岡村隆史が語る、相方との30年(2)悩み抜いて辿り着く「なんでも一生懸命やるしかないんです」

岡村隆史インタビュー【総力特集】ナインティナインの30年

1990年、矢部浩之が岡村隆史を誘い、ナインティナインは結成された。デビューからほどなくして『ぐるナイ』と『オールナイトニッポン』が始まり、誰もが知る人気者になった。無我夢中で駆け抜けて、療養も復帰も、相方と共に乗り越えた。しかし、大きな過ちを犯した日、そこに矢部はいなかった。

岡村隆史が、走りつづけた30年間を振り返り、これからのナイナイを考える。

※取材は結婚発表前の2020年9月下旬に行いました。


「もっとキツいことは20~30代であったのに」

――病気から復帰されたあと、まわりに頼るようになったと以前おっしゃっていました。周囲の変化は感じましたか?

岡村 みんなが助けてくれるようになりましたね。自分がイキり立ってた部分がずっとあったんで、そのイキリが取れた気がします。

今考えると、20代とか30代半ばで、休めばよかったなって。人間ってうまいことできてて、だいたいみんな40ぐらいで「もう無理やねん!」って言うんでしょうね。もっとキツいことって20~30代でありましたから。でも若いときってなんか乗り切れるんですよね。年とって衰えて、それでキャパを超えて、耐え切れなくなってもうた。「もうやめときや」って、笑いの神様にドーンって頭をど突かれたんでしょうね。

20代って、ほんまに寝ないでやってましたもんね……。あのときにはなんで体調悪なったり倒れたりせんかったんやろ、って思います。それが40になったときに、ひとりで舞台やってみようって思ったらパーンって、あんなことになってしまうんですからね。

――それでもここ最近は、映画や大河ドラマなどバラエティ以外の活躍も増えています。

岡村 映画はもともと好きやから、やりたくなってまうんですよね。ちょうど『めちゃイケ』が終わったころに忠臣蔵(『決算!忠臣蔵』)の話が来て、「関西弁で忠臣蔵できるの? おもろそう! やるやる!」言うて。絵コンテみたいなビジュアルがおもろいと、すぐ「やります!」って言っちゃいますね。その流れはたぶん『妖怪大戦争』の「小豆洗い」から始まってるんですけど(笑)。

大河は「オファー来てますけど、やりませんよね?」って言われて、「やれへんよ!」って言ったんです。でも「……ちょっと待てよ、大河? 大河に出れんのか!」って思って(笑)。あとにも先にも、もうないかもなと。僕、連ドラにも出たことなかったんです。だから、ちょっとのぞいてみようかなって思ったんですよね。

でも現場に行ったら「どえらいの引き受けた!」って思いました。あれは役者さん同士の“ケンカ”の場ですよ。染谷(将太)君とか見てたらもう……「嘘やろ、こんな空気変わるか?」っていう。うかつに出るって言ってしまったなって、毎回ビビり倒してます。

ほんまに、えげつないですよ。その現場を見られてるだけでも幸せかなって思ってるんですけど。まあ、火曜・水曜が空いてたし、今までやってないことのオファーが来たんで、ちょっとチャレンジしてみようかなって思ってもうたんです。

「未だにNHKで迷子になります」

岡村隆史

――『めちゃイケ』終了直後、『チコちゃんに叱られる!』が始まりました。

岡村 『チコちゃん』は打ち合わせも何もないですし、ただ行ってるだけです。それで「なんで?」って聞かれるっていう、本当にそれだけ。大変なのはスタッフさんと“うちの先輩”でしょうね。ボーっとNHKに行ってスタンバイして、ほんで「ボーっと生きてんじゃねーよ!」って怒られて帰ってくる。

――一緒に『紅白歌合戦』にも出演しましたね。

岡村 あれはチコちゃんに乗っかった感じですね。ほんまに、たまたまああいう役回りでキャスティングしてもらって、それでまた全然知らない『紅白』にも連れて行ってもらえて。ありがたいですね。今まではNHKでのお仕事がほんまに少なかったのもあるんですけど、未だにNHKのスタジオまでの行き方がわからないです、迷路みたいになってるんで(笑)。

相方との関係が悪いとは全然思っていなかった


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てれびのスキマ

1978年生まれ。ライター。テレビっ子。著書に『タモリ学』(イースト・プレス)、『1989年のテレビっ子』(双葉社)、『笑福亭鶴瓶論』(新潮社)、『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)など。

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