宮川大輔、芸歴30年で気づいた“後悔”「自分で世界を変えるスキルはあるか?」
「お笑い第七世代」の台頭が著しい。2010年以降にデビューした彼らが世間を席巻している昨今、1990年代からキャリアをつづける宮川大輔は中堅、いわゆるミドル世代にあたるが、人気テレビ番組で自身の名物コーナーを持ち、お茶の間にも広く知られる存在だ。
勢いのある後輩と、貫禄ある先輩を上下に見ながら、いつ仕事がなくなるかもわからない「テレビ」「お笑い」の現場での将来像をどう描いているのか。「挑戦をつづける」と繰り返す、宮川大輔48歳の生き様。
松本さんの前では、絶対に牙を研いでおかな
──ご自身の考える、「宮川大輔」という芸人の強みはなんだと思いますか?
宮川 僕の場合はモチベーションが普通の芸人とはちょっと違うところにあると思うんですよ。スタジオ収録みたいなところに呼ばれて爪あとを残すのはあんまり合っていないというか、ひな壇に座ってても前には出られへんというか、その気持ちがないというか。それよりも「宮川大輔」ありきのところから始まる仕事のほうが好きなのかもしれないですね。
たとえば『満天☆青空レストラン』(日本テレビ)では素人の出演者さんと絡んでますけど、そこでいかにみんなが緊張せんと楽しめるか、自分が番組のホストとして空気を作るところからやっていく。待ち時間も楽屋にずっといるんじゃなくて、みんなの輪の中に入って一緒に写真を撮ったり、そういうのは自然にやってますね。それが当たり前かなって。
──最近では映画『ヤウンペを探せ!』でコメディのお芝居を披露したり、芸人役のジャッカル富岡を演じる『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』への出演も明かされました。
宮川 『ザ・ファブル』シリーズはもともと僕自身も原作の漫画を読んでいたので、映画化でオファーをいただいたときは、いったいどういうことなんやろ?って(笑)。最初は怖さしかなかったですけどね。なんで宮川やねん!?という反応も、原作ファンからは当然あるだろうし。でもすごくインパクトのある役だから、それをどう見せようか、監督と考えてるときはおもしろかったですね。
原作が漫画なので、キャラクターの雰囲気や声のイメージは読む人によってそれぞれあるわけで、逆に答えはないというか。でも関西弁でやらせてくれとは言うたんです。それでやったのを見て監督が笑ってくれたりすると、やっぱりすごくうれしいしおもしろいですよね。
──芸人の世界は、先輩・後輩の上下関係が、かなりしっかりしていそうなイメージがあります。今の宮川さんはちょうど中間の世代にいらっしゃると思うのですが、自分の立ち位置をどう捉えていますか?
宮川 先輩は先輩でバリバリの現役というか、仕事に対する意識や責任感も、僕ら以上に鋭いんですよ。吉本に所属している以上、接する上で絶対に牙を研いでおかなあかんのは、松本(人志)さん。番組で言うたら『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)ですね。それが内村(光良)さんやったら『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)でのロケのクオリティを高めていくこと。やるたびに、さらにおもろなって来よったなと思ってもらえるような新鮮みや深みを出そうという思いは、一つひとつの収録やロケに込めてます。
後輩に対して思うのは、全員にいい顔はできひん(笑)。一緒に仕事をしながら仲よくなってわかり合える後輩が増えたらいいなとは思いますけど、その後輩をもっと増やそうなんては思ってもいなくて。ひとりでもそんなんがいてくれるだけでありがたいし。自分がそういう気持ちになんねやったら、先輩に対してもやっぱりちゃんとしようと思いますし、恩とか義理とかそういう筋を通していきたいなとは思ってます。