AKB48の不動のセンターとして、一時代を築いた前田敦子。しかし、当の本人はというと「私の中でAKB48に入ったことは、予定外の出来事だったんです」と、恥ずかしそうに笑った。そんな前田は今、幼少期の前田にとって“予定内”だった女優として活躍中。2021年に所属事務所から独立して以降は、それまでにも増してドラマ、映画、舞台への出演作を複数並行する多忙っぷりを見せており、10月14日には出演作『もっと超越した所へ。』公開も控えている。
なぜ、彼女は女優という仕事に魅力を感じているのか。そこには引っ込み思案な幼少期、胸の内に秘めていた思いが隠されていた。
前田敦子
(まえだ・あつこ)1991年生まれ、千葉県出身。2005年、「AKB48 オープニングメンバーオーディション」に合格、その後アイドルグループ・AKB48の第1期生として活動を開始。2007年、映画『あしたの私のつくり方』にて女優デビューを果たす。2012年にAKB48を卒業後は、ソロ歌手として単独公演を開催、また映画・ドラマで主演を務めるなど多岐にわたる分野で活躍を見せる。2021年にはフリーランスに転向した。
今の時代のモテる法則「弱いなら、弱いままでいい」
──出演作『もっと超越した所へ。』は、個性的な4組のカップルが登場する映画ですね。
8人とも、かなり誇張されているキャラクターだなと思いつつ、リアリティがあるんです。申し訳ないけど「こんな人、絶対にいないよ!」とは思えませんでしたもん(笑)。きっと観てくださる方にとっても、それぞれのキャラクターの中に過去に出会った誰かと重なる要素が少しずつ入っているんじゃないかなと思います。
──前田さん演じる真知子の相手、Sexy Zoneの菊池風磨さんが演じた怜人の印象はいかがでしたか?
怜人は新時代の“ヒモ男”くんですよね。私は出会ったことのないタイプでしたけど、あの感じをかわいいと思ってしまう女子は多いのかなと。
──おふたりの自然なかけ合いは、どのようにして生まれたのですか。
特に作り込むようなことはしませんでした。というのも、真知子と怜人は同い年という設定なのですが、怜人がヒモ男くんなこともあって真知子のほうがお姉さんっぽく見えると思うんですね。実際、風磨くんと私の間には年齢差があるので、それが相乗効果になって役の関係性をいい感じに作れたんです。
──それでは撮影はスムーズに進んだのですね。
そうですね。最初、風磨くんがガチガチに人見知りしていたので「大丈夫かな」とは思いましたが、カメラが回るとすごく楽しんでお芝居されていたので、私も楽しんで演じることができました。
──前田さんが演じた真知子に対しては、どんな印象を抱きましたか?
好きなことを仕事にして、好きなものに囲まれて暮らしているキャリアウーマンでいるところは素敵ですよね。でもだからこそ、恋愛の仕方がわからないまま大人になっちゃって、怜人のような子にハマっちゃうところは少しかわいそうだなと思いました。きっと自分にとって心地よい世界の中で、いろんなものが成立していて、気づいたときには30歳間際になってしまったんだろうなと想像しやすかったです。
──たしかに。真知子の仕事っぷりから想像すると、怜人に対してもう少し意見が言えそうだなとは思ったのですが、今のお話を聞いて納得しました。
それに真知子がかわいそうな点は、もうひとつあって。この作品や、女友達の話を聞いて感じた研究の結果なのですが、多くの男の人は(恋愛相手に)ギャップを求めていない気がします。だから、物腰の柔らかい真知子が、気が強そうな一面を見せてもきっと好まれないと思うんです。
というのも、気が強い女の人が急に甘えたときに、その対処法がわからない男性が多いんじゃないかなって。今の時代にモテる条件は、器用に素直に生きることなのかなと思うんです。弱いなら、弱いままでいい。
AKB48に入ったことは“予定外”だった
──2021年から独立され、映画、ドラマ、舞台への出演がつづく前田さん。役者の仕事をメインでやっていきたいと考えたのは、いつごろからだったのでしょうか?
幼少期やAKB48のオーディションを受けるときにも「将来は女優になりたい」と答えていたので、ずっとブレない軸なのかなとは思います。もちろんモー娘。世代だったので、アイドルは好きでした。でも自分が歌って踊る人になるなんて、想像していなくて。AKB48に入ったことのほうが予定外だったんです。
──幼少期の夢からブレることなく今も役者として活躍しつづけているのは、なぜだと思いますか?
