イアン・カーティスの死の知らせが届いた「憂鬱な月曜日」のことを歌った曲とされている。
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