麒麟・川島&かまいたちの躍進、「バラバラ大作戦」&TVerがもたらしたもの、“トーク”の変化【2021年バラエティ番組振り返り(1)】

【2021年バラエティ番組振り返り(1)】

昨日観たテレビを記録する連載「きのうのテレビ」を2020年4月からQJWebで毎日連載中のてれびのスキマ、『ユリイカ』『リアルサウンド』『朝日新聞』『文學界』などさまざまな媒体でテレビドラマをはじめとしたエンタテインメントについて幅広く執筆しているライターの西森路代、音楽・ジェンダー論・お笑い・コミックなどについて『ダ・ヴィンチ』や『MUSICA』などで執筆し、今年はQJWebに『ラヴィット!』や浜田雅功についての考察を寄稿したライターのヒラギノ游ゴ。

そんな3人のテレビっ子が2021年のバラエティ番組を中心にした“テレビ”を振り返るメール鼎談を実施。前編では、2021年のバラエティ番組を象徴する人、「バラバラ大作戦」のスタートやTVerの浸透がもたらしたこと、トーク番組の変化などについて話された。

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2021年を象徴する芸人

ヒラギノ 個人的には2021年は
・『ラヴィット!』
・千鳥の番組
・関西の番組
・「バラバラ大作戦」
を観まくった年だな、という感じです。

『ラヴィット!』はQJWebで記事を書かせていただいたんですが(「“深夜32時の大喜利番組”『ラヴィット!』が午前中の世界にもたらしているもの」)、我ながら朝の帯番組の批評なんて誰が読むんだろうと思っていたらかなり反響があって、何よりファンの方からの熱意のこもった声をたくさんいただけたのが印象的でした。「朝の帯番組」に「ファン」がいるという状況自体、この番組がほかと一線を画すことを物語っているように思います。

スキマ 昨年テレビ界ではお笑い番組がどんどん立ち上がるブームみたいになってましたが、今年、全体的にはやや収まった印象があります。そんななかで、千鳥はもとより、麒麟・川島(明)さんの年だったなあと思います。『ラヴィット!』はやはり革命的で朝の風景をハッピーに変えてくれました。『ラヴィット!』で毎日のように大喜利をやりまくっているからか、川島さんはほかの番組にゲストで出たときもずっとキレッキレでした。

西森 今年を象徴する人としては、スキマさんは川島さんを挙げてましたが、それも納得しつつ、私は、かまいたちも、そういうところに早いスピードで並んだなと思いました。去年までは『ロンドンハーツ』でイジられておいしくなるという立ち位置にまだいたけれど、それを「卒業」したのも象徴的で。山内(健司)さんは『ABCお笑いグランプリ』で去年から非常によい審査コメントをしていたけれど、『キングオブコント』で出る側から審査する側への華麗なるシフトも納得で、自然に受け止められたし、濱家(隆一)さんも朝の情報番組のMCとかも自然。その上、漫才やコントのキレも鈍らなければ、冠番組も、先輩のサポートも両方できる。

スキマ かまいたちで象徴的な番組のひとつとして『華大さんと千鳥くん』が挙げられるかなと思います。企画内容自体も変わりましたが、かまいたちが加わったことで大きく番組の性格も変わったんじゃないかと思います。

ヒラギノ 今年を象徴する人という観点でいうと麒麟・川島さんとかまいたちで間違いないと思います。先ほど挙げた千鳥は「ブレイク」の時期を経て「安定期」に入ったなという印象です。長くつづきそうな新しい冠番組に恵まれ、どの番組も勝ち筋を見つけている。

近年の活躍にある種の感慨深さがあります。世間の人は忘れかけていると思うんですが、千鳥は長らく「賞レースではよく決勝に残っているけど、バラエティではそんなに見ない。大阪のほうではけっこう出ているらしい」くらいの存在だった。僕は「今でいえばアキナが全キー局に冠番組を持ってるようなもんだから」というたとえをよくするんですが、そこからの大躍進なわけで。ただ、こんにちの成功は必然というか、注目されていない時代に培ったものがすべて有機的に今につながっているのがぐっとくるポイントでもあります。

1日8本撮りすることもあったという『いろはに千鳥』のロケで踏んだ場数から生まれた「クセがすごい」のキラーフレーズで注目を集め、“ロケに出る側”を熟知した上で始めた『相席食堂』で“ロケを観てコメントする”側の能力が開花、追い鰹のように番組からさまざまなパンチラインが生まれ、躍進を遂げ掴んだゴールデンの冠『クセスゴ(千鳥のクセがスゴいネタGP)』でVTRを観てのコメント芸がある種の到達点を迎えたと思います。

「バラバラ大作戦」の功績

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。