【『Roots of 電気グルーヴ ~俺っちの音故郷~(仮)』#2:DAF】「君のことを考える」ってタイトルが沁みる

文=天野龍太郎 編集=森田真規


電気グルーヴの石野卓球とピエール瀧が、彼らの音楽的なルーツとなったアーティストについて語るトーク番組『Roots of 電気グルーヴ ~俺っちの音故郷~(仮)』。株式会社ビーアットのプロジェクト「BE AT TOKYO」がサポート、同社が運営するコミュニティスペース「BE AT STUDIO HARAJUKU」(2021年4月23日にラフォーレミュージアム原宿にニューオープン)で収録されているコンテンツだ。

QJWebでは、そんな『Roots of 電気グルーヴ ~俺っちの音故郷~(仮)』のテキスト版をお届けしている。第1回のニュー・オーダーにつづく第2回の主役は、DAF。トークで飛び出す固有名詞の数々に解説もつけたので、ふたりが選曲したプレイリストと共にお楽しみいただければと思う。

【関連】【『Roots of 電気グルーヴ 〜俺っちの音故郷〜(仮)』#1:New Order】「Blue Monday」には忘れられない思い出がある


ドイチュ=アメリカニシェ・フロイントシャフト

ピエール瀧 さあ、今回のテーマはなんでしょうか、卓球くん。

石野卓球 ドイチュ=アメリカニシェ・フロイントシャフト(※1)、通称DAF(ダフ)。基本的に、この番組は80年代がやっぱ多いんだよね。80年代なんだけど、一般的に言う80年代とは──。

 ヒットチャートを賑わせてたようなものとは違いますよと。

石野 そっちにあんま興味なかったんだよね。瀧はブルース・スプリングスティーンが好きだったでしょ?

 ♪ボーーーーーン・イン・ザ・USA! 言いたいもんね、「ボーーーーーン!」はね(笑)。

石野 で、今回お話しするテーマは、彼ら。

 DAF。

石野 (レコードを指して)これは『Gold Und Liebe』、邦題『愛と黄金』っていうアルバムなんだけど、このジャケット写真ね、今年の電気グルーヴのアー写でパクりました!

 パクったんじゃないな。完コピに挑戦した。徹底的にやろうってことで。僕も革のやつを着てるんですけど、衣装を作りましたからね。

石野 バナナの皮で。

 黄色を黒に染めて(笑)。

石野 切ったオチンチンの皮で、すごい余ってたから(笑)。なめしてなめして(笑)。で、パクリって普通、自分のものにしようとするじゃん。うちらは「間借り」っていうか、偽物、贋作(笑)。で、マネすればマネするほど、本来持ってるものの差が出てくるっていう。昔さ、瀧が雑誌の取材とかで、女装すればするほど男らしくなるっていうのがあったでしょ。

 女装した自分を鏡で見て、「うっわ、男らしいな」ってなるんだよね(笑)。

石野 うちらの「模写」って、基本的にリスペクトしてるアーティスト以外はしないので。ただ、怒られるんじゃねえかっていう(笑)。

 あちらさんも楽しんでくれるはずだっていう観点のもとでね(笑)。

石野 DAFは、ドイツのデュッセルドルフ出身のグループなんですけど。もともとはバンド形態だったんだよね。初期のころはギターとかベースとかもいたんだけど、1人減り、2人減り、最終的には一般的に認知されてるこのふたり、ボーカルのガビ・デルガドとドラムのロベルト・ゲアルのDAFになった。彼らの何がすごいかっていうと、ベースシンセとドラムとエロいボーカルだけっていうサウンドだよね。

石野卓球

 独特なベースラインですよね。

石野 かゆいところに手が届きそうで届かないような、届いてるような、っていうね。俺が最初にDAFを聴いたのは、坂本龍一さんがNHK-FMでやってた『サウンドストリート』(※2)で、これ(『Gold Und Liebe』)の前のアルバムの『Alles Ist Gut』が出たときに特集してたのよ。そのときに、このアルバムの1曲目に入ってる「Der Mussolini」が流れて、俺はもうシビれた! それまでYMOとかクラフトワークとかはもちろん好きで聴いてたんだけど、それとは全然違って、パンキッシュというか、エレクトロニクスやシンセサイザーを使いながらラジカルな音っていうのが、当時はすごく珍しくて。

 クラフトワークとかYMOとかは、ちょっと音が清潔っていうかね。

石野 今までのバンドは、文系っていうのは変だけど、なんかケンカが弱そうで、あとエロくなかった。そこに現れたのが、これ。ゲイのイメージとかをまとって、しかもドイツから出てきたグループでね。

※1 ドイチュ=アメリカニシェ・フロイントシャフト(Deutsch Amerikanische Freundschaft, DAF):1978年にドイツ・デュッセルドルフで結成されたバンド。ノイエ・ドイチェ・ヴェレ(ジャーマン・ニューウェーブ)の代表的なバンドとして知られる。メンバーの脱退を経た1981年、パーカッションやエレクトロニクスを担当するロベルト・ゲアルとボーカリストのガビ・デルガド=ロペスのデュオに。1982年に解散し、1986年に再結成。その後、解散と再結成を数度繰り返す。2020年3月にガビ・デルガド=ロペスが逝去。

※2 サウンドストリート:1978〜1987年に放送されていた、「サンスト」の愛称で知られるNHK-FMのラジオ番組。坂本龍一は1981〜1986年に火曜日を担当しており、リスナーによるデモテープの投稿企画が有名。

『スピリット・オブ・ジャーマニー』


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天野龍太郎

(あまの・りゅうたろう)1989年生まれ。東京都出身。音楽についての編集、ライティング。

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