「ラクな仕事って残らないんです」今田耕司55歳、自分の“居場所”を求めて戦う日々

2021.4.10
今田耕司

文=てれびのスキマ 撮影=石垣星児
編集=田島太陽


今田耕司は今もなお、迷っている。

芸歴35年、司会を務めた番組は数知れず。それでもテレビの現場は、毎日が「出たとこ勝負」。未だ見つからない自分の定位置を作るため、「イチかバチか」を繰り返し、気が重い仕事にも立ち向かう。

司会者として、お笑い芸人として、タレントとして。今田が最も大切にしていることを聞いた、インタビューの前編。

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“安泰”な場所なんてない「常に試されながらです」

今田耕司
今田耕司(いまだ・こうじ)1966年、大阪府生まれ。1985年に4期生としてNSC大阪校に入学。翌年に舞台デビューを飾り、2021年で芸歴35年。4月14日から、今田耕司×鈴木おさむの演劇シリーズ第7弾『てれびのおばけ』がスタートする

──もうすぐ始まる舞台は「テレビ」がテーマだそうですね。今田さんは芸人としてデビューする前、テレビに対してどのようなイメージを持っていましたか?

舞台のセリフでもあるんですけど、スゴいキラキラした場所でしたよね。特別な、今とは違って“別世界”って感じでした。

──芸人になってからそのイメージは変わりましたか?

でもやっぱり特別な世界にいる感覚はありました。特に自分より上の世代の方と一緒になったときにやっぱりそういう感覚を思い出しますよね。

──若いころは、いわゆる「ダウンタウンファミリー」だとか「ダウンタウンの弟分」みたいに言われていたと思いますが、そう言われることに対して葛藤のようなものはありませんでしたか?

確かに反発したいときもありましたよね。今はもう一生“弟分”でもいいって思いますけど。やっぱり兄貴がいてくれたほうがいいじゃないですか(笑)。だから全然、その時期ごとに変わってましたね。反発したいというか、何か自分でもちゃんとせなって強く思ってた時期はありました。やっぱり頼り切ってしまっていたので。

──自分が「今田耕司」というものを確立できたと思えたのはいつごろですか?

いやいや、まだできてないですよ! ああいうところのステージに立つっていうのはやっぱり特別じゃないですか? 本当にひと摘み。“ひと握り”じゃなくて“ひと摘み”の人。僕らはまだまだいただいたお仕事をしっかりやらせていただくという立場です。未だに独り立ちをしようとしてるところ。

よくまわりから「もう大丈夫じゃないですか」「もう安泰でしょ」とか言われるんですよ。まだ若い人にはそう見えるのかなって思いますけど、全然そんなことないんです。

──自分の「居場所」のようなものができた、という自信はないですか?

そんな場所、どこにもないです。おそらく僕より先輩たちでもそんなこと思ってる人はいないのかもしれない。常に振るいにかけられながら、試されながら、もらったチャンスをなんとか大きくして、みたいなことの繰り返しですね。

浜田雅功、明石家さんま。MCはどうあるべきか?

今田耕司

──今田さんの知名度が全国区になったきっかけは『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)だったと思います。1997年に番組が終わったときはどのような心境でしたか?

「どうしよう!?」ですよね。大阪でも『4時ですよーだ』(※)が終わって、そのタイミングで仕事を失って、自分なんてまだまだなんやなっていう現実を見させてもらったんですけど、またそうなってしまうのかっていう恐怖がありましたね。何かほかのことをしとかなきゃっていう焦りが大きかったですね。

※1987年から1989年まで毎日放送で放送されていたバラエティ番組。ダウンタウンや東野幸治、今田らが関西で人気を得るきっかけのひとつとなった

──ほかのこと、というのは?

新しくいただけた仕事に行って、ちゃんと結果を残して、番組に出してもらうってことですね。当時は芸人だけでなく、テレビマンもバチバチの時代で。スタッフの中でも班が分かれてたんですよ。こいつの番組出るんだったら、こっちには出さないとか、そういうしがらみがあったような気がします。今はあんまりそういうことはないんじゃないですかね。今考えたらすごい時代ですよね(笑)。

──そんななかで次第に番組のMCを務めるようになっていったかと思いますが、最初のころはどんな心構えでMCをされていましたか?

大阪にいた時代から、イベントとかではそういうポジションをいただてたんですよ。向いてるか向いてないかはわからないけど、MCとしての振る舞い方は早くから意識してたかもしれないですね。

特に浜田(雅功)さんはずっと横で見てきたので、マネはできないですけど、勉強させてもらった感じがしますね。攻めるときにはガーッと行く本番の爆発力とか瞬発力とか、いろんなものを吸収させてもらった一番近い人だったと思います。

──以前、ご自身の司会について「優しさが売り」だとおっしゃっていましたね。

そんなこと言うてました? 恥ずいですね(笑)。確かにあんまり切り捨てることはないかもしれないです。でも特別、バックステージのケアとかをしてるわけじゃなく「せーの」で本番だけなんで。

ほかの人に聞くと、そういうケアをしてるMCの方もいるらしいですけど。あまり事前に「お前、こういう感じで行け」みたいな役割を決めるみたいなことはしたことがないですね。

(明石家)さんまさんもそういう感じがするんですよね。何か事前に決めた役割をやってもらうというよりは、それぞれが持ってる個性をその場で、自分で組み合わせるような感じ。僕はどっちかっていうとそういうタイプかもわからないですね。

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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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