ザ・マミィ酒井『バナナサンド』で号泣に次ぐ号泣。「ただ生きているだけ」の可笑しさが爆発(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


壮絶なイジメを受けていた酒井の「地獄のような日々」を救ったお笑い

『バナナサンド』

ゲストの乃木坂のメンバーが悩みがあるということで、過去に悩みがあったけど、結果、今は楽しくネタをやっている芸人がいっぱいいるから、そういう人たちのネタを見て悩みを吹っ飛ばしてもらおうという「こじつけ」のような企画「苦労芸人ネタ自慢大会」。

まず出場する芸人の壮絶な過去の苦労話エピソードのVTRが流れ、「こっからネタやんの?」「ようこのあとできるな」というなか、ネタを披露していく。「全然ネタが入ってこないですよ。あんな悲しいVTR見たら」と伊達が真っ当に語る一方、設楽は「なんだろう? 異常な出てきたときのおもしろさ」と腹を抱えて笑う。賞レースなどによくある「感動的煽りVTR」問題の批評にもなっていておもしろい。

けれど、それを凌駕するような爆発を起こしたのがザ・マミィ。酒井が学生時代、女子から壮絶なイジメを受けていた体験を語るVTR。そんな「地獄のような日々」を救ったのがお笑い。一緒にお笑いの話をしていた親友がある日失踪してしまい、「自分は独りぼっちなんだ」と考えるようになってしまったと。

そんなVTR明け、コントに入ると酒井の様子がおかしい。「すみません、VTR見て酒井が泣いちゃってます」と林田がコントを途中で止めるハプニング。設楽「だから変なのか!」、伊達「酒井、大丈夫か? 思い出しちゃったんか。ツラかったんだな?」と心配しながらも笑いをこらえきれない面々。

「ごめんなさい」と謝る酒井に「こっちが悪い」と伊達。酒井「ずっと日陰にいて……こんなキラキラした舞台で、皆様が僕のこと見てくれてると思って、誰にも見られてこなかった、今まで……」「やっと抜けたなって。闇を。人生捨てたもんじゃねぇなって」。

これには設楽も「なんだこのカオスな状況。笑い泣きというか……」と語り、乃木坂のメンバーも「大好きになりました」と。泣き姿だけでこんなにも悲しさと切なさと可笑しさ、そして愛おしさを同時に醸し出せる人はなかなかいない。以前、僕が『Yahoo!ニュース』で行ったインタビュー(「東京03飯塚の助言で救われたザ・マミィ 『生きていたら変だった』そのキャラクターの活かし方」 )でも「(酒井は)ボケではなくて、『ただ生きているだけ』」「生きていたら変だった」って言っていたけど、本当に人間的な可笑しさが図抜けている。

全組のネタ披露が終わって出場者が集合しても酒井の独壇場がつづく。「親に(バナナマンとサンドウィッチマンの番組に出られ)立派になったねって言われて今日家を出て来たんです。僕、ずっとお笑い見てたから!」と感極まる酒井。ネタを最後までやっていないのに「優勝」に選ばれると「なんか優勝しちゃいました。忘れられない日になりました」。

出場者たちを前に「この世界にはこんなにも仲間がいるんだな」という酒井のひと言に、普段は「オトコ!」と合いの手を入れる瞬間メタル・ばっこーが「仲間!」と合いの手を入れたのがバカバカしくて最高だった。

『有吉の壁』

「水曜サスペンス劇場」。有吉が「もう何人死んでる?」というように思い思いのサスペンスパロディ。蛙亭×空気階段やヒコロヒー×さらば森田とか、この番組ならではのコラボが観られるのが楽しい。ぺこぱはパンサー向井とコラボ。「ついに松陰寺がツッコミ不在で向井を雇っちゃったよ」という有吉に、松陰寺「ツッコミは必要だ!」。

『水曜日のダウンタウン』

「すれ違いコント、今ならしれっと自分のものに出来る説」の検証で「キングオブすれ違いコント」。アンジャッシュ風のすれ違いコントに挑戦するさらば青春の光、空気階段、野性爆弾。

「フリが大事ですから。すれ違いは」「いかに主語を言わないか」「電話めっちゃ便利」などと森田が言うように、実践したからこそ実感できるアンジャッシュのコント解説になっていたのもおもしろかった。スタジオで“審査”した劇団ひとりが、優勝して「初タイトル」を手にしたさらばに対し「アンジャッシュは新しい情報がどんどん出てくるからワクワクすんの。そこをもっと勉強して」。

そして野性爆弾は「すれ違いコント」ならぬ「すれ違いざまコント」を披露。「す~れ すれ違いのワルツ♪」の曲が頭から離れない。

今日観たい番組:『有吉クイズ』の第3弾など

『有吉クイズ』(テレ朝)、第3弾。

『オドぜひ』(日テレ)はぺこぱ&スギちゃん後編。

『霜降りバラエティ』(テレ朝)は「上京大阪芸人を見て欲しいねん!!」後編。

『探シタラTV』(テレ朝)は新たなオカルトスター。



  • 【連載】きのうのテレビ(てれびのスキマ)

    毎夜ライフワークとしてテレビを観つづけ、テレビに関する著書やコラムを多数執筆する、てれびのスキマによる連載。昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、2020年のテレビ鑑賞記録。
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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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