岸田國士戯曲賞「受賞作なし」から考える、演劇の変化と戯曲の可能性

2021.4.9

戯曲を読む。演劇の扉を開ける。

2020年は新型コロナウイルスの影響で、世界各地で劇場が閉鎖されました。特に初期には「演劇は不要不急か」と議論にのぼることも多くありました。ただ、今に限らず昔から「演劇を観たことがない」「演劇は流行ってない」と言われることはあります。けれども「演劇」とひと言にするとあまりに幅広く、伝統芸能を含まない現代演劇に絞っても、俳優が舞台で台本を演じるものもあれば、即興劇、音楽劇、野外劇、街中やカフェや家で行うもの、観客が参加するもの、人間以外が出演するものなどなどたくさんあります。岸田戯曲賞の対象となるのも、商業演劇的なもの、小劇場、宝塚歌劇団やミュージカルまでジャンルはさまざまです。

舞台で上演される作品だけに絞っても、その全体像は近年、大きく変化しています。2.5次元舞台が大きな人気となりエンタテインメントを席巻する一方、小劇場では私小説的な舞台も増え、あえて東京以外に拠点を移す20代もいます。さらにはコロナの影響を受け、オンラインというまた別の発信手段もより一般的になってきました。特にインターネットが普及し、ライブパフォーマンスそのものの環境が変化しているなか「演劇」という業界はなかなかひと括りにできません。そのなかで「戯曲」は、どこに住んでいても触れられるもの、そして無限の想像の可能性を広げられるものです。どういう戯曲がなぜ優れ、どんな価値を持っているのか、改めて選評を読むこともまた演劇と戯曲の楽しみのひとつでしょう。

この3月末、戯曲好きのバイブルと言ってもいいでしょう老舗の戯曲雑誌『せりふの時代』(日本劇作家協会責任編集/小学館/1996年秋創刊。2010年休刊)が復刊しました。

20作以上の新作戯曲ばかりが、作家のコロナ禍における近況と共に収められています。ぜひ手に取って、演劇の現在地と、言葉と想像の旅を楽しんでください。

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