テレビやSNSに疲れた人に贈る、「ラジオリスナー」の始め方

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文=田中嘉人 取材・編集=鈴木 梢


『水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論』(TBSラジオ)で南海キャンディーズ山里が蒼井優との結婚への想いとそこに至るまでの葛藤を明かしたり、『King Gnu井口理のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)で井口がゲスト出演したaikoと名曲『カブトムシ』を見事なハーモニーで歌い上げたりと、ここ最近深夜ラジオ発の話題が世間を賑わせている。

朝や昼の番組も負けてはいない。『ONE MORNING』(TOKYO FM/JFN)や『赤江珠緒たまむすび/金曜たまむすび』(TBSラジオ)などの番組ハッシュタグは、ツイッタートレンドの常連。「ラジオリスナー」と呼ばれる層が一定数存在することは明らかだ。

ひとたびラジオアプリ「radiko」を立ち上げて、イヤフォンを装着すれば、そこはもうラジオの世界。しかし、「ラジオを聴いてみたいけど、どの番組を聴けばいいのかわからない」という人も多いだろう。

今回は、ニッポン放送のアナウンサー吉田尚記、ラジオに関するコラムやインタビューを数多く手がけるやきそばかおる、ラジオ書き起こし職人のみやーんを招き、それぞれの立場から「ラジオの聴き方」について語ってもらった。

吉田尚記(よしだ・ひさのり)
ニッポン放送アナウンサー。2012年、『ミューコミプラス』のパーソナリティとして、第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞。「マンガ大賞」発起人。著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が累計13.5万部(電子書籍を含む)を超えるベストセラーに。マンガ、アニメ、アイドル、落語など多彩なジャンルに精通しており、年間数十本のアニメイベントの司会を担当。近年は、ほぼ世界唯一のバーチャルMC『一翔剣』の“上司”としてワンオペ活動中。
注目のラジオ番組は、ニッポン放送『ミューコミプラス』と文化放送『上田麗奈のひみつばこ』。

やきそばかおる
ラジオコラムニスト。「radiko.jp」「シナプス」(ビデオリサーチ社)をはじめ、雑誌、WEB、新聞などでラジオに関するインタビューやコラムを執筆中。最近、インタビュー取材や番組解説の執筆などで関わった雑誌は『別冊 TV Bros.全国ラジオ特集』(東京ニュース通信社)、『人気ラジオ番組完全ガイド』(晋遊舎)。
注目のラジオ番組は、ニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』、CBCラジオ『チュウモリ火曜「#むかいの喋り方」』。

みやーんZZ
謎のラジオ書き起こし職人。
注目のラジオ番組は、TBSラジオ『ハライチのターン!』、『ACTION』、ニッポン放送『CreepyNutsのオールナイトニッポン0(ZERO)』。

どんな人にもハマる番組が絶対にある

みなさんが考える「ラジオの魅力」ってなんですか?

私個人の見解ですが、ラジオの魅力のひとつに「あの人が悪い」「私たちってすごくかわいそう」といった物言いが少ないことがあると思います。
ただ、「○○ではない」という切り口なので、「○○である」という切り口と比較して、気づくまでにすごく時間がかかる。

あと、ラジオの価値は「多様性」にあると思うんですよね。

ラジオを聴いていると本当にいろんな考え方に出会えますよね。

でも、その魅力が世の中に伝わっていない感覚はあります。

ラジオって、それぞれの局がどんな番組をやっているか一度に見渡す方法がないんですよね。だから最初に聴く番組を決めにくい。

そう考えるとラジオのタイムテーブルってすごく価値がありますよね。ラジオの多様性そのものが見えてくるというか。そうなると全局分のタイムテーブルを集めるべき……?

できなくはないけど、あまり現実的な方法じゃないですね(笑)。

radikoで公開されているタイムテーブルは改善の余地がありそうですよね。今のところ、番組名とパーソナリティの名前以外は何も記載されていないので。

私は初めてお会いする方がラジオに詳しくないとき、自己紹介がてらタイムテーブルを持参するんです。
すると「へえ、今は菅田将暉くんがオールナイトニッポンをやっているんですか」なんて言われることもある。でもラジオになじみのない方からしたら当然の反応なんですよね。

要は、ラジオ業界の“当たり前”が、世の中には全然伝わっていないんです。どんな人にも絶対にハマる番組があるはずなのに!

各局の違いと地方局のおもしろさ

それぞれの局の違い、パーソナリティの違いをざっくりと教えていただけますか? 

ニッポン放送TOKYO FM、J-WAVEは、旬な人をパーソナリティに起用する傾向が強いですね。ジャニーズや声優に強いのは文化放送です。

ニッポン放送はパーソナリティの入れ替わりが比較的早いですよね。TBSラジオは一度当たったらずっとつづくイメージがあります。

最近の文化放送はおもしろい企画が多いですよね。
先日のたき火の音をひたすら流す『たき火特番』も、チャーハンを炒めている音をひたすら流す『チャーハン特番』もすごくおもしろかった。

テレビではなかなかできないですよね。

先日、TBSラジオで17:50からの実験枠で、新入社員の履歴書を紹介する番組をやっていたんですよ。本当にただ紹介するだけ。でも、これがなぜか聴いていられる。

ほかにも、局のエレベーター前で待っている人にインタビューする番組や、猫のための番組もやっていました。これって企画が強いんですよね。企画力で勝負できるなら、地方局でももっとできるはず。

逆に地方局のほうがいろいろできそうですよね。

全国のラジオ局から、企画力でウケる番組がもっと出てきたらうれしいですね。
エフエム岩手の番組『おもかげ横丁 スナックいがわ』は、奥州市にあるSirane(シレーヌ)というスナックで収録しているんですよ。

そこに地元のガソリンスタンドを経営する社長が来て、ひたすら奥州の話をするという……。実はスポンサーが4社ついていて、ラジオを聴いたリスナーがスナックに遊びに来ることもあるとか。

なんでしたっけ、泌尿器科の番組もありましたよね?

IBS茨城放送の『なるほど泌尿器科』(『IBS MUSIC STATE』内)ですね。アナウンサーが泌尿器科の先生にいろいろ話を聞くんですけど、とってもまじめな内容なんです。

やきそばさんの、最近の注目番組はなんですか?

FM愛媛でスタートした『愛媛からあげ王国化計画』です。「愛媛を唐揚げで盛り上げる」というコンセプトで、唐揚げ屋さんへ行ってインタビューする番組。

まだこれからどうなるかわからないですけど、こういうチャレンジができるのは地方局の強みですよね。

どんどんやるべきですよ。リスナーは誰かが「やりたい」って言っているものしか聴きたくないはずなので。

確かに、パーソナリティ本人の熱が入ってるほうが楽しいですよね。

深夜ラジオでトークが盛り上がったら、そこから新コーナーが生まれることもありますからね。ラジオは瞬発力があるところがいいですよね。

瞬発力、ラジオにとって超大切ですよ!

最近は『オールナイトニッポン』と『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティ同士が交流している関係がすごくおもしろいですね。お互いの番組に出演して。

ようやくそういった関係性が復活しましたね。15年ぐらいかかりました。

「人気リスナー」や「構成作家」を軸に番組を探してみよう


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