かが屋、ママタルト、ザ・マミィ「無観客お笑いライブ」レポート&インタビュー(写真43枚)

2020.3.20
かが屋

文=山本大樹 撮影=時永大吾
編集=田島太陽


政府によるイベントの自粛要請から、ちょうど1週間後の3月4日。若手コント師・かが屋のYouTubeチャンネル「みんなのかが屋」による無観客ライブが開催された。ライブは無料で生配信され、YouTubeスーパーチャットによる投げ銭とグッズ販売で支援を募る試みだ。

出演するかが屋、ママタルト、ザ・マミィの若手芸人3組はどんなパフォーマンスを見せるのか。前代未聞の無観客ライブの一部始終をレポートする。


すべて手探り、観客のいない不安

3月4日、お笑いのイベントでは前例のない無観客お笑いライブ開催となったこの日。『QJWeb』取材班は会場の「新宿ハイジアV-1」に足を運んだ。新型コロナウイルスの影響で次々とライブやイベントの中止が決定されるなか、「お笑いファンや劇場スタッフのためにできることをしたい」とかが屋のふたりが中心となり、急遽この無観客ライブの開催が決まったのだという。

リハーサルをするかが屋のふたり
リハーサルをするかが屋のふたり

配信1時間前の18時から、ママタルトとザ・マミィ、そしてかが屋がリハーサルに臨む。普段のライブとは違い、芸人たちも観客の反応がつかめないことに不安を感じているようだった。

リハを終えたザ・マミィ酒井尚に、構成を担当している放送作家の白武ときおが「本番では(スタッフが)笑いますよ」と声をかける。酒井は「無理に笑わなくていいっすよ!」と苦笑いだった。19時からのライブ配信を控え、あわただしく機材の準備やカメラ位置の調整を行うスタッフ陣にも緊張感が漂っている。

「みんなのかが屋」無観客ライブ、配信の準備をするスタッフたち
配信の準備をするスタッフたち

本番20分前、フジテレビの情報番組のインタビュー取材が入る。

取材を受ける一同。左からママタルトの檜原と粕谷、かが屋の賀谷と加賀、ザ・マミィの林田と酒井
取材を受ける一同。左からママタルトの檜原と粕谷、かが屋の賀屋と加賀、ザ・マミィの林田と酒井

東京ガールズコレクション、KREVAといったほかの無観客イベントと並んで、番組内で“お笑いの代表”(?)として取り上げられるなど、注目度も高まっているようだ。インタビュー中、賀屋は終始「無観客」を「ムキャンキャク」と噛み倒していた。本人いわく「初めて口にした単語です」とのこと。やや緊張気味のままインタビューを終えた3組に、白武が「今日、みんな調子悪い?」と茶々を入れる。

時計の針が19時を指し、いよいよ無観客ライブの幕が上がる。いざ配信がスタートすれば、このあとの展開はすべて手探りだ。そんな不安をかき消すように、かが屋のふたりの軽快なオープニングトークが始まった。

画面の向こうまで、コントの世界を届ける

「みんなのかが屋」無観客ライブ、本番がスタート
本番がスタート。この日は3台のカメラがセッティングされていた

加賀翔は「今日の僕らのライブの雰囲気が、(無観客で開催される)『R-1ぐらんぷり』のルシファー吉岡さんやほしのディスコさんの結果につながるかもしれないんで」と、所属するマセキ芸能社の先輩の名前を挙げて意気込みを語る。一方の賀屋は「いつものお昼にやってる地下ライブみたいな感じだよね」と、会場に漂う独特の空気を表現していた。

開始5分の時点で視聴者数はすでに1500人に到達。生配信中の投げ銭システム「YouTubeスーパーチャット」の金額も5万円を超え、一瞬でライブ会場代をペイするという幸先のいいスタートとなった。

オープニングを終え、芸人3組のネタブロックへ。トップバッターはかが屋。さっきまでの穏やかな雰囲気から一変し、冒頭から迫真の演技で視聴者を一気にコントの世界に惹き込んでいく。序盤は息を潜めていたスタッフも、だんだんと声を上げて笑い始めた。

かが屋1本目のネタ。「空手の蹴りを使っただろ!」と怒る加賀
かが屋1本目のネタ。「空手の蹴りを使っただろ!」と怒る加賀
泣きわめく加賀を抱え、遠くに置いてくる賀屋
泣きわめく加賀を抱え、遠くに置いてくる賀屋

綿密な人物描写とセリフ選びの妙が詰まった、いつものかが屋らしいコミカルな会話劇だ。しかしネタ終了後、加賀は「すごいですね、この空気……」とボソッとつぶやく。やはり本人たちは少しやりづらい部分もあるのだろう。

「スベり過ぎて鳥肌が立っていた」


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山本大樹

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山本大樹

(やまもと・だいき)クイック・ジャパン編集部。1991年生まれ、埼玉県出身。

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