VR即売会、BAD BOY、「かす汁 さくら咲くまで」ほか<今週のおすすめ記事>

2020.8.15

本来、今ごろは東京オリンピックが開催される予定だったわけですが、ここ数日の天気を見ていると関係者も観客も熱中症が続出したのでは、と心配になります。そんな暑い日がつづいたこの1週間の締めくくりに、「QJWeb 今週のおすすめ記事」をお届けします。


今週のおすすめ記事

いわゆる「コミケ」のような同人誌即売会がVR空間で行われるようになった、というだけの話ではありません。即売会の会場がVRというネット上ならば、ネット上にしかないものを売買できるわけで、個人的におもしろいと思ったのが、大型3Dモデル即売会『バーチャルマーケット』です。かつて、こうしたUGC(ユーザー生成コンテンツ)は主に「ニコニコ動画」などの場で「動画」という形で披露されてきたかと思いますが、今やそれが、VR上の3D空間に展示され、ほかのユーザーが直接見たり、購入したりできるという状況になっているなんて、まったく知りませんでした。「ニコニコ動画」でネットへの認識が止まっている自分を恥じました。記事中では、こういった即売会へのアクセスの仕方も丁寧に解説されています。書き手のたまごまごさんの「この業界を盛り上げたい!」という気持ちが伝わってくるのもとてもよかったです。

スズキナオさんの連載第6回、今回のテーマは「近所の食堂で静かに昼ご飯を食べる」です。なんとなく気になってるけど、入っていいものかわからない個人でやってる食堂、というのが誰の心にもあるのでしょうか。この記事には主にヤフーニュースで、大きな反響がありました。2ページ目の、冷えたビールとちょこんと置かれた冷ややっこの写真が風情を感じられて良かったです。夏は冷ややっこに薬味を多めに載せて、いただきたいものです。

今週、SNSなどで反響が最も多く寄せられたのがこの記事でした。90年代後半〜00年代初頭、主に小学生男子に愛されたファッションブランド「BAD BOY」をリバイバルさせた、株式会社ク・ラッチの小塩明日加さんへのインタビューです。印象的だったのが、小塩さんが「BAD BOY」のライセンスオーナーにリブランディングさせてほしいと頼みに行ったところ、「なんで今!?」という反応だったという話。小塩さんはほかのリバイバルとは違う「BAD BOY」にしかない強みを見抜いていたわけです。詳しくは、記事をご覧ください。

ライターの近藤正高さんが、RADWIMPS野田洋次郎さんのツイートをきっかけに、「優生思想」について考察した重厚な内容となっています。前提として、優生思想は「『積極的優生学』と『消極的優生学』と、おおまかにふたつに分けられる。野田洋次郎のツイートは前者に当たる」とし、本稿では主に「積極的優生学」について述べられています。そして、「積極的優生学」は常に「消極的優生学」=「命の選別」につながる可能性を持っています(だからこそ野田洋次郎さんのツイートは問題なのですが)。遺伝的要素は本当に人の知能や身体能力に決定的な影響を与えるのか、そのイメージ自体が近年になって作られ、私たちが内面化してきたものではないか、と指摘し、人の能力に、より大きな影響を与える別の要因について、解き明かします。私自身、フィクションの世界でも多く描かれる、「血筋」といったものについて、軽々に受け入れてしまっていたことを考え直すきっかけになりました。

クイック・プレイバック

高校生のころ、言葉にできない孤独を感じていた加藤ミリヤさんに響いたのは、ECDさんの「ロンリーガール feat.K DUB SHINE」でした。その後、彼女はシンガーとして「ディア ロンリーガール」という「ロンリーガール」へのアンサーソングをリリース、さらにその12年後の2017年「新約ディアロンリーガール feat.ECD」をリリースしました。彼女にとって、一連の楽曲はどのような存在だったのでしょうか。まっすぐな気持ちが言葉になったエッセイです。
(※本記事は、2017年12月26日に発売された『クイック・ジャパン』vol.135掲載のコラムを転載したものです)。

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