【前編】m-flo 差別とアイデンティティを語る

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2020.1.15

“been so long”はドキュメンタリー

TAKU LISAちゃんはそれでなかなかきっかけがつかめなかったり、つまずいちゃうところがあって。

LISA それが8年なんですよ。「つまずいて、つまずいて、つまずいて」っていうのがこれだけ長いと、「もう辞めようかな」って本気で思いました。歌は自分の個人の趣味にして、好きなライブハウスで好きなバンドメンバーとやってれば、差別は受けないし、文句も言われないじゃないですか。でもそこで、もう「本当にだめだ」っていう時に、TAKUとVERBALの「The Rhyme Brokers(※2)」っていう曲に友情参加したりとかして、そこから「もう一曲やろうよ」って作ったのが「been so long(※3)」だったんです。

まだその時点では、LISAが正式 メンバーになるっていう話じゃなかったんだけども、「一緒にやってみない?」っていう話があって。それで私も、「本当に私でいいの? 本当にいいんだったら、私の歌が欲しいのであればやります。でも、LISAにとってもこれが本当に最後」っていうところまで来てたから、m-floには今までの「つまずいて、つまずいて」っていうのがすごいパワーになって出ているし、今後もっとそれが出てくれば、みんながもっと感じられればうれしいですね。

m-flo / been so long

TAKU 「been so long」は、うまいぐあいにドキュメンタリーにできたよね。LISAの今までの経験とか、VERBALの思ってることとか。

LISA あの曲はメロウに聞こえるんですけど、根っこはhate(憎しみ)なこととか、dislike(嫌い)とかracism(人種差別)とか、そういうところから来てる曲なんです。でも、それをストロングにガーッて出さないで、オブラートで包んだ感じなんだけど。

VERBAL あの曲をラブ・ソングだっていう人が多いし、そういうふうに解釈されても全然いいんですけど。

TAKU 自分が好きに解釈すればいい曲だから。「待ってる」っていうのがテーマだからね。みんな待ってるものとかあるじゃないですか。

LISA  私は涙流して自分の人生のことを話してて、VERBALとか横で「うん。まあ、泣かないでよ。まあまあ、抑えて抑えて」っていう感じで少しずつできていって。それはうれしい曲です、LISAとしては。


※2:1998年10月にリリースしたインディーズ盤デビューシングル「The Way We Were」に収録。

※3:1998年12月にリリースしたインディーズ盤セカンド・シングル。メジャーデビュー盤「the tripod e.p.」にも収録。