レインボーの「リモートコント」のリアリティ
まず触れなくてはならないのが、池田直人の女装だ。リモート画面越しの池田直人が何回見ても「女性にしか見えない」。顔から髪型から所作から声まで完全に「性別が変わってる」。どれだけ研究すればこのリアリティを出せるのか。その美しさが日に日に磨きがかかっているのが本当におもしろく、恐ろしい。
そしてジャンボたかおの圧倒的な存在感。「そこにいるだけでおもしろい」。もはや「ジャンボそのもの」がめちゃくちゃお笑いなのだ。究極「つまらないことを言っていても」それが“おもしろい”になってしまう。特に「キモいオッサン」を演じたときのジャンボたかおは、まさに無双状態、モンスターと化している。
『オンラインギャラ飲みでおじさんから根こそぎ取ろうとする女』のネタでは金を盾にしていちいち上からくる男とキモいオッサンから金をむしり取ろうとする女、男尊女卑と女尊男卑のぶつかり合い、どうにかして相手をコントロールしようとする執念に痛々しさと笑いが同時に襲ってくる。『好きだったのに、オンライン人狼の立ち振る舞いで嫌われる女』は、おっとりとした性格だと思っていたのに人狼が始まった瞬間に怖いほどの熱量で仕切りだす女と、ヤバい女だと思った瞬間に達観して女の子を下に見る男の噛み合わなさが心えぐられる。
数あるリモートコントの中でも特に好きなのは、ひたすら「ほろよい」を飲みながら先輩が偉そうに口説いてくる『【リモートコント】『ほろよい』飲みながら口説いてくる先輩』はもはやタイトルだけで永遠に笑っていられるほどの破壊力がある。
ふたりのやりとりのどこまでが台本なのか……。黒木瞳がパーソナリティを務めるラジオ番組『あさナビ』(ニッポン放送)にレインボーが出演した際、自分たちのネタ作りについて明かしていた。
黒木)リモート中は、お互いの家でネタ合わせをやられたのですか?
ジャンボ)僕たち、ネタ合わせはほとんどしません。大体リモートの場合は、最初に、「為せば成る」のリモートで楽しく喋っていたら、何だかんだ別れることになったカップルというのを最初に思いついて、池田は本当に憑依型でパッと演じられるのです。相方ながら天才的な素質があると思います。僕が池ちゃんに、言いたいことをある程度決めて「こういうものを撮りたい」と説明します。「為せば成る」を言いたいなとか。そうすると、池田はすぐに演じ切りますね。
黒木)アドリブが多いのですか?
ジャンボ)97%アドリブです。
(お笑い芸人・レインボー〜なぜ女装しようと思ったのか - ニッポン放送 NEWS ONLINE)
97%アドリブ、お笑い芸人、いや人間にとっての「理想形」なのではないか、とすら思った。怖さすら感じるリアリティをぜひ体感してみてほしい。
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