すごく大変なお仕事ではあるのですが、お芝居の現場で出会う人たちが大好きなんですよね。スタッフさん、キャストさん、たくさんの人とご一緒してきましたが、どの現場に行っても心地よくて。その人たちに会いたいから、お芝居をつづけているというのが、私の中では一番大きいかもしれません。
──どんなところに心地よさを感じるのでしょうか。
私にとって映画やドラマを観ることは、数少ない趣味のひとつなので、それを共有できるというのは大きいですね。あとはお芝居をしている人たちって、皆さん純粋なんですよ。
だって、純粋じゃないとスーパーヒーローやお姫様にはなれないじゃないですか。現実では起こり得ないようなことを真剣にやれる純粋さって、お芝居をやっている人ならではだと思うんです。そういう人たちといるのが好きなんでしょうね。
「この学校で一番有名になりたい!」
──先ほど幼少期から女優になるのが夢だったとの話でしたが、そう思うようになったきっかけはありますか?
小さいころからすごいテレビっ子で、特にドラマが大好きだったんです。なかでも『家なき子』(日本テレビ)は衝撃的でした。私よりも少しだけ年上のお姉さん(安達祐実)がお芝居しているのを観て「すごいな〜」と思ったんです。それから『ひとつ屋根の下』(フジテレビ)も好きでしたね。子供ながらに、毎日放送されるドラマが楽しみだったんですよ。
──そこからずっと芸能界に憧れていたんですか?
そうですね。小学校高学年から中学生くらいになるとティーンズ雑誌を読むようになって、同い年ぐらいの子たちが表紙を飾ったり、誌面の中でキラキラしているのを見て「自分もそういう年齢になってきたんだな」と気持ちが強まっていきました。それに根拠はないですけど「この学校で一番有名になりたい!」って思っていたんですよね。
──学校の行事でも目立ちたいタイプでしたか?
学校の中では人見知りでした(笑)。手を挙げて発言するのも緊張しちゃうし、学芸会でもできるだけ目立ちたくなくて。
──「有名になりたい」というのは、あくまでも将来的にだったんですね。
そうなんですよ。私が通っていた中学校はいわゆるマンモス校だったんですけど、たくさんの人の中にいる何者でもないひとりでいることが嫌で。「私って、なんなんだろう。何かになりたいな」っていう思いが心の中にあったんです。
だから高校に行ったらバイトをして、将来のことをゆっくり考えていこうかなくらいに思っていたのですが、高校生になる前にAKB48のオーディションがあったので。タイミング的にラッキーだったんですよね。
がむしゃらに突き進んだ2年。今やりたいことは
──AKB48入りは予定外だったとのお話でしたが、今当時のことを振り返ってどう思いますか?
たしかに、自分が思い描いていた“芸能界の入口”とは違いましたが、そこに飛び込んでいったことは本当によかったなと思っています。正直オーディションの前日も「行きたくない」って泣いていたんですけどね(笑)。入口が違って遠回りしたとしても、やりたいことには辿り着けるんだなと思えるようになったのは、あのときの経験があったからなので。
だから学生時代の私と同じように「何かやりたいけど、それが何かわからない」と悩んでいる人には、ちょっとでも興味を持ったときにとりあえず動いてみてほしいですね。「私なんか」「俺なんか」と決めつけちゃうのはもったいないと思います。
──前田さんが今描いている5年後、10年後はどんな未来でしょうか。
独立して2年は仕事をやれるだけやって、自分を見つけようと思っていたのですが、それに関しては目標達成できたなと思っています。だから、次の5年は自分と向き合う時間をたくさん作りたいなと思いますね。子供と向き合う時間を持ちつつ、自分だけのプライベートな時間も持てる人になりたいです。
──自分だけの時間に、やってみたいことはありますか?
