マーク・リーダー
石野 96年かな、電気グルーヴの「虹(※17)」がベルリンのMFS(※18)ってレーベルからリリースされるんだけど。そのレーベルオーナーがマーク・リーダー(※19)で、マンチェスター出身の人なんだよね。マーク・リーダーは、それこそジョイ・ディヴィジョン時代からニュー・オーダーの友達で、ゴッドファーザー的な人なんだけど。ちょっと説明のしようがないね。マーク・リーダーと俺が対談してるやつがネットにあるから、それを見てもらって(「『彼がいなかったらいまの僕も電気グルーヴもなかった』石野卓球と“あの音楽密輸人”、20年越しの特別対談」、『HEAPS』2018年)。
瀧 仕かけ人っていうかね、先見の明がある人なんですよね。
石野 そのMFSから「虹」のシングルが出るんだけど、俺のDJとしてのヨーロッパでのキャリアはそっからスタートしたって言っても過言ではない。それ以降、何度もレコーディングをやったり、ライブもやったり。ベルリンはマンチェスター以上に電気グルーヴにとって特別な場所っていうか。マンチェスターとベルリンって、説明できないよね。
瀧 そうだね。居心地もいいしね。
石野 マーク・リーダーっていう存在が、そのミッシングリンクをつないでるんだよね。ニュー・オーダーの新曲をマーク・リーダーがリミックスしてたりとか、未だにつながってるんだけど。
※17 虹:電気グルーヴの代表曲のひとつ。1994年のアルバム『DRAGON』の収録曲で、1995年にシングルカットされた。1996年にリリースされたMFSの12インチシングルにはマイク・ヴァン・ダイク、トビー・ネイションらによるリミックスを収録。
※18 MFS:Masterminded For Success。マーク・リーダーが1990年に設立したレーベルで、トランスやテクノのレコードをリリースしている。2008年以降活動休止していたが、2018年に再始動。
※19 マーク・リーダー(Mark Reeder):マンチェスター出身のミュージシャン、プロデューサー。1978年にベルリンに移住、ファクトリー・レコードの宣伝などを担い、バンド活動やプロデュース業を行う。DJのポール・ヴァン・ダイクを見出したのもマーク。詳しくは石野卓球との対談記事を参照。2021年、ニュー・オーダーの新曲「Be a Rebel」(2020年)のリミックス「Be a Rebel (Mark Reeder’s Dirty Devil Remix)」を発表した。
バーナード・サムナー
石野 で、俺のニュー・オーダーのリミックス(※20)ですよ。
瀧 ね。すげえなあと思って。
石野 向こうから(依頼が)来たからね。「卓球はどこだ?」って、アパホテルの部屋のドアを開けて回って。
瀧 バーニーが直々にね(笑)。
石野 バーナード・サムナーね。うちらは「バー兄(にい)」って呼んでるんだけど。まさか16歳のときに出会って、ライブを観て「2軍か?」と思った人から直接リミックスの依頼が来るとはね。
瀧 今回は1軍から来てるんだもんね。
石野 当時とは違う人だからね(笑)。で、(リミックスの素材の)データが送られてきて、バー兄のボーカルだけソロで聴けるわけよ。高校生時代からの憧れのアーティストなわけだし、「すげー!」って思ってさ。自分のリミックスは期待に応えようと、力も入りますよ。それで、バー兄のボーカルがあまりにも自分にとって神聖なものだから……。
瀧 いじれないと。
石野 そのままエコーとかエフェクトとかも一切しないで、コンプレッションだけして素で使ったの。それを提出したら、バー兄から直々に返事が来て。「リミックスはよかったんだけど、俺のボーカルは素で使うもんじゃねえ。そんなたいそうなもんじゃねえから、切るなり、エフェクトをかけるなり、原型をなくさせるなり、そうやって使ってくんなきゃ恥ずかしい」って(笑)。それで、「喜んで!」って言ってリミックスを仕上げたんですけど。
瀧 まあ、そもそもバーナード・サムナーがニュー・オーダーのボーカルになったのは、渋々だったっていうね。
石野 もともとジョイ・ディヴィジョンのボーカルだったイアン・カーティスが、めちゃめちゃカリスマだったわけじゃん。「さて、美空ひばりさんでした! さあ、次どうぞ!」って言われても嫌だよね(笑)。
※20 石野卓球のニュー・オーダーのリミックス:2015年のアルバム『Music Complete』の収録曲をリミックスした「Tutti Frutti (Takkyu Ishino Remix)」。
関連記事
-
-
天才コント師、最強ツッコミ…芸人たちが“究極の問い”に答える「理想の相方とは?」<『最強新コンビ決定戦 THE ゴールデンコンビ』特集>
Amazon Original『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』:PR -
「みんなで歌うとは?」大西亜玖璃と林鼓子が考える『ニジガク』のテーマと、『完結編 第1章』を観て感じたこと
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
「まさか自分がその一員になるなんて」鬼頭明里と田中ちえ美が明かす『ラブライブ!シリーズ』への憧れと、ニジガク『完結編』への今の想い
虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会『どこにいても君は君』:PR -
歌い手・吉乃が“否定”したかった言葉、「主導権は私にある」と語る理由
吉乃「ODD NUMBER」「なに笑ろとんねん」:PR -
7ORDER安井謙太郎、芸能人に会いたいで始まった活動が「自分の仕事」になるまで
求人ボックス:PR