音楽チャートの上位に、さまざまなボーイズグループの名前が並ぶ時代になった。男性アイドルの代名詞であるジャニーズ事務所や着々とカルチャーを作ってきたLDHはもちろん、新旧問わぬボーイズグループが堂々と肩を並べる。2022年とは、そういう時代だ。
幾多の個性的な女性アイドルが生まれ、シーンを作っていた2010年代が「アイドル戦国時代」と呼ばれるならば、今は「ボーイズグループ戦国時代」と言えるのかもしれない(“戦国時代”という表現に、いささか疑問はあるが)。
「ボーイズグループ最前線2022」と銘打ったこの記事では、ジャニーズ&LDH以外で注目しておきたい日本のボーイズグループを全7回にわたってピックアップ! プロフィールを振り返ると共に、各アーティストの魅力を綴っていく。
第3回では、SNSでユニークな動きを見せているONE N’ ONLY(ワンエンオンリー)&9bic(キュービック)&原因は自分にある。を紹介する。
強みが活きるプラットフォームを活用
ひと昔前であれば、リリースイベントを行いながら地方巡業をし、テレビや雑誌で認知を広げるのが一般的な下積みルートだったが、昨今のボーイズグループは積極的にSNSを活用して人気も認知も手に入れる。
それぞれの強みが活きるプラットフォームを活用して興味を持たせたら、より魅力がわかる媒体へと誘導。そういった活動をつづけることが、ぴあアリーナMMでのライブを結成2年以内にできてしまう時代なのだ。
ONE N’ ONLY
さとり少年団とEBiSSHのメンバーからなる6人組ダンス&ボーカルユニット。もともとはツーマンライブでの合同ユニットとして発足したが、2020年以降はONE N’ ONLYとしての活動にそれぞれが打ち込んでいる。SWAGをまとったダークなビジュアルや鋭い視線で紡がれたソリッドな歌詞が印象的である一方、キラキラのアイドルソングも難なくこなす実力派だ。
パフォーマンス力の高さは海外からもお墨つきで、TikTokでのフォロワー数は440万人を超え(2022年5月1日現在)、日本人アーティストで1位を誇る。デビューシングル「I’M SWAG」の時点でYouTubeのコメント欄には日本語ではない言語が並んでいたが、TikTokでブラジルの人気デュオ曲を踊ったことをきっかけに、中南米からの熱視線がよりいっそう注がれることとなった。
ONE N’ ONLYの楽曲は、TOMORROW X TOGETHERのボーカルディレクションなども行うJUNEがひと通り担っており、彼のバックグラウンドを活かしたK-POPサウンドが特徴だ。日本語の歌詞であっても発音を韓国語に寄せているため、独特なボーカルワークがクセになる。世界からの逆輸入も大いにあり得るため、今のうちに押さえておきたいアーティストだ。
9bic
2019年4月結成、「現在(イマ)を生きる王子様(プリンス)達」をコンセプトとするメンズアイドルグループ。YouTuber「ハコイリムスコ」としても活動しており、チャンネル登録者数は35万人を超えている(2022年5月1日時点)。
彼らを仕かけたのは、人気YouTuberのYapp!と米村海斗(現在休止中であるヘンジンマジメのメンバー)。SNSを駆使し、すでに実績を出しているふたりのプロデュースということもあり、ネットカルチャーでのファン形成がとにかくうまい。主な活動期間がコロナ禍と重なっているにもかかわらず、2020年9月には豊洲PIT、2021年9月にはぴあアリーナMMでのワンマンライブを成功させている。
彼らの魅力は、なんといっても“アイドルたるアイドルらしさ”だ。昨今ではパフォーマンススキルに重きを置いていたり、努力の過程を公にして人間らしさを押し出したりするボーイズグループが多いが、9bicはパフォーマンススキルが特段秀でているわけでもなければ裏側の努力も見せない。代わりに、ステージ上でとびきりの夢を演出する。キラキラとしたアイドルオーラを振りまき、一人ひとりの目を見てファンサービス。
もともと男性アイドル好きだったメンバーが多く、ファンがされたらうれしいことを熟知しており、自ら進んでパフォーマンスに活かしてくれる。だからこそオーディエンスは、彼らに最大限の夢を見ることができるのだ。
原因は自分にある。
2019年7月7日結成、EBiDAN 39&KiDSから選抜されるBATTLE BOYSから叩き上げられた7人組ボーイズグループ。活動開始直後は「BATTLE STREET」と名乗っていたが、1カ月後に現在のユニット名に改名している。
楽曲がボーカロイドの文脈を引いていたり、MVで積極的にアニメーションを採用していたり、多くのボーイズグループが実像で勝負するなか、ある種の虚像性を感じさせているのが特徴だ。
この“実像と虚像”こそが、原因は自分にある。を語る上でのキーワード。本人たちも「二次元の存在でも三次元の存在でもあるということは、僕らの目指す姿」と公言しており、現実とバーチャルを融合したパフォーマンスを得意とする。コロナ禍で積み重ねてきたオンラインライブの経験を活かし、既存のライブパフォーマンスを刷新していく。そうして、新たな原因を打ち出していくグループこそ、原因は自分にある。なのである。
【ボーイズグループ最前線2022】
#4:“ひと聴き惚れ”注意(5月2日公開予定)
#5:クセになる個性派(5月3日公開予定)
#6:音で魅了する楽曲派(5月4日公開予定)
#7:結成10年超(5月5日公開予定)
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