生後3カ月のきょうだい子猫2匹一緒では無理ですか?〈里親の決め手は猫が我が家より幸福になれるかどうかだけ〉

2021.11.26


「ほうっておけない」人にアドバイス

ところで、この3きょうだい猫は、いわば「ほうっておけない人」に保護された猫だ。僕や妻も要するに単に「ほうっておけない」のだと思っている。

〈「保護猫」の「保護」と書くとき人間の自作自演を感じて揺れる〉

そういう「ほうっておけない人」、多いと思うんだけど「お金を拾ったら交番に届ける」ということは知られていても、子猫を保護したらどうすればいいか、は意外と知られていない。僕も全然知らなかったら、牛乳とかあげちゃいそう。(子猫用ミルクをあげましょう。夜中などで入手できず牛乳しかないときは、煮沸して冷ましたものを。下痢を引き起こす可能性があるのであくまでも緊急措置的に留めて!)

〈保護すべき猫が見上げている 猫よ、僕は困った顔してますか?〉

きょうだい猫
じっと見てくる「なな」

運命の遭遇は、いつだって出会い頭だ。知っていたら助けられたのに、ということもあると思うので「ほうっておけそうにない人」には『野良猫の拾い方』(東京キャットガーディアン監修/イラスト高橋由季/大泉書店)がオススメ。
保護すべき猫と遭遇したときの対処方法が、とても実用的でわかりやすくまとめられている。
実際に、ほうっておけない人から「子猫を保護したんですが……」とSNS上で相談されたときは、この本を頼りにアドバイスして、大変役に立った。

『野良猫の拾い方』東京キャットガーディアン監修/イラスト高橋由季/大泉書店
『野良猫の拾い方』東京キャットガーディアン監修/イラスト高橋由季/大泉書店

譲渡が決まると、安心して気が抜ける。それと同時にお届けまでの数日は、さびしさがすごい。子猫が無邪気であればあるほど。

〈うれしくてさびしい さびしいけどうれしい 猫の里親が決まったときは〉

お届け当日。実際に猫が暮らす環境を見せてもらって、脱走や誤食など危なそうなところはないか、トイレや餌皿、猫タワーなど必要な物は揃っているか、などを確認するため、引き取りに来てもらうのではなく、必ず「届ける」ことにしている。
時節柄もあり、あまり大人数で行くのも、ということで僕は留守番だった(実は、お届けは泣いちゃいそうだから少し苦手だ)。
譲渡が決まって以降、僕らが「さびしくなるな……」と感傷に浸っているあいだに、迎える側は、きっとすごく落ち着かなくて、楽しみで、心配で、じっとしていられないような心持ちなのだろう。なにせ初めて猫と暮らすのだ。想像すると、こちらまでソワソワしてしまう。

〈譲渡する子猫とともににぎやかと厄介が行く ほんとの家に〉

名前が決まってお届け完了

そして、おそらく譲渡が決まってからの懸案事項であったであろう正式な名前が決まった。
「なな」は「アン」に、「よう」は「テト」になった。仮の名前じゃなくなると、本当に「ほんとの家にお届けが完了した」気持ちになる。

〈我が家での仮の名前と仮住まい暮らしもきょうでおしまいの猫〉

〈このさびしさの量こそ猫が引き渡す家にもたらす幸せの量〉

きょうだい猫
もういないんだな

一時預かりっていいとこ取り?

こうして、7月末から始まった一時預かりは、55日間で終わりを迎えることになった。
ときどき遊びに来る小学4年生の姪っ子(猫好き)が、僕らに言うのだ。
「一時預かりってさ……いいとこ取りだよね」
小学4年生にしれっと言われて、笑ってしまったけれど、それは、確かに否定できない、と思ったりもするのだ。

最後にもう1冊本の紹介をして終わりたい。一時預かりの最中、8月5日に拙著これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』(仁尾 智 著/小泉さよ イラスト/辰巳出版)が上梓となり、妻から「出版祝いで何かプレゼントするよ」と言われた。

『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』仁尾 智/イラスト/小泉さよ/辰巳出版
『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』仁尾 智 著/小泉さよ イラスト/辰巳出版


さて、と考えて、もらったのが『旅の絵本セット』(安野光雅/福音館書店)。
小学生のころ、『旅の絵本』を眺めるのが大好きだったことを思い出したのだ。プレゼントのことがあるまですっかり忘れていたけど。
優しい水彩で緻密に描かれた街並みの中には、昔話あり、だまし絵あり、有名絵画あり、登場人物のストーリーあり、旅人を見つける『ウォーリーをさがせ!』的な要素あり、サービス精神とウィットが詰まっていて、最高だった。これからも何度も眺めることになる。よいものをもらってしまった。

きょうだい猫
かつてのうちのキングギドラ。左から「なな」「よう」「ぶん」のきょうだい猫。ほんとの家で、アン、テト、寅になりました、どうか幸せに

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  • 『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』仁尾 智/イラスト/小泉さよ/辰巳出版

    『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』(仁尾智 短歌・エッセイ/小泉さよ イラスト)

    (たぶん)世界初の猫歌人・仁尾智が、これから猫を飼う人に伝えたいことを11の短歌と短いエッセイで綴る。人気イラストレーター・小泉さよの水彩画はすべて描き下ろし。
    定価:1,430円(税別)
    サイズ:A5/48ページ
    発売日:2021年8月5日
    発行:辰巳出版

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仁尾 智

(にお・さとる)猫歌人。1968年生まれ。1999年に五行歌を作り始める。2004年『枡野浩一のかんたん短歌blog』と出会い、短歌を作り始める。短歌代表作に『ドラえもん短歌』(小学館文庫)収録の《自転車で君を家まで送ってた どこでもドアがなくてよかった》などがある。『猫びより』で「猫のいる家に帰り..

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