私、魚が好きなので、魚をさばけるようになるのが夢なんです。いつか、大物を釣ってさばけたらいいなと。どこかで弟子入りできないかな〜!(笑)
作品情報
『もっと超越した所へ。』
10月14日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:山岸聖太
原作:月刊「根本宗子」第10号『もっと超越した所へ。』
脚本:根本宗子
音楽:王舟
主題歌:aiko「果てしない二人」(ポニーキャニオン)
出演:前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大
(c)2022『もっと超越した所へ。』製作委員会
劇作家の根本宗子が脚本・演出を手がけた2015年上演の同名舞台を、根本自ら脚本を担当して映画化。前田敦子が主演を務め、ダメ男を引き寄せる女たちの恋愛模様を描く。
デザイナーの真知子はバンドマン志望の怜人と、元子役でバラエティタレントの鈴はあざとかわいい男子の富と、金髪ギャルの美和はハイテンションなフリーターの泰造と、風俗嬢の七瀬はプライドの高い元子役の慎太郎と付き合っていた。それぞれ彼氏に不満を抱きながらも幸せな日々を過ごす彼女たちだったが、男たちは彼女に甘えて増長し、ついに別れの時がやって来る。
前田扮する真知子の彼氏・怜人をSexy Zoneの菊池風磨が演じ、『生きてるだけで、愛。』の趣里、『スマホを落としただけなのに』の千葉雄大、『サマーフィルムにのって』の伊藤万理華、ロックバンド・OKAMOTO’Sのオカモトレイジが共演。監督は『傷だらけの悪魔』の山岸聖太。
連載「&Life」
今気になる芸能人たちの生き方を辿る連載「&Life(and Life)」。インタビューを通して見えた、彼・彼女たちの“これまで”と“これから”とは。
第1回:重川茉弥
第2回:後藤真希
第3回:若月佑美
第4回:宇垣美里
第5回:工藤遥
第6回:本田仁美
第7回:横澤夏子
第8回:大久保桜子
第9回:milet
第10回:前田敦子
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【前田敦子×QJWeb サイン入りチェキプレゼント】フォロー&リツイートキャンペーン
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■キャンペーン応募期間
2022年10月15日(土)〜2022年10月29日(土)■キャンペーン参加方法
【ステップ1】QJWeb公式ツイッターアカウント「@qj_web」をフォローしてください。
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【ステップ2】「@qj_web」がキャンペーン告知をしたこのツイートを、応募期間中にリツイートしてください。
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【応募完了!】
締め切り後当選された方には「@qj_web」からDMにてご連絡を差し上げます。フォローを外さず、DMを開放してお待ちください。※必ずご自身のアカウントを“公開”にした状態でリツイートしてください。アカウントが非公開(鍵アカウント)の場合はご応募の対象になりませんのでご注意ください。
※「いいね」はご応募の対象になりませんのでご注意ください。
※当選の発表は、こちらのDMをもって代えさせていただきます。
※当落についてのお問い合わせは受けかねますので、ご了承ください。
※本キャンペーンの当選がQJWebのインスタアカウントと重複した場合、どちらか一方の当選は無効となります。
※本景品は非売品です。譲渡・転売はご遠慮ください。
※いただいた個人情報は、本プレゼントキャンペーン以外の目的には使用しません。 -
『もっと超越した所へ。』
10月14日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督:山岸聖太
原作:月刊「根本宗子」第10号『もっと超越した所へ。』
脚本:根本宗子
音楽:王舟
主題歌:aiko「果てしない二人」(ポニーキャニオン)
出演:前田敦子、菊池風磨、伊藤万理華、オカモトレイジ、黒川芽以、三浦貴大、趣里、千葉雄大
(c)2022『もっと超越した所へ。』製作委員会劇作家の根本宗子が脚本・演出を手がけた2015年上演の同名舞台を、根本自ら脚本を担当して映画化。前田敦子が主演を務め、ダメ男を引き寄せる女たちの恋愛模様を描く。
2020年、デザイナーの真知子はバンドマン志望の怜人と、元子役でバラエティタレントの鈴はあざとかわいい男子の富と、金髪ギャルの美和はハイテンションなフリーターの泰造と、風俗嬢の七瀬はプライドの高い元子役の慎太郎と付き合っていた。それぞれ彼氏に不満を抱きながらも幸せな日々を過ごす彼女たちだったが、男たちは彼女に甘えて増長し、ついに別れの時がやって来る。
前田扮する真知子の彼氏・怜人をSexy Zoneの菊池風磨が演じ、『生きてるだけで、愛。』の趣里、『スマホを落としただけなのに』の千葉雄大、『サマーフィルムにのって』の伊藤万理華、ロックバンド・OKAMOTO’Sのオカモトレイジが共演。監督は『傷だらけの悪魔』の山岸聖太。
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