『M-1グランプリ』漫才の“無限の可能性”を魅せたマヂカルラブリー、『敗者復活戦』を「国民最低〜!」で盛り上げたランジャタイ(てれびのスキマ)


『M-1グランプリ2020』決勝

煽りVTRはおそらくこれまでで最長。途中CMを挟むほど。漫才師がマスクを外すシーンが今年ならではでめちゃくちゃカッコよかった。ファイナリスト9組が無事そろったというだけで心底よかったと思ってしまう。

笑神籤でトップバッターに選ばれたのはまさかの敗者復活枠。そのインディアンスが理想的なトップバッターとして大きな笑いを生み高評価を獲得。

つづく東京ホテイソン。とてもおもしろかったし、会場でもウケていたように感じたけど意外にも点数は伸びず。「珍しくないですか? こんな前期の『M-1』みたいな点数」とたける。

つづくニューヨークは彼ららしい“悪い”ネタ。前回の松本評を受けて「僕はもう笑っても大丈夫ですか? ずっと笑わないようにだけは気をつけてやってきたんですが」と屋敷は言うが、デフォルトでニヤついて見える。「ちょっと腹立つんですけどおもろかったですねぇ」と松本が評すると「よっしゃー! 1年越しのリベンジ―!」と屋敷。松本「でも、ツッコミちょっと怖かったかな」屋敷「なんなんすか。ツッコミから表情奪う気ですか」と、もはや安定感すら感じさせるやりとり。

そのニューヨークを上回る点数を、見取り図が叩き出す。このあたりは順番の妙を感じた。上沼が盛山を「長髪の方」と呼ぶと、松本はリリーを「デザインパーマの方」と呼ぶ。これにツッコむ見取り図を今田が「今、金髪がしゃべってる」と制す圧巻のチームプレー。

ここで、おいでやすこがが登場。予想どおり最初の爆発を起こし、トップに。

そしてマヂカルラブリーへ。2017年の決勝で上沼恵美子に酷評され最下位に沈んだことをフリにして、正座でせり上がってくるという“史上最速のボケ”。このとき、笑っている客の姿が見えたことで「勝てるかも」と思ったそう。「どうしても笑わせたい人がいる男です」という掴みでしっかり笑いを取り、披露したのは『高級フレンチ』。準決勝でやった今年の勝負ネタ『吊り革』を温存したかたち。「反省会」によると、どちらをやるかは最後まで決まっておらず、おいでやすこがが爆発したあとにCMが入って場がリセットされた瞬間に決めたという。この大きなギャンブルに勝ったマヂカルラブリーは、おいでやすこがのうしろにぴったりつけ2位に。だが、肝心の上沼恵美子は3年前のことを「なんにも覚えてない!」。

そのあと、大爆発が期待された錦鯉、ウエストランドはそれには至らず、上位3組に食い込むことができなかったため、見取り図、マヂカルラブリー、おいでやすこがの優勝決定戦に。

優勝決定戦も三者三様。野田がほとんどしゃべらないという王道のしゃべくり漫才とは真逆の方向性の漫才を見せたマヂカルラブリーが、史上初めて3-2-2に票が割れるという大接戦を制し優勝。意外にも野田が涙を流し「最下位取っても優勝することあるんで、諦めないでください!」と熱いひと言。感動的だった。「これが漫才なのか?」などという議論も起こっていると聞くが、どうして狭い定義に収める必要があるのか。10組共がまったく種類の違う漫才で、こんなにも漫才は自由で幅広く多様なものなのかと、改めてその可能性の無限さを感じさせてくれた大会だった。

今日観たい番組:『笑神様は真夜中に…』で「中堅芸人ロケバトルSP」など

『ガンダムを動かせ~夢に挑んだエンジニアたち~』(NHK)司会は設楽統。ゲストに及川光博、片桐仁ら。

『激レアさん』(テレ朝)は「コロナの影響でペルーの山奥に7ヵ月間閉じ込められていたら、現地で超有名人になってしまいマチュピチュ遺跡を独占観光させてもらった人」「後輩への説教がエスカレートしすぎた結果、今は少年院で説教して夢と希望を与えているゴルゴ松本」。

『笑神様は真夜中に…』(日テレ)は「中堅芸人ロケバトルSP」。

『有田ジェネレーション』(TBS)は「音ネタグランプリ」第二夜。

『かまいガチ』(テレ朝)に日向坂46佐々木久美&加藤史帆、おいでやす小田。

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  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。

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