今田耕司とテレビの変化「今のままではあかんな」“おもしろい”が変わった時代で生き残るために

2021.4.11
今田耕司

文=てれびのスキマ 撮影=石垣星児
編集=田島太陽


テレビの前の視聴者は、劇場に来てくれた観客は、何を観たら笑ってくれるのか? それは時代と共に大きく変化する。今田耕司は言う、「日々、勉強です」。

多様性の尊重、価値観のアップデート、女性との接し方。社会が変わっても、今田は時代に合った“おもしろい”を探している。ロングインタビューの後編。

【前編】「ラクな仕事って残らないんです」今田耕司55歳、自分の“居場所”を求めて戦う日々


「女性に対する接し方も全然変わった」

今田耕司
今田耕司(いまだ・こうじ)1966年、大阪府生まれ。1985年に4期生としてNSC大阪校に入学。翌年に舞台デビューを飾り、2021年で芸歴35年。4月14日から、今田耕司×鈴木おさむの演劇シリーズ第7弾『てれびのおばけ』がスタートする

──先日『ボクらの時代』(フジテレビ)で、既婚者の芸人さんが妻に対して「1日ぐらい友達と遊ぶ日を与えた」という言い方をしていたときに、今田さんがすぐに「『与えた』という言い方はおかしい」と注意されていたのが印象的でした。

そうそう、こいつまだ、“昭和”やなと思って(笑)。

──正直、今田さんは女性に厳しいというイメージがあったから驚きました。

若いときは、確かにめちゃくちゃ厳しかったですね。というか先輩の影響ですかね。女の子に優しくしてたら「何してんねん!」って言われる世界でしたから。みんなで飯食ってるときに彼女からの電話に出たら「はぁ? 何それ」みたいな。だから電話鳴っても出なかったです。

なんやったんやろって思います。時代としか言いようがない(苦笑)。ホントに申し訳なかったなって。今は松本(人志)さんが家族のお話をして子供がかわいいって言ってる時代ですから。みんな考え方が柔軟に変わってると思いますよ。

──考え方が変わったきっかけは何かあったんですか?

やっぱり、女性と話す機会がけっこう多いですから。たとえばバーに行くと、マスターの知り合いとも話すし、そうすると離婚された女性とかにも会いますし、いろんな人と話してるうちに、データだけは入ってくるんですよね。

よく言われるじゃないですか、「(お皿を)洗っといたで」ではダメなんです。「『洗っといたで』ってなんやねん。普通やろ」って。なるほどなあと。やっぱ女性の言ってることはたいがい正しいなって。女性に対する接し方も全然変わったと思います。

──率直に言って、結婚願望はあるんですか?

わかんないんですよね。したいとは漠然と思うんですけど、無理やりにでもしたほうがいいのか?と思うと、わからないなあって。今までの女性への接し方ではあかんなって思うんですよね。もう少し、懐に入るというか……。

やっぱり僕は、ええ部分だけを見せようとしてしまうから、どうしてもひとりになったときにホッとしてしまうんですよね。別れた子とかに聞くと、こっちがええ部分ばっかり見せるから、向こうも完璧な自分でいなきゃと思って緊張するんですって。

ダメな部分を隠してると、向こうもそれに合わせて息苦しいんでしょうね。日々勉強してますよ、本当に!(笑)

容姿イジリ、相方同士の罵り合い……今やれる“おもしろい”

今田耕司

──今田さんくらいの年齢だと、考えも固定化されがちなので、「日々勉強」と言える人は珍しいと思います。

そうですか? 全然固まらないですよ! 常にフラフラ、フラフラしてますもん。若いときみたいに、「自分をこう見てほしい」みたいなのはだいぶなくなった気がしますね。カッコつけることは減ったかもしれないです。ポリシーみたいなものがあったらカッコええって昔は思ってたんですけど、どうやら俺はないぞって(笑)。

いや、「ない」っていうことも昔は言えなくて、「ある」フリをしてたんですけどね。今はマネージャーも若いんですよ。チーフは30代前半、現場も20代の子なんですけど、「どうしよう、これ?」「どう思う?」とか30歳くらい下の子にバンバン聞いてますから。昔の俺のマネージャーが見たらびっくりすると思う。

──最近は容姿イジリなども許されないような風潮になってきていますね。

そうですね。でも、自然とそういう言葉は出なくなりましたね。20代のころは言えてたキツいフレーズが、30代で「ん?」ってなって、40代で「ううん?」ってなったり、急にというよりは徐々に変わっていったような気がします。

東野(幸治)とかを見ていてもそうですけど、自分も年を取って、まわりの環境も変化して、考え方も少しずつ変わりましたね。急に冷たいプールに入ったというよりは、ゆっくり慣れていった感じはします。じゃあ、その言葉を言わずにどうおもしろく表現しようかという戦いだと思います。

今田耕司

──そういったいろいろな変化があるなかで「おもしろいテレビ」や「テレビの正義」はどのようなものだと思いますか?

まさに今回の舞台(4月14日から公演の「てれびのおばけ」)は、そういうことがテーマになってるんですよね。何をおもしろいと思うのかが変わってきてる。相方同士が罵り合ってるのがおもしろかった時代から、今はコンビで仲がいいのがおもしろいと言われる。ケンカしてるのなんて見たくないっていう人も多くなった。昔みたいに、パターンにハメてストレートなやり方ではダメですよね。

たとえば『ゴッドタン』(テレビ東京)とかはものすごく時代に合った、芸人の個性を殺さないやり方をしてると思うんです。この人が受け手だからこそ成立する、みたいな。緻密に時代を読んで、今やれるおもしろいことをやってる。罵り合ってる姿も、本来はおもしろいですから。それをどう見せるかっていうことだと思いますね。

未来なんてわからない、だから「経験してヤケドすればいい」

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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