考察『鬼滅の刃』最終巻。すべての登場人物に愛が注がれたバトルに拍手、よくがんばった、無惨様!


コミックス描き下ろしの14ページは最高の「供養」

連載終了直後、「完結は英断。無残(無惨)に引き延ばされなくてよかった」と書いた。その気持ちは今も変わらないし、ひたすら平和ななんの変哲もない日々がつづき、次なるラスボスが出てこなくてよかった。多くの人たちのがんばりが、燃やし尽くした生命が、大切な人たちの幸せにつながって本当によかった。

でも「どう幸せになったか」は見届けたい。コミックスでの大量の描き下ろしは、その想いに完璧なまでに応えてくれた。帯には「物語の結末に14ページ」とあるが、『ジャンプ』本誌でさらりと流されていた箇所が丁寧に補完されている。そう、炭治郎と子孫の心のつながりが読みたかった、子孫たちのちょっとしたプロフィールが欲しかった、あの双子の赤ん坊って「霞柄のブランケット」だったんだ……読者の心の飢えはお見通しといわんばかりの、微に入り細を穿つフォローぶり。

ハッピーエンドで終わった本作だが、最終巻に最もふさわしい2文字は「供養」かもしれない。すべては大正時代の遠い過去のお話、懐かしい顔ぶれは誰も彼もいなくなってしまった。が、コミックスの読者がひとりでもいる限り、彼らはいつまでも心の中で生きつづける。力いっぱい生きたキャラクターたちに、この世に生まれて『鬼滅の刃』を読めた幸せに、感謝を込めて合掌したい。

最終巻!『鬼滅の刃』<23巻>吾峠呼世晴/集英社
最終巻!『鬼滅の刃』<23巻>吾峠呼世晴/集英社

この記事の画像(全4枚)




この記事が掲載されているカテゴリ

関連記事

鬼滅の刃

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』がうまい!うまい!うまい!何を不安がってたのだろう、完璧じゃないか

鬼滅の刃サムネ1

『鬼滅の刃』炭治郎「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」を真剣に考察したい

鬼滅の刃0

『鬼滅の刃』完結は英断。無残に引き延ばされなくてよかったと断言できる理由

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターとして廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

「VTuberのママになりたい」現代美術家兼イラストレーターの廣瀬祥子が目指すアートの外に開かれた表現

パンプキンポテトフライが初の冠ロケ番組で警察からの逃避行!?谷「AVみたいな設定やん」【『容疑者☆パンプキンポテトフライ』収録密着レポート】

フースーヤ×天才ピアニスト【よしもと漫才劇場10周年企画】

フースーヤ×天才ピアニスト、それぞれのライブの作り方「もうお笑いはええ」「権力誇示」【よしもと漫才劇場10周年企画】

『FNS歌謡祭』で示した“ライブアイドル”としての証明。実力の限界へ挑み続けた先にある、Devil ANTHEM.の現在地

『Quick Japan』vol.180

粗品が「今おもろいことのすべて」を語る『Quick Japan』vol.180表紙ビジュアル解禁!50Pの徹底特集

『Quick Japan』vol.181(2025年12月10日発売)表紙/撮影=ティム・ギャロ

STARGLOW、65ページ総力特集!バックカバー特集はフースーヤ×天才ピアニスト&SPカバーはニジガク【Quick Japan vol.181コンテンツ紹介】