不条理にこそリアリティがある。風刺的で希望に満ちた「転・コウ・生」(てれびのスキマ)


昨日観た番組とそこで得た気づき、今日観たい番組などを毎日更新で綴る、てれびのスキマによる2020年のテレビ鑑賞記録。


品川祐「死ぬぞ、俺!タレントとして今日!」。

『かりそめ天国』、「飯尾No.1」特別編。休業状態になってしまったキャバ嬢たちの現在をリモートで。収入もなくなったけど支出も少なくなったという嬢に「俺なんか昨日使ったお金、山芋299円だけだからね!」と飯尾。みんな明るくてたくましい。トーク集の中でマツコ「必要だと思う情報以外は耳に入れないようにすればいいのよ」。

『脱力タイムズ』、オススメ家電ベスト5を品川祐がプレゼンするという企画。が、途中からスタッフが間違ったものを用意してしまい、それを使って無理やりプレゼンするという流れに。最後の1位で用意されたものを見て「何考えてるの?」と品川。戸惑いながらも「寝ないで仕事をしなければいけないとき、疲れたときに元気が出る」と説明。この時点ではアダルトグッズか何かかなあと思っていたら、この番組の“凶悪さ”は度を超えていた。

モザイク越しには、白い粉のようなものと緑の葉っぱのようなもの。「どういう使い方をするの?」と問われ弱々しく「……巻いて、吸うのかな?」と答える品川。「どこに持っておけばいい?」「ビニールに入れてトイレの水のタンクに裏からガムテープで貼る……」。さらに実演してみてと言われ品川「死ぬぞ、俺! タレントとして今日!」。

『タモリ倶楽部』、「マッチング・タモリ!」にザ・マミィ。公園にいるとおじさんが気になるという酒井に、タモリは「おじさんって、長い間生きてるとクセができておもしろいよね」と同調。ザ・マミィはふたりともタモリが気に入りそうなキャラだから今後、この番組の本編にも呼ばれそう。

『シンパイ賞』四千頭身vs流れ星。流れ星はいつものように瀧上が「ネタやギャグは自分が作ってるのに」と不満を漏らす。それに対し「やってるやつのほうがえらいに決まってる」と太田。瀧上「ツッコミがネタを作って(ボケに)教えてるって『ゆりありく』(※)みたいなもんですよ」、ちゅうえい「『教えてる』って言い方、すっごい語弊ある!」。

今では両方が作っているというちゅうえいのギャグ。瀧上が作るのは「起承転結・フリオチあり」だが、ちゅうえいが作るのは「ほわっとしている」という。その流れから「どっちが作ったかクイズ」に。くだらないけど、なるほど、どちらが作ったか確かによくわかる。

※鈴木由梨亜とニホンザルのりく(現在は2代目のくぅ)によるコンビ。太郎次郎一門でタイタン所属。

『今だから、新作ドラマ作ってみました』、「転・コウ・生」素晴らしかった! ストーリーも演技も映像表現も工夫と遊び心に満ちていた。柴咲コウとムロツヨシ、高橋一生、猫ののえるの3人と1匹の中身が入れ替わるという不条理なドタバタコメディ。けれど、ただのドタバタではなく現在の時代状況を重ねたものになっていた。確かに今、不条理にこそリアリティがある。最後も元には戻らない。けれど、そんな現実を受け入れて楽しみながら前向きに進んでいく。リモートの撮影という難しい状況のなかで、こんなにも笑えて切なくて、風刺的でいて希望に満ちた作品が作れるなんて。「新しい時代の幕開けにゃあ――!」。

今日観たい番組:イタリアでの新型コロナ感染拡大を記録した『そして街から人が消えた』など

『ETV特集』、「映画監督 羽仁進の世界~すべては“教室の子供たち”からはじまった~」。戦後日本のドキュメンタリーに革命を起こしたといわれる羽仁進の特集。是枝裕和も出演。

『そして街から人が消えた~封鎖都市・ベネチア~』(NHK)。おそらくBSで放送したものの地上波版。カーニバルを撮影しようとしていたが、そこで新型コロナの感染拡大が起きてしまうというもの。

『有吉反省会』(日テレ)はプー・ルイが「趣味でやっている手芸のクオリティが低いにもかかわらず、グッズ販売で荒稼ぎしている」ことを反省。

【毎日更新】きのうのテレビ(てれびのスキマ)
5月8日 第7世代レディースぼる塾「体張ること」「大食い」「水着」がNGな理由
5月7日 「僕は演劇を観ている!」と涙した『12人の優しい日本人』
5月6日 SixTONESへのおもしろいけどためにならない「ひな壇」レッスン
5月5日 山田ルイ53世「自粛期間、無意味にボーッと過ごしてもいい」


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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