世界でブレイク&賛否!韓国移民のラーメン王、デイビッド・チャンとは?

2020.2.13

3:「食」を通じた偏見への問題提起

『アグリー・デリシャス』では、中華料理に対して「(値段が)安すぎて食べて大丈夫か不安」「店が汚いイメージがある」といった偏見を語る一般人や、差別意識に苦しめられる料理人たちが登場する。タコス特集でも、トランプ政権下で厳しい扱いを受けるメキシコ移民の問題が詳しく紹介されている。

過激さから世界でブレイク&賛否!グルメの帝王デイビッド・チャンとは?
『アグリー・デリシャス:極上の“食”物語』より

その偏見の目は、デイビッド自身が向けられてきたものでもある。修行時代には厨房に箸を持ち込んで嘲笑され、韓国に行ってもアメリカ生まれであることを理由に、国外に住む同胞を意味する“キョッポ”と呼ばれていた。

つまり、彼が食文化の常識を疑いながら過激な振る舞いを続けるのは、「食」というジャンルにおいて未だに根強く残る、見た目や国籍による偏見を知らしめるためでもあるのだろう。

伝統的なよい食事というのは白いテーブルクロスに花が飾られていて、タキシードを着た人がいる場所にあるものだって長い間思われてきた。そうした歴史に囚われてきたナンセンスな概念をはぎとって、料理そのものに向かうきっかけを模索しつづけている。

『アグリー・デリシャス:極上の“食”物語』#8「イタリアとアジアの包み物」より

彼のパフォーマンスは差別意識への問題提起であり、さまざまな国の伝統料理をミックスさせた新しい“アメリカ料理”を探しつづけるための道を示すものである。彼に常識を揺さぶられ、もう一度自身の親しんできた食生活を見つめ直そうとする人も少なくはないはずだ。

料理には変化をもたらす力があるのかってことを問い続けているよ。どうなんだろう? 人はどれだけ食べ物のことを気にしているのかな?

『アグリー・デリシャス:極上の“食”物語』#2「タコスにくるまれて」より
『デイビッド・チャンの世界を食べつくせ!』より

2020年3月6日には『アグリー・デリシャス』シーズン2の配信もスタートする予定だ。今後も彼がどのようにアメリカの食文化に切り込んでいくのか、注目したい。

Netflixオリジナルシリーズ「アグリー・デリシャス:極上の”食”物語」独占配信中
Netflixオリジナルシリーズ「デイビッド・チャンの世界を食べつくせ!」独占配信中

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ゆりいか

1989年、福岡県北九州市生まれ。ライター。新宿ゴールデン街プチ文壇バー「月に吠える」の月曜バーテン。 主な仕事に『百合写真集 オンナノコたちのヒミツ』(一迅社)『平成まとめクイズ』(永岡書店)など。

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