ギルバートとアンの関係性、アンのルーツ探し
ビリーと付き合いはじめたジョーシーが、好きな人をさりげなく公表する「お知らせ板」を復活させた。学校は恋愛の話題で持ち切りになって、ルビーは不安になってしまう。ルビーはギルバートが大好きだが自分からは言えないのだ。
アンは、ルビーに代わって、ギルバートに「お知らせ板が復活したのよ」と知らせ、「やんわりと告白することができる」なんて言う。ギルバートは、真剣な表情で「それで君が考えてる相手っていうのは?」と聞き返す。鈍感なのか気づきたくないのか、アンは「ルビーを思ってるなら」と答えて、ギルバートをがっかりさせてしまうのだ。
ギルバートとアンの関係性は、この後シーズン3でもっとも波乱万丈に展開する軸になっていく。
アンの16歳の誕生日。マリラとマシューが隠しきれない表情でいそいそといつもの朝のように見せかけながら(ふたりの様子がめちゃくちゃかわいい)、ふたりで歌を歌ってケーキを持ってくるという小さなサプライズを仕掛ける。
帽子のアクセサリーをプレゼントしながらマシューが「この帽子は原点のアンを思い出させてくれる。はじめて駅で出会ったあの日のな。あの素晴らしき日に運命が私達を引き合わせてくれ、家族にしてくれた」と語る。大喜びのアンは、「原点のアンね。これでいよいよ自分のルーツを調べに行く決心が固まった。家族について知りたいの」と語る。
マリラは、簡単には賛成できない。アンが自分たちから離れていってしまうかもしれないのだから。
だが、マリラとマシューは相談して結論を出し、アンが強く望むなら家系について調べることを認めると告げる。「必ず付き添いと一緒に行動して、危険なマネはしないと約束して」と言うが、マリラとマシューが心配しているのは旅路のことだけではない。
「ショックを受けるようなことを知ってしまうかもしれない」
「遠い親戚が引き取りたいといいだしたら、ここを出ていってしまうかも」
だが、ふたりは、「どんなときもアンの幸せを考えること、それしかできない」と自分たちに言い聞かせる。
ジェリーはダイアナに気がある?
シーズン3の今後の展開の3つの軸となる「ミクマク族の少女との出逢い」「アンとギルバートの恋愛」「アンのルーツ探し」の発端がぎゅっと濃縮して描かれた第1話だった。
アン以外の人達にも大きな変化がある。黒人のバッシュとメアリーには娘デルフィンが誕生している。ダイアナは、フランスの花嫁学校に行くことを両親から強いられている。
リンド夫人とステイシー先生は仲よくなっている。もう結婚は考えていないと答えるステイシー先生の言葉に夫人は耳を貸さず
「縁結びと言えばわたし!」
と張り切っている。読み書きが上達したジェリーは『フランケンシュタイン』を読んでいる(ちょっとダイアナに気があるようだ)。
「恋のお知らせ板」も「ミクマク族の少女カクウェット」も「アンのルーツ探し」も、原作『赤毛のアン』には、同じエピソードが出てくることはない。
似た場面はあるにはある。たとえば、学校の壁にカップルの名前が書いてある場面が出てくる。
「ギルバート・プライス? その名前は確か、ポーチの壁に、ジュリア・ベルと一緒に書き出してあって、その上に『注目』、と大きく書いてあったわね」
『赤毛のアン』松本侑子訳/文春文庫
『アンの愛情』には、アンが両親の家を訪ねる場面がある。アンは両親の家を訪れ、墓に白い花束を備え、両親の手紙を読むのだ。
そのときアンが語っている部分を引用しよう。
「私、お父さんとお母さんに、やっと出会ったの。手紙を読んで、両親が生きていたんだって実感したの。私はもう、みなし児じゃないわ。まるで一冊の書物をひもといたら、ページの間に、すぎ去りし日の薔薇が、今なお甘く、愛しく咲いているのを見つけたような気持ちよ」
『アンの愛情』松本侑子訳/文春文庫
ドラマ版のアンのルーツ探しは、原作とはまったく違う展開をみせる。第2話で、アンは両親を探して、コールとともに孤児院へ向かいショックを受ける。このことがマリラとの関係をどう変えるだろうか。
『アンという名の少女』全話レビュー・あらすじまとめ/記事一覧
『アンという名の少女』
原題:Anne with an “E”
制作:2017年 カナダ
原作:L・M・モンゴメリ
製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット
キャスト
アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)(上田真紗子)
マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)(一柳みる)
マシュー・カスバート(R・H・トムソン)(浦山迅)
ダイアナ・バリー(ダリラ・ベラ)(米倉希代子)
ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)(金本涼輔)
レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)(堀越真己)
ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)(霧生晃司)
Netflixシーズン1から3まで配信中
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