覆面レスラーが放送枠を自腹で買い取り!?自主制作完パケ納品型のラジオ番組『スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ』とは?

2021.8.22

文=村上謙三久 編集=森田真規


覆面レスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンがパーソナリティを務めるラジオ番組『スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ』が、2021年7月からBSN新潟放送でスタートした。

『チェ・ジバラ』が普通のラジオ番組と違うのは、放送枠を自ら買い取り、波代(電波代、放送権料)から制作費まですべてが“自腹”という点だ。なぜそんなラジオ番組が誕生したのか、その過程に迫る。

さらに記事の最後には、ササダンゴ・マシンによる独占コメントも掲載! ラヂコプレミアムを利用すれば放送エリア外からも聴取可能なので、前代未聞のラジオ番組をぜひチェックしてほしい。


番組の中心スタッフはいとこのヒロくん

『スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ』は、覆面レスラー、スーパー・ササダンゴ・マシンがパーソナリティを務めるラジオ番組。BSN新潟放送で7月からスタートした。

「プロレスラーがラジオ?」と首を捻る方が多いかもしれないが、あなどるなかれ。「ラジオが抱えるシビアな問題」と「ラジオが持っている表現の可能性」の両方を虚実交えて伝える“革命的番組”だ。キューバの英雄チェ・ゲバラの名前にあやかった番組名からもわかるように、“自腹”がひとつのキーワードになっている。

まずはスーパー・ササダンゴ・マシンについて説明する必要があるだろう。彼はDDTプロレスリングで活躍する正体不明のマスクマン。身長183.5cm、体重127kg。必殺技は垂直落下式リーマンショック。試合前にパワーポイントを駆使して、戦いの見どころや相手を倒す作戦をプレゼンテーションする“煽りパワポ”で名を馳せ、バラエティ番組にも多数出演。また、プロレスに演劇的要素を組み込んだ『まっする』(旧『マッスル』)のプロデュースも手がけている。

大事なのは新潟県にある実家の金型メーカー・坂井精機株式会社の代表取締役でもあること(2020年6月就任)。本拠地を新潟に置く兼業レスラーなのである。ローカル番組にレギュラー出演するご当地タレントである一方、松竹芸能にも籍を置き、6月に終了した『マヂカルクリエイターズ』(テレビ東京)ではナレーションを担当。ラジオ的には、『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)の月1レギュラーとしてご存知の方が多いかもしれない。

番組は何から何まで“自腹”で“自前”だ。番組の中心スタッフは2歳年上のいとこである吉田広秋、通称ヒロくん。まさかの親戚である。彼は新潟県内のテレビやラジオなどで活躍する音声マンで、新潟新通株式会社の代表取締役でもある。

新潟新通株式会社の代表取締役・吉田広秋、通称ヒロくん

ササダンゴ・マシンと同時期に社長となり、中小企業の苦悩を語り合ってきた仲だ。コロナ禍などの影響によって、番組制作費が下がり、苦しい経営状態がつづくなかで、「自分たちでマネタイズするので、空いている放送枠を間借りできないだろうか?」というササダンゴ・マシンのアイデアからこの番組の企画はスタートしている。

ラジオ業界の厳しい現状を伝えるニュースとして、昨年、新潟のとあるラジオ局が閉局したと報じられたが、その放送局で使われていた機材が新潟新通の倉庫に保管されていた。その倉庫を自腹で急遽改造し、スタジオが完成。

『チェ・ジバラ』のスタジオ

絶大な人気を博すパーソナリティ・佐久間宣行に似た魅惑のプロデューサーボイスを持つササダンゴ・マシン、業界歴20年を超すいとこの音声マン、そして手狭ながら独自に番組を収録できるスタジオ。この3つがそろい、『チェ・ジバラ』の企画は動き出した。

『アルピーANN』の“茶番”ノリに近い感じ


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村上謙三久

(むらかみ・けんさく)編集者、ライター。1978年生まれ。プロレス、ラジオ関連を中心に活動。『声優ラジオの時間』『お笑いラジオの時間』(綜合図書)の編集長を務め、著書に『深夜のラジオっ子』(筑摩書房)、『声優ラジオ“愛”史 声優とラジオの50年』(辰巳出版)がある。

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