アーティストと俳優を分けない「人間、北村匠海」になった。自粛期間を経て魅せる新境地

2020.10.29

文=坂井彩花 写真=時永大吾
編集=森田真規


DISH//のメンバーであると共に、俳優として活躍している北村匠海。感情の起伏を丁寧に描いた繊細な芝居を得意とする彼が大胆なコメディにチャレンジした映画、それが『とんかつDJアゲ太郎』(2020年10月30日公開)だ。

本格的なDJプレイにクールな選曲の数々、最高のサウンドと、音楽好きにこそ映画館で観てほしい一本に仕上がっている。

本作で主役のアゲ太郎を演じた北村匠海に、映画について、自身が好きな音楽について、自粛期間を経たことによる心境の変化について語ってもらった。


体力ゲームで臨んだアゲ太郎

――『とんかつDJアゲ太郎』の主人公・アゲ太郎は、北村さんと似ている部分はありますか。

北村 人間としてのトーンは似ているんですけど、カラーは真逆かも。北村匠海が青なら、アゲ太郎は真っ黄色みたいな感じなので(笑)。役がなじんでいる感覚を味わうのにも時間がかかりました。

画『とんかつDJアゲ太郎』30秒予告

――役と一番シンクロしたシーンを挙げるとしたら、どこでしょうか。

北村 DJをしているところですかね。あのときは、アゲ太郎とリンクしている感が強かった。失敗したら恥ずかしいし、踊っているみんなを見ているのが本当にうれしかったです。アゲ太郎がリアルに味わったであろう感情と、僕自身の気持ちが近かったと思います。

クラブでDJをするアゲ太郎

――今回はコメディということもあり、大きな芝居を求められる場面が多かったと思うんですよ。北村さんは繊細な芝居を得意とする役者さんだと思うのですが、いつもと違う芝居をするにあたって意識されたことはありますか。

北村 あまり考えないほうがいいんだなって(笑)。普段は感覚に落とし込めるまで、わりと考えるんです。そして、その感覚を持ってシーンを歩んでゆく。でも、『とんかつDJアゲ太郎』に関しては突発的なものが多かったし、行き当たりばったりだったし、体当たりだし……考えているヒマもなかったので、もはや体力ゲームみたいな感じで進めていました。

コミカルな演技も見事にこなしている

――大きい演技だからこそ、突発的なものに身を任せていたのですね。

北村 そうですね。大きく動くこともチャレンジのひとつだったんですけど、結果的にそれが手助けになりました。体が動いていないと、声が出なかったりもするので。

韓国で出会った決め打ちソング

――もともと北村さんはDJ経験があったそうですが、機材はアゲ太郎と同じレコードを使っているのですか。

北村 そうですね、僕もレコード派です。アンプなどが置いてある自宅に、ターンテーブルも置いてあるんですよ。だから個人的にはレコードにも、すごくなじみがあります。レコード屋もよく行きますし。

――好きなレーベルとかあるんですか。

北村 ちょっとマニアックだと思うんですけど、「Dekmantel(デクマンテル)」は好きですね。アシッドハウスやアシッド、テクノを扱っているオランダのレーベルです。韓国に行ったとき、Dekmantelのレコードを買ってきたらヤバくて(笑)。レコードは、テクノとかクラブミュージックに関するものしか持っていないと思います。クラブミュージックにはFour Tet(フォー・テット)やBoys Noize(ボーイズ・ノイズ)から入って、Dekmantelにハマり、それからはレーベル単位で掘るようになりました。

――では、レコードはDekmantelのものが多いんですか。

北村 Dekmantelが多いかな。でも、なんだかんだいって「R&S Records(※編集部注:1983年にベルギーで設立された老舗レコード・レーベル)」もたくさん持っています。

――DJ北村匠海、決め打ちの一曲はなんですか。

北村 Four TetのKHが作った「Only Human」。あれは、やばいですね。めっちゃかっこいい。

音フェチにはたまらない音楽映画


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坂井彩花

(さかい・あやか)1991年、群馬県生まれ。ライター、キュレーター。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。『Rolling Stone Japan Web』『Billboard JAPAN』『Real Sound』などで記事を執筆。エンタテインメントとカルチャーが..

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