パフォーミングアーティストなら世界に広げることができる
――『BMSG Audition 2021-THE FIRST-』も、BMSGを語る上で欠かせない動きですが、以前からアーティストのプロデュースにはご興味があったんですか。
SKY-HI 活動自体のプロデュースに関しては、そこまで大きくは考えてなかったかな。ただ、「ボーイズグループが飛び抜けてかっこいいものを生み出したら、何かが変わるかもしれない」と数年前くらいから漠然と感じていました。
パフォーミングアーティストって、めちゃくちゃローコンテクストじゃないですか。人間がパフォーマンスをすることの美しさやすごさって、「アイスがおいしい」ってことと同じくらいわかりやすいことだと思うんです。
――なるほど。
SKY-HI “かっこいい”って、本当はわかりづらいことなんです。感覚や感性を共有できる同じくらいの芸術的な素養がないと、共通言語として“かっこいい”は成り立たないから。本来であれば、打開策として“媚びる・寄せる”か“突き放す”を選ばなきゃいけないんですけど、視覚で訴えることができるパフォーミングアーティストなら一気に“かっこいい”をわかりやすいものにすることができる。
強固なメッセージや確固たるクリエイティビティやアーティシズムがある、崇高なアートなどは、ものすごく美しくてかっこいい、だけどわかりにくい。そういったものを世界に広げることができる。実際にBIGBANGやBTSなど韓国のボーイズグループが、クリエイティビティが高いものは人の心を動かすと証明してくれました。
――ボーイズグループをプロデュースしようと動き出した、きっかけはあったんですか。
SKY-HI 日本のクリエイティビティが革新することはないって、確信しちゃったんです。年下のダンサーやアーティストが悩まされていることが「10年前の俺が感じていたことと一緒」だと知ったとき、この十数年間はなんだったんだろう……と思ってしまって。でもあのころと今では、“自分がいる”ということでは少なくとも違う。かつての自分を助けてくれた人への感謝を、次の世代に返していく時が来たような感覚があります。「これがやるべきことだ」って見つけたというか。
――それは最近よく口にされている、“諦念”ってことですか。
SKY-HI いや、違います。どちらかというと“啓示”や“閃き”に近いと思います。
――「次の世代に手を差し伸べるのは自分だ」と閃いた、と。
SKY-HI ボーイズグループというものが才能を殺されやすいから旗印に掲げているだけで、Novel Core(※編集部注:BMSG第1弾アーティスト。10月にBMSGとavexが共同で設立した音楽レーベル「B-ME」からメジャーデビューを果たした)のようなアーティストと契約することも出てくるんじゃないかな。
もちろん、形態はソロに限らず。ただNovel Coreもそうなんですが、自我があるアーティストほどインディペンデントですべてできてしまうので、わざわざ自分が手を差し伸べる必要があるかはセンシティブな問題なんですけど。Novel Coreの場合は一緒にやれて本当によかったと思っているし、彼の助けになれている実感が今のところはあります。
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