方言によって獲得したかが屋の両A面
——もうひとつ、「スマートなコント師」という評もありますよね。たしかにそれはすごくわかる一方で、また別の魅力を感じるのが方言で演じるコントなんです。スマートなイメージとは真逆の、いい意味での土臭さがあるというか。
加賀 真逆だと思います。そもそも僕ら全然スマートじゃないですから(笑)。岡山と広島のすごい田舎者ですし、賀屋さんなんて電車でつり革持ってたら夏場はずっと脇毛出てますからね! 僕はすごい荒くれのお父さんのいる家で育ってるんでヤンキー気質もありますし、本当はめちゃめちゃイモいんです。ひとつもスマートじゃないのになんかいい感じに思ってもらえてて、得してるというかありがたいですねぇ。
——その両面性がすごく興味深いです。特に『くら寿司』のネタがすごく好きで、あれは絶対方言でしか表現できないんだろうなと。
加賀 ありがとうございます、僕らのなかで一番いいコントだと自分で思ってます。
——そうなんですね。方言のネタは最初からその前提でつくるんですか?
加賀 ネタを考えながら「試しに方言でやってみようか」と言葉を変えてみてできていく場合と、最初から「これは絶対方言だな!」ってネタもたまにあります。『くら寿司』は最初からそうでした。
——『年金』は方言バージョンと標準語バージョンがありますね。
加賀 『年金』のネタに関しては、標準語でやると怒ってるところが本当に怒りすぎてるように聞こえる瞬間があったんです。岡山弁・広島弁はわりといかついんで、方言にしてもどうなんだろう? と思ったんですけど、やってみたらちょっと間抜けさ、かわいげが出てきてギャップも生まれました。それで観てもらいやすくなったところはあると思います。
——方言のほうが感情を乗せやすいものですか?
加賀 僕は正直、方言のほうがやりやすいですね。『くら寿司』のネタの演技は父親のコピーなんですよ。しゃべり方とかを全部真似してやっていて。僕も本当のしゃべり方はああいう感じなんです。だからすごい気持ちが乗っかっちゃって、最初にやったときは自分で泣いちゃいましたもんね、ちゃんと(笑)。
——そう考えると、ふたりの出身地が近くてよかったですよね(笑)。
加賀 ほんっとにラッキーでした。岡山と広島でもちょっと差はあって、そこですらそう感じるってことは、片方が関西弁だったら『くら寿司』は絶対できてなかったと思います。これは本当にラッキーですよね。
——最後に、今年は『キングオブコント』準決勝まで駒を進めています(取材時点)。決勝にいけた場合、2019年以来になりますね。
加賀 そこまでいったらもう、あとは周りの人たち次第なのかなって考えてます。僕らが決勝行かせてもらったときはどぶろっくさんの次の出番で、もうなんの緊張もなかったんですよ。「絶対優勝だぁ!」ってなってたので(笑)。そういう運も絡んでくるんで、自分たちの考えてきたこと、作ってきたものを笑ってもらえて、喜んでもらえたらって、それだけですね。
『芸人雑誌 volume4』では、相方である賀屋壮也のインタビューも掲載。表紙は空気階段、かが屋、蛙亭の3パターンで発売され、サスペンダーズ、ガクヅケ、怪奇!YesどんぐりRPGなど注目のお笑い芸人が多数登場している。