『激レアさん』『シンパイ賞!!』『キョコロヒー』『お笑い実力刃』、“クズ芸人”と“涙”の話、賞レース【2021年バラエティ番組振り返り(2)】



『お笑い実力刃』と『あちこちオードリー』の裏被り

西森 ちょっと前に話してることと被るかもしれませんが、やっぱりトークがじっくり聞ける番組を求めてましたね。だから、ありきたりですが今年に限らず『あちこちオードリー』を観て。その裏の『お笑い実力刃』も楽しみにしてたんですが、やっぱりあの番組は当初のとおり、ネタをじっくり見せる番組でありつづけてほしいですよね。この2番組って、裏番組同士でトークとネタと違うものを扱っていますが、トークもネタも長尺を恐れないという意味では、似てるっていうか、今の気分を表しているなと思います。

テレビの人は、短くテンポよく編集して、ひと言でわかりやすく笑わせるものをやったほうが安心なんでしょうけど、テレビやお笑いが好きな人は、別にテレビのセオリーに合わせてがんばる芸人やそのために無理する芸人が好きなわけじゃなくて、その芸人がおもしろいと思っていることをやってるほうが好きなわけで。そういう意味では、コンテストの方向性もそっちにいってますよね。

ヒラギノ 『お笑い実力刃』については西森さんのご指摘に全面的に賛同です。丸々ひとつのコンビの特集のみというのがストロングスタイルでおもしろかったんですが、早々に別の建てつけも導入しましたよね。数字につながっていないのかもですが、どうにかひと組を特集するスタイルを比重多めでやっていってほしいです。

スキマ さんざん言われてることでしょうが 、『お笑い実力刃』と『あちこちオードリー』の裏被りはなんとかしてほしいですね。先日もフォークダンスDE成子坂特集なんて意義深いことをやってましたけど、あれができる番組なんて『お笑い実力刃』だけでしょうから。

『シンパイ賞!!』での都築さんの発言は僕も記憶に強く残ってます。その一方で、岡野(陽一)さんや空気階段(鈴木)もぐらさん、ザ・マミィ酒井(貴士)さんなど、いわゆる「クズ芸人」の活躍も目立った年だったなと思います。特に岡野さんやもぐらさんは、そのクズっぷりを披露するさじ加減がとてもうまく、マンガチックというか。

あと、その酒井さんは事あるごとに泣いてますが、今年はあまり泣く姿を見せない人が号泣する場面をよく観たなあと。 『水曜日のダウンタウン』の「強い意志があれば寝た後の体もコントロールできる説」での野田クリスタルさんとか、『バチくるオードリー』での若林(正恭)さん、 『ガキの使い(ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!)』「24時間インタビュー」でのダイアン津田(篤宏)さん、『かまいガチ』の「下積みメシ」でのかまいたち山内(健司)さん、あとはマツコ(・デラックス)さんとDJ松永さんとか。

西森 『シンパイ賞!!』私も終わったときの悲しさったらなかったです。特にシンパイニュースが好きで、そこで錦鯉はフィーチャーされてて、ふたりの人となりとかも知ることになりましたよね。

四千頭身の都築さんの発言は、『シンパイ賞!!』のときもなんですけど、『しくじり先生』の「お笑い界の古い価値観に革命を起こす」のときも、やっぱりクズ芸人に対しても言及していたし、これまでの「芸人たるものは」みたいなものに縛られてない感じで印象に残ってます。マヂカルの野田さんも、『水ダウ』もよかったし、相方の村上さんとの解散ドッキリを仕かけられた『モニタリング』でも泣かされました。

それと、やっぱり、もう中学生さんと、麒麟・川島(明)さんも今年を振り返って思い出すふたりですよね。『かりそめ天国』のふざけ倒したレポートが本当におもしろくて。この番組には、おかずクラブのオカリナさんのよさも発見させてもらいました。

でもやっぱり、今年を振り返ると、女性芸人ですね。言語化しにくい、しみじみとしたおもしろさが本当にテレビでも観られるようになって、今年のその集大成がやっぱり『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』かなと。実際、阿佐ヶ谷姉妹のふたりが出ているわけではないけれど、同じ時期の『マツコ会議』を見ても、いろんなことをひっくるめて、今年を振り返って印象深いなと思います。

そして、女性芸人と今年のテレビでいうと、『ロンドンハーツ』の「もしも新しくコンビを結成するならあの女芸人と組みたい!」がやっぱり思い出されます。最後のたんぽぽの川村エミコさんへの相方からの手紙で締めるところが、以前とはぜんぜん変わったんだなと思いましたし、本当によかったです。

DJ松永の“涙の話”


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。