松山ケンイチ×東出昌大が生む化学反応
松山と東出が組むと傑作が生まれる。
私はそこに、運命を感じる。
ふたりは、互いのことをどう思っているのだろう。
松山は、カジュアルに語る。
「『聖の青春』をやらせていただいているので、しゃべらなくても信頼関係があるんです。安心感があった。なんとかなるだろうって。台本も手放すことができた。吉田監督だからこその空気作りもあって、楽しんでいるうちに終わった。全部、楽しかったな。まさに『居場所』でした」
監督も感慨深げに振り返る。
「(撮影が)終わったとき、甲子園の夏が終わったような気がして……」
東出はリスペクトの念を込めて、松山について話す。
「言わずもがな、敬愛する大先輩ではあるんですが、『聖の青春』でご一緒した経験を抜きにして、(松山の)何がどれくらいすごいのか、わかるようになってきた。同じ職業になってから、わかるようになってきた部分はある。
監督が設計図を書いたとしたら、大工の棟梁が松山さんなんです。カリスマ性のある棟梁のいるプロジェクトに入れることが下っ端の職人はうれしくてしょうがない。そんな気持ちでした」
『BLUE/ブルー』というタイトルの解釈
『BLUE/ブルー』。改めて、いいタイトルだ。
監督が、そこに込めた想いを解説する。
「もともとは『ブルーコーナー』だった。(ボクシングの挑戦者を意味する)青コーナーが、今回のテーマだと思っていた。そのままタイトルにしたんです。
(作品が完成した)あとで思ったことなんだけど、俺の映画の中で一番透明感があるんだよね。俺の映画って(いつも)悪意の塊だけど、あの意地悪さがない(笑)。ずっとやってきたボクシングには、悪意を入れづらかったのかな(笑)。俺って、こんなに透明感あったんだ!って(笑)」
松山ケンイチの“BLUE”という単語の捉え方は秀逸だ。
「(俳優にとっては)どの役も青コーナーから入場するしかないんですよ。毎回、青コーナーに立っていると思う。だから『ブルーコーナー』というタイトルの脚本を最初に読んだとき、BLUEは瓜田のことであり、僕のことでもあるなと。どの役も青から入場せざるを得ない。(『男はつらいよ』シリーズの)寅さんみたいに40何作もあったら赤コーナーから入れるかもしれないけど(笑)。
でも、青コーナーのほうが燃えるし、やっぱりいいですね」
キャリアを重ねても、俳優にとって役は、挑戦でしかない。“青”がより深まる名言である。
東出昌大は『BLUE/ブルー』というタイトルを気に入っているという。
「映画を観終わったいち映画ファンとしての感情なんですけど。青は、挑戦者の色でもあるし、青春の青臭さ、食事中は食欲を減退させる色でもあるけど、抜けるような青空もある。いろいろなグラデーションが存在する稀有な色だと思うんです。それがまさしく、この映画の特色であるとも思います」
稀有な色を宿した映画。
それが『BLUE/ブルー』だ。
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映画『BLUE/ブルー』
2021年4月9日(金)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督・脚本・殺陣指導:吉田恵輔
主題歌:竹原ピストル「きーぷ、うぉーきんぐ!!」(ビクターエンタテインメント)
出演:松山ケンイチ、木村文乃、柄本時生、東出昌大
配給:ファントム・フィルム
(c)2021『BLUE/ブルー』製作委員会関連リンク
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