覆面レスラーが放送枠を自腹で買い取り!?自主制作完パケ納品型のラジオ番組『スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ』とは?

2021.8.22


『アルピーANN』の“茶番”ノリに近い感じ

最近都内で急増している間借り営業のカレー店よろしく、空いている日曜深夜の放送枠を間借りできるか、BSNに交渉。放送局のスタジオを使用せず、完パケで納品してくれるというラジオ局にはまったく労力がかからない条件だっただけに、すぐに反応があり、とんとん拍子で放送が決定した。

しかし、4月スタート予定が7月にずれ込むと、「形だけでも波代(電波代、放送権料)を払ってほしい」と話があり、結局、自分たちがスポンサーになるリスクまで背負うことに。メールアドレスは貸してもらえず投稿はGmailで募集、ラジオ特有の構成作家による笑い声はサンプリングして使用、BSN案件のCMはしっかり流れるなど厳しい状況ながらようやく放送開始にこぎ着けた。こうして、イベント開催、グッズ展開、放送枠延長、2部制、有名企業のスポンサード、他局番組販売などまで見据えた上で、番組は船出したのである。

『スーパー・ササダンゴ・マシンのチェ・ジバラ』番組ロゴ

「あらゆるものを自腹で体験し、その話を革命的に脳内で整理して、皆さんの耳から脳に直接お届けする番組」と放送内で説明されているが、その内容も異色である。この番組では「第1回」ではなく「第1話」とカウントされているが、方向性がその都度変わるのだ。ラジオ界の内情に鋭く切り込むトークもあれば、突然、リスナーの投稿主体になる回もある。まじめな話をしていたはずが、突然、コント仕立ての方向に急カーブを描くこともあった。

2010年代を代表する芸人ラジオ『アルコ&ピースのオールナイトニッポン』シリーズにおける“茶番”のノリに近いと言えばわかってもらえるだろうか。現実の話をしていたはずが、徐々に話が逸れ、壮大なオチを迎える快感はあの“茶番”に通じる部分がある。プロレスファンには「まっする(マッスル)をラジオでやっている」と説明すればわかってもらえるかもしれない。

第1話は番組立ち上げの内部事情に切り込む赤裸々トークだったが、第2話はミュージシャン・RAM RIDER(ラムライダー)に発注した番組ジングルがTBSラジオやJ-WAVEのそれと酷似しており、そこから“茶番”が展開された。

01チェジバラジングルA_聴取率No1祈願Ver
02チェジバラジングルB_FM層訴求_チェWAVE_Ver
03チェジバラジングルB_FM層訴求_チェジバラVer
04チェジバラジングルC_放送内容及びパーソナリティの方向性にあわせたVer1
05チェジバラジングルD_放送内容及びパーソナリティの方向性にあわせたVer2

第3話ではまたリアルなラジオ界の話。この回で、『アフター6ジャンクション』のプロデューサーである橋本吉史氏が“牽引者”(名誉顧問、ケツ持ちの呼称)に就任したことが発表される。

第4話では『アフター6ジャンクション』の人気コーナーのフォーマットを借りた「月刊自腹時評 ジバラーウォッチメン」がスタート。BSN上層部と1対1の懇親会に臨み、番組への理解を得たが、その人間が爆破される衝撃の結末に。

第5話では、BSNのアナウンサーを買収してスパイに仕立て、BSN内部での番組の評価を聞き出した。第6話は新潟リスナーvs全国リスナーの大喜利対決、第7話では定番の直球フリートーク……と文字にすると意味不明かもしれないが、毎回毎回リスナーの想像を超え、予想を裏切る展開がつづいている。ここまで形に捉われない番組は、過去に例を見ないかもしれない。

ラジオ界でフィーチャーされつつある“自腹”


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